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認定NPO法人 言論NPO
【調査協力】
日本:輿論科学協会
中国:零点研究コンサルティンググループ
日本の言論NPOと中国国際出版集団は、日中の両国民を対象とした共同世論調査を今年8月から9月にかけて実施した。この調査は、最も日中関係が深刻だった2005年から日中共同で毎年行われているものであり、今回で12回目となる。調査の目的は、日中両国民の相互理解や相互認識の状況やその変化を継続的に把握することにある。
日本側の世論調査は、全国の18歳以上の男女を対象に8月20日から9月4日まで、訪問留置回収法により実施され、有効回収標本数は1000である。回答者の最終学歴は、中学校以下が8.2%、高校卒が47.3%、短大・高専卒が18.2%、大学卒が23.7%、大学院卒が1.3%だった。
これに対して、中国側の世論調査は、北京・上海・広州・成都・瀋陽・武漢・南京・西安・青島・鄭州を含む10都市で、18歳以上の男女を対象に、8月13日から8月24日まで実施され、有効回収標本は1587である。回答者の最終学歴は中学校以下が10.2%、高校・職業高校・専門学校卒が34.9%、大学卒が24.0%、ダブルディグリーが0.2%、大学院卒が0.5%だった。
なお、この調査と別に、言論NPOと中国国際出版集団は、有識者へのアンケート調査を世論調査と同じ内容で実施した。日本では、これまで言論NPOが行った議論活動や調査に参加していただいた国内の企業経営者、学者、メディア関係者、公務員など約2000人に質問状を送付し、うち477人から回答をいただいた。回答者の最終学歴は、大学卒が65.0%、大学院卒が25.4%である。
中国では、零点研究コンサルティンググループが有する企業関係者、政府関係者、メディア関係者、専門家、公益団体関係者などのデータベース(4.5万人)の中から5400人を対象に、8月13日から8月24日まで電話による調査を行い612人から回答を得た。その回答内容を中国有識者として分析した。最終学歴は、大学専科が8.5%、大学本科が37.7%、ダブルディグリーが1.1%、修士が28.6%、博士が18.0%となっている。
こうした世論調査と並行して有識者調査を実施しているのは、専門家や知識層の声を反映させることで、全体的な日本人や中国人の認識を補完しようと考えたからだ。日中両国の有識者の多くは、相手国の情報を自国のメディアやインターネットなどに、その多くを依存しておらず、実際に渡航したり、友人や知人がいるなど直接的な情報を得ている。
現在の日中関係を「悪い」(「どちらかといえば」を含む、以後同様)と判断している日本人は昨年同様71.9%と7割を超えている。
中国人では、「悪い」という判断が78.2%となり、昨年の67.2%から11ポイント増加している。
この12年間で見ると、中国人は2013年の90.3%をピークにそこから改善していたが、今年再び悪化し、日本人も2014年の83.4%をピークに改善傾向にあったが、それが止まっている。
この一年間の日中関係の変化については、日本人では「悪くなった」(「どちらかといえば」を含む、以後同様)との判断が、昨年の37.0%から今年は44.8%に増加し、さらに悪いままで「特に変化していない」との判断が38.3%(昨年43.2%)となっている。「良くなった」は3.2%(昨年5.4%)にすぎない。
中国人でも、「悪くなった」という判断は昨年の48.1%から今年は66.8%へと19ポイント増加している。
今後の日中関係の見通しについては、日本人では、「悪くなっていく」(「どちらかといえば」を含む、以後同様)という判断が昨年の24.7%から今年は34.3%へと10ポイント増加している。また、「変わらない」との見方も35.3%(昨年42.5%)あり、「良くなっていく」(「どちらかといえば」を含む、以後同様)との見方は8.8%(昨年12.7%)と1割にも満たない。
中国人でも、「悪くなっていく」が昨年の41.1%から今年は50.4%に増加し、半数を超えている。また、「良くなっていく」との見方は19.6%(昨年17.5%)と2割に満たず、こちらも今後の日中関係について明るい展望を持つことができていない。
