. 東京-北京フォーラム 公式サイト - 2012年開催 第8回

特別分科会

2016年9月27日 (火曜日) 13:30-17:45  ⇒ 報告はこちら

全体テーマ:日中の人的移動は両国関係の新風となれるか
~生活、就労、観光、留学―民間で進む日中台交流の課題と展望
前半テーマ:両国民間で進む人的移動と交流の実態と課題
後半テーマ:日中の人的移動を両国関係の追い風にするための何が必要か

 ※プログラム・パネリストは変更になる場合がございますので、予めご了承ください。
司会

小倉和夫(国際交流基金顧問、元駐フランス・韓国大使)
福本容子(毎日新聞社論説委員)
王惠(北京市政府新聞弁公室元主任、ニューススポークマン)

パネリスト

 
【日本側】

小倉和夫(国際交流基金顧問、元駐フランス・韓国大使)
福本容子(毎日新聞社論説委員)
江川雅子(一橋大学教授)
加藤鮎子(衆議院議員)
杉村美紀(上智大学総合人間科学部教育学科教授)
日野正夫(東日本旅客鉄道株式会社常務取締役、鉄道事業本部副本部長) ※前半のみ
山下晃正(京都府副知事) ※前半のみ

【中国側】

王惠(北京市政府新聞弁公室元主任、ニューススポークマン)
劉江永 (清華大学当代国際関係研究院教授)
羅玉泉 (国家旅遊局駐日首席代表)
李茜(雲南省政府新聞弁公室主任、ニューススポークスマン)
李文麗 (海信日本公司(ハイセンスジャパン)総経理)
段跃中 (日本僑報出版社総編集長)
 

120702 k1 7月2日午後に行われた分科会「経済対話」は、「経済協力の促進と世界危機への日中の貢献」というテーマに沿って議論が行われました。午前中に行われた全体会議のテーマである「世界と未来に向けた新しい日中関係」と密接な関係を持っています。

 分科会の前半は、小島明氏(公益社団法人日本経済研究センター参与)が日本側司会、遅福林氏(中国海南改革発展研究院院長)が中国側司会を務めました。前半部には、日本側パネリストとして、武藤敏郎氏(株式会社大和総研理事長、前日本銀行副総裁)、槍田松瑩氏(三井物産株式会社取締役会長、一般社団法人日本貿易会会長)、河合正弘氏(アジア開発銀行研究所所長)、山口廣秀氏(日本銀行副総裁)、藤田幸久氏(参議院議員、財務副大臣)が、中国側パネリストとして魏家福氏(中国遠洋運輸グループ本社取締役会長)、孫振宇氏(中国WTO研究会会長、前常設WTO代表、特命全権大使)、王一鳴氏(国家発展改革委員会マクロ経済研究院常務副院長)が出席しました。


 最初に、日本側司会である小島明(公益社団法人日本経済研究センター参与)が2008年に発生したリーマン・ショックやヨーロッパの危機が周辺国に影響していることを説明し、日中間における経済協力の促進と欧州をはじめとする世界的な経済危機への対応という分科会のテーマを示しました。

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 まず、中国側の3人のパネリストが続けて発言しました。魏家福氏(中国遠洋運輸グループ本社取締役会長)は、日中両国は友好的な基礎があり、日本から中国への外資の導入は多く、地理的に見ても近いとし、日中がこれから協力していく分野として①アジアの地域経済、②海運などのサービス貿易、③通貨スワップなどを含めた金融、④新エネルギーなどのエネルギー面、であると提案しました。


 次に、孫振宇氏(中国WTO研究会会長、前常設WTO代表、特命全権大使)は、日中国交正常化40周年を迎えたものの、日中双方の関係には改善する余地があり、関係を改善するなかで経済関係を深めるべきであると主張しました。そして「日中は共に保護主義に反対し、公平でオープンな貿易を促進する必要がある」と述べました。

