. 東京-北京フォーラム 公式サイト - 2010年開催 第6回

【記事】 経済対話 前半

 

記事 経済対話 前半1

 

 8月30日午後に開催された分科会「経済対話」においては、「アジアの持続的成長と日中の貢献」という議題の下に議論が交わされた。今回のフォーラムの全体テーマは「アジアの未来と日中の貢献」とされており、「経済対話」はそれと密接に関係する分科会となる。前半部では「日中経済の持続的発展とアジアの成長モデル」、後半部では「日中の経済交流とビジネス提携の深化と拡大」というテーマ設定がなされた。前半部には日本側パネリストとして、武藤敏郎氏(株式会社大和総研理事長、前日本銀行副総裁、元大蔵省事務次官)、林芳正氏(元経済金融担当大臣)、河合正弘氏(アジア開発銀行研究所所長)が、中国側パネリストとして、趙晋平氏(国務院研究発展センター外経済研究部副部長)、張蕴岭氏(中国社会科学院国際研究学部学部委員、国際研究学部主任)、赵晓笛氏(中国国際貿易促進委員会経済情報部部長)が出席。基調報告は山口廣秀氏(日本銀行副総裁)と蘇寧氏(中国人民銀行元副総裁)が行った。小島明氏(日本経済研究センター研究顧問、前日経センター会長)と桑百川氏(対外経済貿易大学国際経済研究院院長)が司会を務めた。

 

 最初に日本側司会の小島明氏が「アジアの持続的成長にはどのような制約要因があり、どのような日中協力が可能か」という分科会のテーマを改めて示した。

 これを受け、日本側から山口廣秀氏が基調報告を行った。山口氏は、アジアの持続的成長に向けての課題を当面の課題と中長期的な課題に分けて説明。当面の課題としては物価の安定や金融面での不均衡の回避、不確実性の高まりへの対応を指摘した。中長期的課題としては、生産性の向上や成長の自律性構築、金融仲介機能の強化と多様化、それに伴う政策運営の困難さへの対応が必要と述べた。

 中国側の基調報告は蘇寧氏が行った。蘇氏は、輸出主導型のアジアの発展モデルは転換の必要に迫られているとし、外需と内需、投資と消費、国内地域間のインバランスの調整を行わねばならないと主張した。

 以上の基調報告を踏まえ、各パネリストが発言した。

 武藤敏郎氏は、中国の超長期的な成長制約要因として、1. 通貨問題含めた中国の市場経済化の遅れ、2. 高齢化に伴う社会保障制度拡充と公的負担の増加、を指摘した。また日中共に内需と外需のバランスのとれた発展を目指すべきだとした。

 赵晓笛氏は、膨大な日本の対中直接投資に比べ、中国の対日直接投資は小さく、それがバランスある発展の制約要因となる可能性があると述べた。

 張蕴岭氏は、アジアの活力はこれからも製造業であり、その質の転換が大事だと発言。新型商品への需要拡大には政策面の後押しが重要だと述べた。また、アジア地域の内需拡大に果たす経済統合の重要性に触れた。

 趙晋平氏は、欧米のFTAに比べたアジアのFTAの遅れを指摘し、日本政府は中日韓FTAの実現により積極的な態度をとるべきと指摘した。

 河合正弘氏は、製造業もサービス業も欧米一辺倒から脱し、アジア新興国の需要を喚起する生産ミックスの転換が必要だと述べた。また中国は社会保障の充実を通じて企業部門に偏る貯蓄を間接的に家計に回し、消費者を育成することを考えてはと提案した。また民間レベルでの技術協力では知的財産権の保護が重要になると指摘した。

 林芳正氏は、中国は欧米の経済学を国内事情にうまくあわせてやっているとしながらも、人民元の問題について質問。オリンピックから万博までの年数が日中間で3分の1になっていることを引き合いにだし、2015年までには平成のプラザ合意が必要になるのではないかと述べた。

 蘇寧氏は、経済発展に伴いレートが変動するのは当然だが、レートの変動自体が輸出入のバランス改善につながるとは思わないと述べ、現時点ではコントロール可能な範囲での変動が望ましいとの見方を示した。

 その後フロアから中国側に環境に対する考え方が問われた。趙晋平氏は、第11次5カ年計画の政績表で環境が重点項目とされた点を説明。地方自治体は成長を重視し環境を軽視する傾向にあったが、近年急速に改善してきていると述べた。消費拡大に向けた施策を問われると、中国の経済発展に伴い進出多国籍企業はターゲットを欧米から中国国内市場に移していると答えた。蘇寧氏は、労働者賃金の引き上げは市場メカニズムに任せるだけでは十分ではないと述べた。

 最後に日本側司会の小島氏は市場メカニズムだけではうまく解決できない問題もあり、広い意味でバランスのとれた新発展モデルの模索が必要と総括した。

 中国側司会の氏は、パネラーや聴衆に感謝の意を表し、前半部が終了した。

 ここで会場は25分間のコーヒーブレイクに入った。

親カテゴリ: 2010年 第6回
カテゴリ: 記事