日本人が考える日中関係の最大の懸念材料は、「領土をめぐる対立(尖閣諸島問題)」であり、今年は66.6%と昨年の56.0%から11ポイント増加している。これに「海洋資源などをめぐる紛争」が35.4%(昨年26.6%)で続いている。
中国人でも、「領土をめぐる対立」を懸念材料と考える人が65.3%(昨年66.4%)で昨年同様最も多い。これに「海洋資源などをめぐる紛争」が30.9%(昨年25.0%)が続く構図は日本世論と同様である。
一方、日本では昨年2番目に多かった「日中両国政府の間に政治的信頼関係がないこと」は38.2%から23.7%に減少している。しかし、中国人では昨年は25.5%、今年は26.7%であり、日中首脳会談が行われるようになっても政府間関係の改善を課題と考える中国人は減少していない。
双方の歴史認識を問題視する見方は、日本人では「中国の歴史認識や歴史教育」が昨年の26.3%から23.0%に、中国人では「日本の歴史認識や歴史教育」は昨年の31.5%から27.2%へとそれぞれ減少した。
日本人の中国に対する印象は「良くない」(「どちらかといえば良くない印象」を含む、以後同様)が91.6%と9割を超えた。過去12年間で最も悪い2014年の93.0%から88.8%に減少するなど一旦改善に向かった昨年よりも悪化している。
他方、中国人の日本に対する印象は、「良くない印象」が昨年の78.3%から今年は76.7%とわずかながら減少し、最も悪かった2013年(92.8%)から4年連続で改善している。
日本人が中国に「良くない印象」を持つ最も多い理由は、「尖閣諸島周辺の日本領海や領空をたびたび侵犯しているから」の64.6%(昨年46.4%)だった。2番目に多い理由は「中国が国際社会でとっている行動が強引で違和感を覚えるから」で51.3%(昨年31.0%)と半数を超え、国際社会における中国の様々な振る舞いを「良くない印象」の理由とする日本人は多い。一方、減少が目立ったものとしては、昨年最も多かった「歴史問題などで日本を批判するから」が55.1%から44.2%になり、「中国のメディアが反日報道を繰り返すから」も41.7%から31.0%に減少した。
これに対し、中国人が日本に「良くない印象」を持つ理由では、昨年調査と同様に「侵略の歴史をきちんと謝罪し反省していないから」が63.6%(昨年70.5%)で最も多い。これに「日本が魚釣島を国有化し対立を引き起こしたから」が60.6%(昨年68.1%)で続き、この2つが突出している構図は昨年と同様である。ただ、「日本は米国と連携して軍事、経済、イデオロギーなどの面から中国を包囲しようとしているから」が昨年の41.1%から48.8%に増加して5割に迫っている。
日本人が中国に「良い印象」を持つ理由で最も多いのは、「留学生の交流など民間交流により中国人の存在が身近になっているから」で、昨年の34.0%から今年は46.3%へと12ポイント増加しており、民間交流の展開が中国に対するプラスの印象に寄与している。これに「中国古来の文化や歴史に関心があるから」が38.8%(昨年35.8%)で続いている。
中国人が日本に対して「良い印象」を持つ理由としては、「日本人は礼儀があり、マナーを重んじ、民度が高いから」が52.9%(昨年57.0%)で最も多い。増加が目立ったのは、「日本の環境は美しく、自然が風光明媚で、温泉等の観光地が多いから」で、昨年の40.1%から今年は51.7%と12ポイント増加し、2番目に多い理由となっている。
日中両国民が互いに相手国に対して難しい国民感情を抱いている現在の状況について、日本人では「望ましくない状況であり、心配している」と回答した人が37.2%(昨年31.0%)で、これに「この状況は問題であり、改善する必要がある」と回答した人の37.0%を合計すると7割以上の日本人が現状を問題視していることになる。ただ、「この状況は問題であり、改善する必要がある」は昨年の43.9%から減少している。
中国人では、「望ましくない状況であり、心配している」と回答した人が、昨年の20.7%から今年は35.9%へと15ポイント増加している。「この状況は問題であり、改善する必要がある」の31.5%と合わせるとこちらも7割近い人が現状を問題視していることになる。ただ、日本と同様に「この状況は問題であり、改善する必要がある」は昨年の34.9%から減少している。