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 王一鳴氏(国家発展改革委員会マクロ経済研究院常務副院長)は、東アジアへの影響要因として、政治構造に起因するEUの債務問題の長期化、米国が大規模な財政政策の実施が困難なことから生じる持続可能性への懸念、そして石油価格の高騰や円高などによる外部市場への依存度の高まりを強調しました。また、通商政策として、日中韓のFTAの話し合いを加速すれば、EUやNAFTAに続く巨大な貿易地域になると述べ、「日中韓のFTAがアメリカを中心とするTPPより進めやすい」と主張しました。


 このあと、日本側のパネリストが続けて発言。一番手の槍田松瑩氏(三井物産株式会社取締役会長、一般社団法人日本貿易会会長)は、EUの経済危機がアジアに与える直接的な影響として、アジアからEUへの輸出とEUからアジアへの新規投資が減少することを挙げました。そして、間接的な影響として、今後「EU圏の金融機関がアジアから資金を引き揚げることにより、アジアの株式市場が下落することが懸念される」と述べ、日中企業間の連携、さらにはアジアとEUの連携の必要性を唱えました。120702 a y


 また、藤田幸久氏(参議院議員、財務副大臣)は、日中間で資金を融通する通貨スワップや国債の持ち合いを通じた日中間における通貨の活用を改めて図る必要があると述べました。また中国が経常取引から資本取引へ規制緩和を拡大している点につき、「日中間で推し進める必要がある」と主張しました。


 さらに、山口廣秀氏(日本銀行副総裁)は欧州債務問題のアジアへの波及経路として、①アジアから欧州に向けた輸出の減少、②欧州系金融機関のデレバレッジによるアジア企業の資金調達環境の悪化、③国際金融資本市場の変動による株式・為替市場を通じた実体経済の減速、が挙げられると分析。欧州債務問題のアジアへの波及を出来るだけ小さくするために、日中両国はサプライチェーンの複線化や金融システムの頑健性の向上などの議論をリードする必要があると強調しました。


 武藤敏郎氏(株式会社大和総研理事長、前日本銀行副総裁)は、今まで日中両国は欧州債務問題を受けてIMFの資金調達を支援してきたが、今後はEU自身の資金協力に対して日中が協力することも起こりうると指摘しました。また、日本のFTAに関して「FTAとTPPは矛盾するものではなく、同時に進めるべきである」と主張しました。120702 a y

 このほか、河合正弘氏(アジア開発銀行研究所所長)は、欧州債務問題がイタリアやスペインなどにも波及しているため、日中はESM(欧州安定メカニズム)を日本と中国が支えていくことでヨーロッパ側に協力していくと付け加えました。そして、アジアでは、これからは①環境ビジネス、②インフラ開発、③再生可能エネルギーの促進とそれに対する日本の技術の応用によって、欧州への依存度を減らし、アジアの中で需要を創出すると発言しました。


 指名されたパネリストによる発言が一巡したあとは、日中の経済協力を深めるためにはどうしたらよいか、について、さまざまな視点からの質疑が行われました。終わりごろにはフロアからも質問が出ました。


 やりとりでのパネリストの発言は多岐にわたりました。「ヨーロッパに日中で協力して投資できるのでは」(王一鳴氏)、「日本とはパートナーとしてもっと協力していける」(魏家福氏)、「バブル収縮後は元には戻らない。新しいビジネスモデルをつくらないと発展できない」(山口廣秀氏)、「市場としての中国が現れてきた」(王一鳴氏)、「日中にたまっている巨額の外貨準備をどう有効利用するかは大きな課題」(小島明氏)、「中国は所得再配分など社会政策をもっとやるべき」(同)、「市場労働力の需給関係で賃金が決まる。昨年は0.1%労働力が減った。内陸でも人を雇いにくい。中国の企業はグレードアップを望み、日本企業ともっと協力したいと考えている」(王一鳴氏)など。現代中国の直面する課題を反映する内容が目立ちました。

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