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特別分科会

2016年9月27日 (火曜日) 13:30-17:45  ⇒ 報告はこちら

全体テーマ:日中の人的移動は両国関係の新風となれるか
~生活、就労、観光、留学―民間で進む日中台交流の課題と展望
前半テーマ:両国民間で進む人的移動と交流の実態と課題
後半テーマ:日中の人的移動を両国関係の追い風にするための何が必要か

 ※プログラム・パネリストは変更になる場合がございますので、予めご了承ください。
司会

小倉和夫(国際交流基金顧問、元駐フランス・韓国大使)
福本容子(毎日新聞社論説委員)
王惠(北京市政府新聞弁公室元主任、ニューススポークマン)

パネリスト

 
【日本側】

小倉和夫(国際交流基金顧問、元駐フランス・韓国大使)
福本容子(毎日新聞社論説委員)
江川雅子(一橋大学教授)
加藤鮎子(衆議院議員)
杉村美紀(上智大学総合人間科学部教育学科教授)
日野正夫(東日本旅客鉄道株式会社常務取締役、鉄道事業本部副本部長) ※前半のみ
山下晃正(京都府副知事) ※前半のみ

【中国側】

王惠(北京市政府新聞弁公室元主任、ニューススポークマン)
劉江永 (清華大学当代国際関係研究院教授)
羅玉泉 (国家旅遊局駐日首席代表)
李茜(雲南省政府新聞弁公室主任、ニューススポークスマン)
李文麗 (海信日本公司(ハイセンスジャパン)総経理)
段跃中 (日本僑報出版社総編集長)
 

分科会:食料対話

 

 今回が初めての開催となる食料対話では、前半は両国にとって喫緊の課題である食料の安全保障について、後半は両国民の不安が高まっている食品の安全性について議論が行われました。日本側の司会は生源寺眞一氏(東京大学大学院農学生命科学研究科長、農学部長)、中国側の司会は宋洪遠氏(農業部農村経済研究センター主任、研究員)が務めました。

 前半では,まず生源寺氏が基調報告を行い、日本の農業と食生活が経済成長とあわせて変化してきた歴史を振り返りながら、食料の問題が国際化しており、アジアにおいても食生活の向上や人口増加、価格高騰をうけて競争が激化している現状について説明しました。そして、その中で安定的に供給源を確保していくためには、国内における農業生産力を向上させ、人的資源を確保することが必要であると述べました。

 次に張暁山氏(中国社会科学院農村発展研究所所長、研究員)の基調報告では、中国の現状として、工業化や都市化の進展によって受給のバランスが崩れていること、95%の自給率を達成しながらも食料の輸出入大国となっていることを説明し、双方が抱える食料安全保障の問題について、共通する点が多いことを強調しました。

 以上の問題提起に対して、パネリストたちから様々な意見が出されました。

 渡辺好明氏(東京穀物商品取引所理事長)は、中国、インド、アフリカなどのめざましい経済成長や、燃料用としての穀物への新たな需要によって、価格が高騰し受給が切迫している現状を「食料危機」として、各国が食糧供給力を強化すべきであると発言しました。

 続いて朱長国氏(中国糧油学会理事長)は中国の食糧供給について、備蓄量が豊富で調整能力が高く、基本的に安定であると述べました。

 また伊藤博氏(三井物産株式会社顧問)からは、日本が技術面で中国の生産量増大に協力するなど、自国の供給力増強はもちろん、緊密な関係を築いてお互いに利益を享受すべきとの意見も出されました。

 一方、宋氏は中国の農業の生産性の低さを問題としたうえで、国内に立脚して自給する姿勢を堅持すべきだとする長期的な展望を示し、インフラ設備や技術力の強化の必要性を強調しました。


分科会食料対話 最後に加藤紘一氏(衆議院議員)は、日本の食料自給率が1950年ごろの73%から現在は39%にまで減少した理由を、食べるものの質の変化にあるとして、これからの食生活のあり方が世界の食料事情を決定すると述べました。

 これを受けて、分科会ではこれからの食生活の見通しや農業政策の方向性をめぐって議論が行われ、保管や物流での日中の協力、食生活や消費構造の転換について言及がありました。

 後半のセッションでは、日中間で現在話題に出ている食品の安全性について討論が行われました。

 中国側で基調報告に立った林偉氏(国家品質検査総局輸出入食品安全局副局長)は、中国の輸出食品の安全管理について、輸出国の要求や基準を満たすように品質管理システムを確立しており、安定した品質を維持していることを強調しました。また、食品安全は中日両国の健全的な発展を促すための基礎であるとして、信頼関係の構築や両国での食品安全メカニズムによる安全の確保などが必要であると述べました。

 日本側の基調報告に立った生源寺氏は、グローバル化と食生活の多様化により、フードチェーンが長大化、複雑化していることを指摘し、特に国境を越えると安全確保が難しくなるため、国をまたいだトレーサビリティの確保、危機管理システム、情報交換が必要であると発言しました。

 これに対して胡飛躍氏(中国医科学学院衛生政策・管理研究センター准教授)は、突発的な事件、生産プロセスの問題、人為的な問題など食品を巡って様々な問題が多発していることを指摘し、中国において、法律に基づいた統一基準と独立性を保った評価システムが必要であると述べました。

 次に山下俊史氏(日本生活協同組合連合会会長)は、餃子問題からの教訓として、複数の予兆を把握できなかったこと、非常に長いフードチェーンの中のハザードの所在の追求が困難であったことを挙げ、日常的な危機管理体制の見直しを進め、信頼の再構築に当たっていることを説明しました。

 次に中村靖彦氏(東京農業大学客員教授、農政ジャーナリスト)は、「安全」は科学的客観事実であり、「安心」は個々の気持ちの問題であると区別したうえで、遺伝子組み換え食品にみられるように、リスクの評価方法が大きな課題になっていること指摘しました。

 最後に神谷有二氏(サントリー株式会社 常務取締役品質保証本部長)は中国での具体的な安全性の確保のために実施している品質保証などの取り組みについて紹介し、日中双方で同じ目的意識を持って努力することが食品企業の役割であると述べました。

 さらに、安心を達成するためには、リスクコミュニケーションやメディアの果たす役割が重要であるとの意見が出され、科学的な基準に従って評価を行い、客観的に報道することが重要であることが強調されました。

 最後に、制度をうまく機能させて安全のレベルを高めていくことが日中共通の課題であるとまとめられ、双方の知恵と経験を統合して、日中間の対話を今後も深めていくことが合意されました。

親カテゴリ: 2008年 第4回
カテゴリ: 記事