. 東京-北京フォーラム 公式サイト - 2010年開催 第6回

【記事】 メディア対話 前半

 

記事 メディア対話 前半1

 8月30日午後に開かれた「メディア対話」分科会においては、全体のテーマである「日中の相互理解とメディアの役割」のもと、前半部では議題を「日中共同世論調査に基づく議論」として議論が交わされました。前半部には日本側パネリストとして下村満子氏(ジャーナリスト、前経済同友会副代表幹事)、小倉和夫氏(国際交流基金理事長)、奥野知秀氏(共同通信社常務理事編集局長)が、中国側パネリストとして劉沢彭氏(中国人民政治協商会議全国委員会常務委員)、王芳氏(人民日報国際部副主任・高級記者)、徐泓氏(北京大学ジャーナリズム・コミュニケーション学院常務副院長)が出席しました。

 基調報告を行ったのは、言論NPO代表の工藤泰志、黄星原氏(中国人民外交学会秘書長)、司会を務めたのは、日本側は高原明生氏(東京大学大学院法学政治学研究科教授)、中国側は崔保国氏(清華大学ジャーナリズム・コミュニケーション学院副院長)でした。

記事 メディア対話 前半2

 最初に工藤と黄氏が、今回のフォーラムに先立って実施された世論調査をもとにそれぞれ基調報告を行いました。

 まずは工藤から今回のフォーラムに先立って実施された世論調査の分析報告が行われ、日中両国民が相互に交流する機会が少なく、相手国に関する情報源として自国のニュースメディアに依存しており、以前として相互理解が脆弱であるという問題提起がなされました。

 続いて黄氏が基調報告を行い、中国側の日本に対する好感度は上がっているとの見方を示す一方で、日中関係を妨げる要因として相互信頼が希薄であるという回答が日中共に最多であったことに言及し、相互信頼のためにメディアが相互に努力すべきとの見解を示しました。

 これらの報告を受けてまず下村氏が発言し、「過去は過去としながら、未来志向でともに世界を築いてゆくという視点を、メディアも大切にすべきではないか」と述べました。

 劉氏は、「たしかに両国間の認識には改善が見られるが、まだ理想的な状態にあるとは言い難く、具体的なプロジェクトの実施を通じて互いに交流を図る努力をすべきである」と発言しました。

 続いて小倉氏が発言し、個人としての対日イメージと社会としての対日イメージを区別すべきだとした上で、「中国人一人ひとりが日本に親しみを感じるようになっても、中国社会としての対日イメージは依然として反日であるのでは」という見解を述べました。

 王氏は、フランスとドイツが歴史問題について協力して共通認識を築いてきたことに触れ、「日中間、特にメディアの間で、こういった共通認識を築く努力をすべきでは」ということを指摘しました。

 奥野氏は、日本の有識者の間で中国の軍事的脅威を感じる割合が高まっているが、逆に中国では日本を軍事的脅威として感じる割合が減っていることに着目し、「中国国民の関心がアメリカにシフトしていることを示唆しているのではないか」と述べました。

 徐氏は、今回の世論調査の中の、中国側の大学生の動向に着目しました。1990年代生まれの新世代が学生になっているが、彼らの間にこれまでと異なる日中関係の味方を見て取れると指摘した上で、20代の若者の今後の日中の関係を占うと言う意味で重要だという見解を述べました。

記事 メディア対話 前半3 この後、フロアも交えた質疑応答が行われました。

 その中で黄氏は、「インターネットという新しいメディアの登場によって、中国のメディアに多元化が生じている」と述べました。また全体の議論を踏まえた上で、飯田氏は「中国側は日本メディアが誇張して報道する傾向に対して問題意識を持つ一方、日本側は中国メディアの報道規制を問題視する傾向があるのでは」と指摘しました。さらに、フロアからは「両国民の相互理解を深めるためにも、メディアとして両国民の生活や文化を紹介する努力をすべき」との意見が出ました。

 前半の議論はここで終了です。15分の休憩をはさみ、後半に移ります。

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