日本人の56.4%が、中国を「社会主義・共産主義」の国と認識しているが、昨年の66.6%からは10ポイント減少している。過去12年を通してこの見方が最も多いという構図は変わらないものの、これまでの調査で最も低い水準になっている。また、2番目に多い「全体主義(一党独裁)」も昨年の44.0%から今年は33.5%と11ポイント減少している。これに代わって増加したのは「大国主義」で24.1%から28.5%になっている。
一方、中国人では、昨年同様に日本を「軍国主義」とみる見方が、43.8%(昨年46.0%)で最も多い。次いで、「資本主義」(37.7%、昨年は42.9%)、「覇権主義」(36.4%、昨年は40.1%)となっている。戦後日本が世界に標榜してきた「平和主義」は9.1%(昨年9.2%)にすぎず、「民主主義」も昨年の13.1%から今年は18.2%に増加したが2割に満たない。
日本人が「知っている中国人の政治家」では、依然として「毛沢東」が87.9%(昨年90.1%)で最多となるなど、過去の指導者の知名度は高い。現国家主席の「習近平」は71.0%(昨年69.8%)と7割を超えたが、現首相の「李克強」は依然14.9%(昨年15.2%)にすぎない。
中国人が「知っている日本の政治家」では、現首相の「安倍晋三」が、77.5%(昨年83.6%)で突出している。増加が目立つものとしては、「鳩山由紀夫」が昨年の23.8%から28.2%へ、「福田康夫」が昨年の16.7%から24.3%に増加している
日中関係を「重要である」(「どちらかといえば」を含む、以下同様)と考える人は、日本では70.4%(昨年74.4%)、中国では70.8%(昨年70.1%)となり、両国で7割を超えている。
その「重要である」理由については、日本人では「アジアの平和と発展には日中両国の共同の協力が必要だから」が56.1%(昨年55.2%)で最も多く、次いで、「重要な隣国同士だから」(53.3%、昨年は58.5%)となっている。また、「中国は世界第二位の経済大国で、日本の重要な貿易相手だから」を選んだ人も48.3%と半数近くいる。
しかしこれに対し、中国人では「重要な隣国同士だから」が、72.5%(昨年66.8%)が最も多く、次いで「日本は世界第三位の経済大国で、中国の重要な貿易相手だから」が58.9%と6割近い。「アジアの平和と発展には日中両国の共同の協力が必要だから」を選んだ人は33.5%(昨年29.6%)と3割にすぎない。
日本人が今後、日中関係を向上させるために有効だと考えていることで、最も多かったのは、「環境問題など世界的な課題での協力関係の促進」の26.5%(昨年19.1%)で、これ「政治の信頼回復」が26.4%が並んでいる。
中国人でも、「政治の信頼回復」(27.9%)、「環境問題など世界的な課題での協力関係の促進」(26.3%、昨年は15.8%)の2つが多い。これに昨年31.8%で最も多かった「経済関係の強化」が22.4%で続いている。
日中関係と日米関係の重要性を比較すると、日本人は48.9%(昨年55.1%)が、「どちらも同程度に重要」と考えている。「日米関係の方が重要」は、38.1%(昨年34.4%)と4割近くある一方で、「日中関係の方が重要」は、わずかに2.2%(昨年3.1%)にすぎない。
中国人でも、「どちらも同程度に重要」と考える人が、43.9%(昨年49.9%)で最も多い。しかし、これに並びかけるように「中米関係の方が重要」が、昨年の22.8%から18ポイント増加して今年は41.0%となっている。対照的に「日中関係の方が重要」は、昨年の14.5%から10ポイント減の4.5%となった。
日中双方の相手国に対する親近感と、米国に対するそれぞれの親近感を比較すると、日本人では「米国により親近感」を覚える人が53.7%(昨年53.5%)と半数を超え、中国人では「どちらにも親近感を覚えない」という人が56.0%(昨年49.6%)と半数を超えている。
「中国に親近感を覚える」という人は、日本人では5.7%(昨年4.4%)、「日本に親近感を覚える」という人は、中国人では2.7%(昨年6.1%)とそれぞれ1割に満たない。
