. 東京-北京フォーラム 公式サイト - 2014年開催 第10回(後半)

 経済対話後半は「持続可能な経済発展に向けた日中の協力」というテーマに対し、ミクロ的な側面から議論が行われました。

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 まず、中国側パネリストの張氏が日中のビジネスは「政冷経冷」の状態にあり、経済側から協力を促進し、政治関係の膠着状態の打開につなげるべきと指摘しました。また中国の環境問題に関して、汚染は国境を超えて影響を及ぼしているとし、環境保護において経験を持つ日本と協力して解決をしていきたいと述べました。また、日中の環境問題での協力において省エネ環境フォーラムの再開や、日中友好環境保全センターを利用した共同研究、省エネ環境投資基金の規模拡大が重要と主張しました。

 槍田氏は日中間協力について6つの点を指摘。①アジア・アフリカにおけるインフラ案件を含めた日中協力に関して、アジア、アフリカにおける社会的な課題を解決し、安定的な発展を目指していくため日中の協力により貢献ができればいい。中国のインフラ投資銀行に関しては日本からの投資も歓迎すると表明していたが、日本にどういった役割を期待しているのかとの疑問がある、②日中韓のFTA、RCEP、TPPについて、FTA締結がアジア全体を包括するRSEPにつながるため早期可決を期待している、③資源エネルギー分野での協力では、鉄鉱石、石炭、天然ガス以外にも大規模太陽光発電や風力発電での協力も考えられ、日中での新しい技術開発の可能性がある、④原子力発電における協力に関して、原子力発電の安全性などについて両国で話し合いを重ねるべき、⑤環境問題は、民間だけでは手に余る問題、政府の後押しが必要、⑥人的交流では、近年日本を訪れる中国人が100万人を超えたことで、メディアを介さない直接交流の重要性を強調し、いかにして相互の直接交流を増やすかが重要――と述べました。

 梁氏は環境分野における協力は必要とした上で、谷津氏に対し、日中友好環境保全センターの今後の役割拡大の是非を尋ねました。また日中省エネ環境投資ファンドに関して、さらなる資金支援の必要性を訴え、田波氏に対し国際協力銀行の観点を問いました。

 山口氏は「ようやくこのフォーラムでビジネスにつながる話がでて勇気づけられた」と笑いを見せ、張氏に対し環境以外での協力分野を問い、槍田氏に対して金融との絡みについてより具体的な内容を尋ねました。

 槍田氏は人民元の自由化がビジネスの自由化において最も望ましいと指摘しました。医薬業が今後中国において拡大するという魏氏の意見については、日本では医療事業への規制が厳格であるため、民間企業がインドやシンガポールで事業を行っている実情を指摘し、「医薬業分野でのビジネスのやり取りが活発に行われれば、大変魅力的」だと述べました。

 河合氏はそれまでの議論をまとめる形で、日中協力に対する認識は①お互いがWin-Winの関係を築ける、②お互いのWin-Winの関係を超えて、アジアや世界規模でのWin-Winの関係を築くことができる、という2つのパターンに分かれると指摘しました。また、中国が中所得国の罠を抜け出すことの重要性を強調し、日本の経験を活かせる領域を指摘。具体的には①技術革新、②社会的安定性の維持(所得格差の是正や機械の均等。教育や保健、社会保障制度など)、③公務員の腐敗の除去、④水やエネルギーの効率的利用・環境への負荷低減、⑤金融危機回避、⑥法の支配強化の領域を示しました。

 國部氏はビジネスレベルでの協力の在り方を具体的に示し、インフラ分野に関しては、アジア、中国では民間資本を使ったインフラ整備への期待が高まっており、日本の銀行が海外で蓄積してきた財政に依存しない資金調達の経験が中国でも役に立つ、としました。環境分野の協力では、資源エネルギー確保は日中共通の課題とし、日本の燃費効率の高い発電所やエコカー技術などが中国においても活用できるとしました。

14928_sasaki.jpg 佐々木氏は日本の発電所などの設備は高品質高価格であり、中国で開発されるものは標準的な品質と価格である。開発途上である国への売り込みでは、中国との競りで負けてしまうという現状を述べた上で、日中で協力すれば、高品質高性能を標準的な価格で提供していける可能性があるとしました。また中国国内でのエネルギー消費に関して、省エネ化の促進の重要性を強調しました。

 田波氏は環境とエネルギー問題は表裏一体であると指摘。化石燃料の有限性や日本の大気汚染問題対策が経済成長に多大な効果があったことを指摘し、「中国が積極的に環境問題に取り組むことを高く評価したい」と語りました。また国際協力銀行の日中省エネ環境投資ファンドに対する観点に関して、事柄が上手くいけば資金的な問題は解決されるのではないかとの見解を示しました。日中省エネルギー環境フォーラムについては日本側から中止を申し出たことはあり得ないとし、こういった不可解ことが起こらないように我々は努力をしていくべきと指摘しました。

140928_yatsu.jpg 谷津氏は日中友好環境センターの日中環境協力拠点化や、アジアにおける日中の協力に対し賛成の立場を示しました。また、スマートシティや環境モデル都市などについてASEAN諸国から提案されるようになってきた実情を述べ、そうした方向で日中連携の取り組みを進めていきたいと述べました。環境分野における資金の問題に関しては、「資金は当然ながら重要な問題となってくる」とし、ファイナンス側からの支援も大事だと強調しました。

 

 パネリストからの発言が一巡した後は、フリーディスカッションに移り、多岐に渡る議論が交わされました。インフラ投資銀行に関しては、日本側からビジョンを提示してほしいという意見が出され、「理念が合致すれば日本側がアジアインフラ投資銀行に参加することもあり得る」としました。中国側はこれに対し、IMFやADBでは補えない部分を補完するものであり、途上国、貧困地域のためのインフラ整備が趣旨であると回答しました。また日中両国間の絆を深めるために、人的交流を重視する意見が日中双方から出され、人的交流促進のための規制緩和の必要性も指摘されました。その他、都市化にあたる公共機関の交通システム整備の必要性や、ビジネスにおける法の執行への監視強化の重要性等にも議論が及びました。

140928_k_3.jpg この後、日中双方の司会者から議論の総括が行われ、晋氏は中国が経済構造改革においてGDPではなく質の重視へと転換を図っていることを指摘。また、これまでの議論により環境問題や医療事業、食の安全などといった分野で日中の協力の可能性が示されたことを再確認し、協力を進めるうえで日中間の相互理解が重要としました。

140928_muto.jpg これに対し武藤氏は、日中間の協力の在り方の変化について述べました。これまでの日中協力は、中国の経済発展をいかにして達成するかという協力関係でしたが、現在中国は世界第二位の経済大国となり、中国自身が世界に対し大きな影響力を持ち始めました。今後も日中関係は相互補完的な関係であり続けるが、これからは中国と日本がアジア・世界に対して責任をもつことが重要になっていくと述べました。またインフラ投資銀行が重要な問題となったことについて、今後も議論をしていくべきであると話しました。最後に、今回の議論を通して日中はWin-Winの関係を築いていくことができるという結論が示されたと述べ、この日の議論を締め括りました。

⇒【経済対話・前半】日中の経済関係において、協力できることは何か

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