日中関係と日韓関係の重要性の比較では、日本人の54.0%(昨年54.3%)が「どちらも同程度に重要」と回答している。「日中関係がより重要」は昨年の23.5%から今年は19.2%へと減少し、「日韓関係がより重要」は昨年の6.3%から今年は8.8%へと増加している。
中国人でも、「どちらも同程度に重要」との見方が47.1%(昨年43.2%)で最も多い。一方、「中韓関係がより重要」が昨年の35.5%から今年は25.0%と10ポイント減少し、逆に「中日関係がより重要」は昨年の9.0%から14.7%に増加している。
日中双方の相手国に対する親近感と、韓国に対するそれぞれの親近感の比較では、日本人で最も多いのは、「どちらにも親近感を感じない」の37.2%(昨年39.5%)である。次いで、「韓国により親近感を感じる」が25.0%(昨年26.3%)となり、「中国により親近感を感じる」は7.6%(昨年8.8%)にすぎない。
他方、中国人では、「どちらにも親近感を感じない」が昨年の20.9%から今年は47.1%と26ポイントの増加となった。さらに、「韓国により親近感を感じる」という人が昨年の62.1%から今年は28.8%に減少している。「日本により親近感を感じる」はわずか2.8%(昨年4.4%)である。
日本人の63.3%が、日本の将来を考えるにあたり、世界の中で最も日本との関係が重要な国は「アメリカ」だと考えている。
他方、中国人では、中国の将来を考えるにあたり、「ロシア」との関係が最も重要だと考える人が35.7%で、「アメリカ」の26.8%を9ポイント上回っている。
日本人で「中国」を選んだ人は7.4%、中国人で「日本」を選んだ人は7.8%となり、それぞれ1割に満たない。
なお、日本の有識者では、「中国」を選んだ人は23.1%いるが、中国の有識者で「日本」を選んだ人は2.5%にすぎない。中国の有識者では「アメリカ」(49.8%)が「ロシア」(25.7%)を上回っている。
9月のG20杭州サミット開催期間中に日中首脳会談が行われた場合、そこで議論すべき問題として、日本人で最も多いのは「両国の関係改善に向けた広範な話し合い」で38.6%(昨年43.6%)である。これに「尖閣諸島に関する領土問題」が28.3%(昨年24.6%)が続く構図は昨年と同様である。
他方、中国人で最も多いのは「尖閣諸島に関する領土問題」の43.3%(昨年49.7%)であり、次いで、「両国の関係改善に向けた広範な話し合い」(30.7%、昨年は26.8%)が続いている。
「東シナ海海上や上空における偶発的事故防止などの危機管理問題」を選択した人は、日本人では13.9%(昨年14.7%)、中国人では19.3%(昨年13.6%)にすぎない。
日本人で中国に「行きたい」という人は28.8%となり、昨年の32.9%からやや減少した。そして、「行きたくない」は70.8%となり、昨年の67.0%から増加している。
一方、中国人で日本に「行きたい」という人は昨年の35.7%から増加して40.9%となり4割を超えた。そして、「行きたくない」は昨年の63.2%から今年は54.5%に減少した。
日本人が中国に「行きたい」と考えている理由は、「景勝地や観光地への訪問」(78.5%、昨年は66.9%)、「歴史・文化遺産への訪問」(70.1%、昨年は69.0%)など観光に関する2つが突出している。
中国人が日本に「行きたい」と考える理由でも、「景勝地や観光地への訪問」が83.2%(昨年88.0%)で突出している。ただ、中国人では「買い物」を目的とする人が、59.0%となり昨年の36.3%から23ポイントの増加となっている。
この一年間の日中の民間交流の動きについて、日本人では「活発ではなかった」(「あまり」を含む、以後同様)との見方が38.8%となり、「活発だった」(「ある程度」を含む、以後同様)との見方の21.8%を大きく上回っている。ただ、「わからない」も39.1%ある。
中国人ではその傾向はさらに顕著で、「活発ではなかった」が63.1%と6割を超え、「活発だった」の25.7%を大きく上回っている。
民間交流が日中関係の改善や発展にとって、「重要である」(「どちらかといえば」を含む、以後同様)と考えている人は、日本人では63.9%(昨年67.1%)、中国人でも、66.9%となり、両国で6割を超えている。
その民間交流を進めるべき分野としては、日本人では「留学生の相互受け入れ」が39.0%で最も多い。これと「両国関係の改善や様々な課題解決のための民間対話」が35.5%で並んでいる。
中国人では、「メディア間の交流」が50.3%で突出している。次いで、「留学生の相互受け入れ」(32.2%)となっている。
日本で2番目に多い「両国関係の改善や様々な課題解決のための民間対話」は20.5%だったが、中国の有識者ではこれが43.2%で最も多い。
日中関係と歴史問題について、日本人では、「日中関係の状況に関わらず、歴史問題を解決することは困難」(31.1%、昨年は35.3%)との悲観的な認識と、「日中関係が発展するにつれ、歴史問題は徐々に解決する」(31.0%、昨年は29.4%)との楽観的な認識が拮抗している。
他方、中国人では、「歴史問題が解決しなければ、中日関係は発展しない」と考える人が45.9%(昨年47.0%)で最も多い。ただ、「中国と日本の関係が発展するにつれ、歴史問題は徐々に解決する」という楽観的な見方が32.2%となり、昨年の27.6%から5ポイント増加している。
今回の調査では、その歴史問題は、現在やこれからの日中関係においてどの程度の障害となると思うか、新たに尋ねた。その結果、日本人では、「歴史問題はほとんど解決しておらず、日中関係にとって決定的に大きな問題である」が38.0%で最も多く、次いで「歴史問題はある程度解決しているが、依然大きな問題である」が30.8%となり、この2つを合計すると7割近い人が歴史問題を日中間の大きな障害と認識している。
中国人では、「歴史問題はほとんど解決しておらず、日中関係にとって決定的に大きな問題である」が47.8%で最も多く、次いで「歴史問題はある程度解決しているが、依然大きな問題である」が36.1%となっており、合計すると8割を超える人が歴史問題を大きな障害になると考えている。ただ、「歴史問題は解決してきており大きな障害ではなくなってきた」という人も10.6%いる。
日中間で解決すべき歴史問題に関しては、日本人の69.9%が「中国の反日教育や教科書の内容」と回答しており、昨年の56.1%から大幅に増えている。これに「中国のメディアの日本についての報道」(43.5%、昨年は37.9%)が続くのは昨年と同じ構図である。
中国人では、「日本が侵略戦争に関する歴史の定説を尊重」が65.1%で最も多く、昨年の56.2%から増加している。次いで、「日本が真摯に侵略戦争の歴史に対して反省と謝罪」(57.4%、昨年は54.3%)となっており、こちらも昨年と同様の構図である。
日本人の74.2%(昨年68.3%)が、日本にとって軍事的な脅威だと感じる国・地域が「ある」と考えている。中国人では73.1%が、中国にとって軍事的な脅威だと感じる国・地域が「ある」と答えており、昨年の60.3%から13ポイント増加した。
次に、「ある」と答えた人に対して、その具体的な国・地域がどこなのか尋ねた。その結果、日本人では、「北朝鮮」が80.6%(昨年75.0%)で最も多く、これに「中国」が66.6%(昨年68.1%)で続き、この2つが突出している。
他方、中国人では、「日本」が75.9%(昨年81.8%)で最も多く、昨年同様「米国」(69.4%、昨年は73.8%)を上回っている。増加が目立ったものとしては、「韓国」が昨年の4.8%から今年は20.0%へと15ポイント増加し、「北朝鮮」(11.8%、昨年は7.1%)よりも多い。
「中国」に対して「軍事的な脅威を感じる」という日本人にその理由を尋ねると、「しばしば日本の領海を侵犯しているから」が74.1%(昨年72.5%)で最も多く、これに「日中間には、尖閣諸島や海洋資源で紛争があるから」(60.1%、昨年は61.7%)、「中国が軍事力増強を続けているから」(55.7%、昨年は54.8%)が続いている。
これに対して、「日本」に「軍事的な脅威を感じる」という中国人にその理由を尋ねると、「日本は米国と連携し軍事的に中国を包囲しているから」が69.4%(昨年64.1%)で最多となった。次いで、「日本は侵略戦争を起こしたのに、未だに歴史的事実を否定、隠蔽しようとし、反省や謝罪の念が薄らいでいるから」が57.8%(51.5%)で続いている。さらに、「日本の防衛計画が明らかに中国を仮想敵国として位置付けているから」が52.3%となり、昨年の41.2%から11ポイント増加している。
尖閣諸島をめぐる領土の対立を契機として、日中間で軍事紛争が勃発する可能性について、日本人では、「起こらないと思う」との見方が35.9%(昨年38.8%)で最も多い。しかし、「わからない」も35.5%(昨年34.2%)ある。「将来的には起こる」と、「数年以内に起こる」という見方は合わせると28.4%(昨年26.9%)だった。
他方、中国人では、「将来的には起こる」と「数年以内に起こる」の合計が62.6%となり、昨年の41.3%からなんと21ポイントの増加となった。逆に、「起こらないと思う」との見方は17.3%となり、昨年の39.2%から22ポイント減少している。
日中両国の領土をめぐる対立の解決方法については、日本人では「両国間ですみやかに交渉して平和的解決を目指す」が46.4%(昨年46.2%)で昨年同様最も多い。
これに対して中国人では、「領土を守るため、中国側の実質的なコントロールを強化すべき」との回答が62.1%(昨年58.2%)で最も多く、「外交交渉を通じて日本に領土問題の存在を認めさせる」(51.2%、昨年は50.3%)が続いている。
現在、北東アジアの安全保障を議論する常設の場が存在していない。そこで、そのような多国間の枠組みは北東アジアに必要だと思うか尋ねたところ、日本人では「必要である」が41.2%となり、「必要でない」の6.3%を大きく上回っている。
中国人では「必要である」が49.6%と半数近い。ただ、「必要でない」も26.0%いる。
次に、「必要である」と回答した人に参加すべき国を聞いたところ、日本人では「日本」(90.8%)、「中国」(89.8%)、「韓国」(83.7%)の3か国が8割を超えている。次いで、「北朝鮮」(57.5%)、「米国」(56.6%)、「ロシア」(55.6%)が5割台で並んでいる。
これに対し中国人では、「中国」が86.4%で突出しているが、以下は「ロシア」(50.4%)、「米国」(49.0%)、「日本」(46.3%)、「韓国」(44.6%)が4割から5割で並んでおり、「六者会合」の枠組みを意識している人が多い。
日本と中国の経済関係について、日本人では「両国経済は競合しており、win-winの関係を築くことは難しい」(「どちらかといえば」を含む、以後同様)との見方が、37.5%(昨年38.0%)で、「両国経済は相互に補完しており、win-winの関係を築くことができる」(「どちらかといえば」を含む、以後同様)の29.5%(昨年27.7%)を上回っている。
逆に、中国人では、「両国経済は相互に補完しており、win-winの関係を築くことができる」との見方が、昨年の51.1%から10ポイント増加して61.5%となり、6割を超えた。逆に、「両国経済は競合しており、win-winの関係を築くことは難しい」は昨年の43.3%から今年は32.3%へと減少している。
この数年、日中の貿易総額や対中投資が減少する中、日中の経済・貿易関係の今後の見通しについて、日本人では「今後も減少する」(「大きく」と「やや」の合計、以後同様)との見方が44.2%(昨年41.9%)、「今後も変わらない」との見方が20.9%(昨年18.1%)となり、合計すると日本人の65.1%が今の状況が変わるかどうか確信を持つことができていない。
他方、中国人では、「今後も減少する」との見方が34.3%となり、昨年の43.5%から減少した。ただ、「今後も変わらない」との見方の29.4%(昨年27.8%)と合計すると63.7%が今の状況が変わるか確信を持つことができていない。
では、日中の経済・貿易関係を発展させるために必要なことは何かということについては、日本人の57.0%(昨年62.9%)、中国人の45.8%(昨年50.3%)が「政府間関係の改善」と回答しており、これが最優先課題であるという点で両国民の認識は一致している。中国人ではさらに、「民間企業による地道な経済活動の強化」が必要だと考える人も39.6%(昨年31.9%)と4割程度存在している。
安倍政権は現在、3本の矢からなるアベノミクスを掲げて経済の構造改革に着手し、潜在成長率の引き上げ、デフレからの脱却に取り組んでいる。そこで、こうした日本の「アベノミクス」が成功するか、その見通しを尋ねたところ、日本人では「現時点では判断できない」が52.3%と半数を超えている。
他方、中国人では、「失敗すると思う」(39.4%)と「既に失敗していると思う」(14.7%)の2つを合計すると、半数以上が「失敗」と判断している。
次に、現在中国政府は、鉄鋼等の過剰生産や不動産の過剰在庫など、中国経済の構造問題の解消に取り組んでいるが、こうした構造調整が成功すると思うかを尋ねた。その結果、日本人では、「現時点では判断できない」が40.5%で最も多い。
他方、中国人では、「成功すると思う」が41.8%で最も多い。ただ、「うまくいかないと思う」も17.5%いる。
日本人の65.9%は国際社会において、「アメリカ」がこれからもリーダーシップを発揮すべきと考えており、これが突出している。自国「日本」と回答した日本人は34.5%だった。
中国人では、63.6%が自国「中国」が国際的なリーダーシップを発揮すべきと考えている。次いで、「アメリカ」(38.4%)、「ロシア」(30.4%)が続いている。
日本人で「中国」と回答した人は5.5%、中国人で「日本」と回答した人は8.5%とそれぞれ1割に満たない。
日本人の58.4%(昨年58.0%)、中国人の45.0%(昨年46.7%)が、日中関係の「平和的な共存・共栄関係を期待するが、実現するかはわからない」と考えている。ただ、日本人では「平和的な共存・共栄関係が実現できる」との見方は6.3%(昨年8.2%)にすぎないのに対し、中国人では昨年の19.4%から30.8%へと11ポイント増加している。今後も「対立関係が継続する」との見方も、中国人では昨年の24.8%から14.4%に減少している。
東アジアの将来のために目指すべき価値観として、日本人が最も重要だと考えているのは「平和」で64.3%(昨年72.0%)だった。これに「協力発展」(39.6%、昨年は41.6%)が続く構図は昨年と同様である。
他方、中国人では、「協力発展」が43.9%(昨年39.6%)で最も多く、これと「平和」の41.5%が並んでいる。ただ、「平和」は昨年の59.6%から18ポイント減少している。
日中間やアジア地域に存在する課題の解決に向けて、日中両国が協力を進めることについて、日本人の66.0%(昨年64.4%)、中国人の57.2%(昨年54.3%)が「賛成」(「どちらかといえば」を含む)と答えている。昨年調査では、中国には「反対」(「どちらかといえば反対」を含む)する人も29.3%と3割程度存在していたが、今年は24.8%に減少している。
協力するべき具体的な分野としては、日本人では「北朝鮮の核問題」が73.0%で最も多く、昨年の50.9%から22ポイント増加している。次いで、「大気汚染などの環境問題」(60.8%、昨年は67.7%)となっている。増加が目立ったものとしては、「北東アジアにおける平和維持」が昨年の39.8%から50.2%となり、半数を超えている。
これに対し中国人で、最も多いのは「北東アジアにおける平和維持」で41.0%(昨年37.3%)であり、この点では日中両国民の認識は一致している。次いで、「貿易・投資などにおける協力関係の強化、自由貿易地域の形成」(34.4%、昨年は35.1%)となっている。
日中韓サミットが今秋にも開催される予定になっているが、この首脳会談の場において、最も議論してほしい課題を尋ねたところ、日本人では「北朝鮮の核問題」(51.2%)が最も多く、これに「日中韓の関係向上に向けた広範な話し合い」(35.8%)が続いている。
他方、中国人では、「首脳同士の信頼関係の向上」が30.9%で最も多い。次いで、「日中韓の協力関係の向上に向けた広範な話し合い」(28.0%)、「北朝鮮の核問題」(27.0%)、「歴史認識問題」(27.0%)となっている。
日本人の68.2%が、日本と中国が世界的な課題解決に向けた協力をすることは「大切だと思う(「どちらかといえば」を含む、以後同様)」と考えている。
中国人でも67.3%が「大切だと思う」と答えている。ただ、「大切だと思わない(「全く」と「あまり」の合計)」という中国人も27.5%いる。
その協力すべき世界的課題として、日本人で最も多いのは、「国際テロ対策」の56.9%である。次いで、「核拡散防止や核軍縮」(47.4%)、「国際的な環境問題・気候変動への取り組みの促進」(46.8%)となっている。
他方、中国人で最も多いのは、「中東や北アフリカを含む世界における平和維持」の43.4%だった。以下、「世界のインフラ開発や発展途上国との経済協力」(37.5%)、「核拡散防止や核軍縮」(37.1%)となっている。
中国のメディアが日中関係の改善や、両国民の相互理解を促進していく上で貢献しているかについて、中国人の72.9%(昨年73.2%)と7割以上が「貢献している」(「とても」と「少し」)の合計、以後同様)と答えており、中国人の自国メディアに対する評価は高い。
これに対して、日本のメディアが貢献しているかについて、日本人の「貢献している」という評価は35.2%(昨年33.1%)にすぎない。「何も貢献していない」(19.6%、昨年22.6%)、「逆に悪影響を与えている」(9.9%、昨年14.4%)という否定的な評価も合計すると3割ある。
次に、中国のメディアの日中関係に関する報道を「客観的で公平」と感じている中国人は71.3%(昨年75.9%)と昨年同様高水準にある。
これに対して日本人の場合、日本の報道を「客観的で公平」なものになっているかどうか「どちらともいえない/わからない」という人が53.2%(昨年50.3%)で最も多い。「客観的で公平」だと感じている人は、20.2%(昨年19.5%)と2割を切っている。「客観的で公平ではない」は26.4%(昨年30.1%)だった。
日本人の35.4%(昨年38.9%)は、インターネット上の世論は民意を「適切に反映していない」と見ており、「適切に反映している」(「ある程度」を含む、以後同様)の28.6%(昨年29.5%)を上回っている。
これに対し、中国人では、「適切に反映している」と「概ね反映している」の合計が88.0%(昨年84.4%)と9割近い。
日本人では「中国への訪問経験」があるという人は1割、「親しい」あるいは「多少話をしたりする」中国人の友人がいるという人は2割程度で、昨年から大きな変化はない。一方、中国人では「日本への訪問経験がある」という人が昨年の7.9%から13.5%へと増加している。日本人の中国に対する情報源は日本のニュースメディアで、特にテレビが突出している構造は昨年と同様である。中国人も中国メディアを情報源とする人は8割を超えているが、日本よりは情報源は多様化している。
日本人で、「中国への訪問経験がある」という人は15.6%(昨年15.1%)で、「親しい」、「多少話をしたりする」中国人の友人・知人がいるという人は19.6%(昨年19.2%)となり、昨年から大きな変化はない。
中国についての情報源は「日本のニュースメディア」(94.2%、昨年は95.8%)が大勢を占め、その中でも「テレビ」(75.1%、昨年は75.8%)が突出しているという構図も昨年と同様である。
一方、中国人では「日本への訪問経験がある」という人は、昨年の7.9%から13.5%に増加している。昨年倍増した「親しい」、「多少話をしたりする」日本人の友人・知人がいるという人は7.1%(昨年7.3%)となり、変化はない。
日本についての情報源は多様化している。「中国のニュースメディア」(86.5%、昨年は89.6%)が特に多いが、その他にも「中国のテレビドラマ・情報番組、映画作品」(53.9%、昨年は57.6%)、「中国の書籍(教科書も含む)」(32.8%、昨年は30.1%)も比較的多くの人が利用している。さらに「日本のニュースメディア」も16.3%(昨年15.7%)ある。「家族や知人・友人、ネット・SNSを通じた会話・情報」も20.0%と日本人(10.7%)よりも多い。
次に、「中国のニュースメディア」と回答した人に、その具体的なメディアを尋ねると、「テレビ」が最も多いが昨年の82.4%から今年は61.0%へと20ポイント以上減少している。そして、「携帯機器(携帯電話、スマートフォン、タブレット端末)を通じたニュースアプリ、情報サイト」が昨年の4.8%から今年は26.7%へと22ポイント増加している。
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