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特別分科会

2016年9月27日 (火曜日) 13:30-17:45  ⇒ 報告はこちら

全体テーマ:日中の人的移動は両国関係の新風となれるか
~生活、就労、観光、留学―民間で進む日中台交流の課題と展望
前半テーマ:両国民間で進む人的移動と交流の実態と課題
後半テーマ:日中の人的移動を両国関係の追い風にするための何が必要か

 ※プログラム・パネリストは変更になる場合がございますので、予めご了承ください。
司会

小倉和夫(国際交流基金顧問、元駐フランス・韓国大使)
福本容子(毎日新聞社論説委員)
王惠(北京市政府新聞弁公室元主任、ニューススポークマン)

パネリスト

 
【日本側】

小倉和夫(国際交流基金顧問、元駐フランス・韓国大使)
福本容子(毎日新聞社論説委員)
江川雅子(一橋大学教授)
加藤鮎子(衆議院議員)
杉村美紀(上智大学総合人間科学部教育学科教授)
日野正夫(東日本旅客鉄道株式会社常務取締役、鉄道事業本部副本部長) ※前半のみ
山下晃正(京都府副知事) ※前半のみ

【中国側】

王惠(北京市政府新聞弁公室元主任、ニューススポークマン)
劉江永 (清華大学当代国際関係研究院教授)
羅玉泉 (国家旅遊局駐日首席代表)
李茜(雲南省政府新聞弁公室主任、ニューススポークスマン)
李文麗 (海信日本公司(ハイセンスジャパン)総経理)
段跃中 (日本僑報出版社総編集長)
 

11月2日 経済対話(前半)報告

  11月2日午後に開催された分科会「経済対話」においては、「国際協力の強化、課題の共同解決」という議題の下に議論が交わされました。今回のフォーラムの全体テーマは「世界経済危機下での日中協力」とされており、「経済対話」はそれと密接に関係する分科会となります。前半部では「日中相互に有益な協力関係を促進し、協力して世界経済危機と戦う」、後半部では「日中協力で、アジアと世界の金融通貨システム改革を推進する」というテーマ設定がなされました。前半部には日本側パネリストとして、田波耕治氏(株式会社三菱東京UFJ銀行顧問、元国際協力銀行総裁)、深川由起子氏(早稲田大学政治経済学部教授)、井口武雄氏(三井住友海上火災保険シニアアドバイザー、同元会長)が、中国側パネリストとして王守栄氏(中国気象局副局長)、李明星氏(中国企業聯合会副理事長兼国際部主任)、呉垠氏(零点研究コンサルティンググループ副総裁)が出席しました。基調報告は福川伸次氏(財団法人機械産業記念事業財団会長、元通商産業事務次官)と遅福林氏(中国改革発展研究院院長)が行い、司会は小島明氏(日本経済研究センター特別顧問)と項兵氏(長江商業学院院長)が務めました。

 初めに日本側司会の小島明氏は、「リーマンショック以来、世界は変わった。危機後の世界のあり方、そこでの協力のあり方について議論をしていきたい」と述べました。


 economy続いて日本側から福川伸次氏が基調報告を行いました。  福川氏は、主として実体経済に焦点を当て、「経済の構造変化」「世界における日中の立場」「危機克服に向けた両国の課題」という三点を話題としました。
 一番目の点に関して福川氏は、「伝統的なG8中心の体制では、金融危機、地球環境などの課題の解決が難しくなっている」「地球の資源や循環機能の無限性を前提としたシステムは、もはや成り立たない。新たな成長モデルが必要だ」と述べました。


 また、日中両国の位置づけに関しては、「両国は世界第二、第三の経済大国で、知的人材も豊富である。また、日本は技術指向型の国家である一方で、中国は非常に高い生産力を有している」とまとめ、協力によってWin-Winの関係を構築できるとしました。


 三点目として、両国の課題については、まず環境と経済の両立を挙げた上で、「人間的な価値を充足するような経済システムを構築しなければならない。環境はもちろん、生活、安全、文化といったものがそうだ」と述べました。

 
 中国側の基調報告を務めた遅福林氏は、中国経済の今後の構造変化に関し、幾つかの視点を提示しました。第一に、消費主導の経済への転換です。現在GDP中の消費の比率は低く、また農村部の市場に潜在力があることから、消費を高めていく余地は大きい、という議論です。「GDP至上主義からの脱却」という言葉も用いました。また、中国において公的サービスへの需要が高まっており、消費の質的な変化が生じている点にも触れ、福祉や教育改革の必要性を論じました。その他、低炭素社会の構築や、都市化の進展なども、経済構造を変えていく重要な要素として挙げました。

 以上の基調報告を踏まえ、各パネリストが発言しました。

  田波耕治氏は、昨今の経済危機について、「アメリカの個人消費に依存した消費は限界に達した。それに代わる新たな成長モデルが必要だ」としました。即ち、内需拡大が必要だということです。ただし田波氏は、内需拡大のための方策について、「解がない問題だ」と述べ、代わりに二つの視点を提示しました。一点目に挙げたのは、アジア経済全体を視野に入れること、特に日中両国がアジアの貧困の撲滅に立ち向かうことです。二点目としては、少子高齢化、環境問題といった中長期の問題に対し、そうしたマイナス要因を乗り越え、新たな需要を喚起していくということです。

 王守栄氏は、環境分野での日中協力の可能性について語りました。気候変動への対応や、循環型経済への転換という面で、両国は大きな協力関係を築く余地がある、という趣旨の発言です。

 深川由起子氏は、内需拡大という論点につき、「日本は、規制で縛られている分野を変えていくことだ。中国については、インフラ投資だけでなくソフト面も進めていくことと、沿岸部と内陸部など、国内経済を統合していくこと」と述べました。資源・エネルギー制約については、「制約の下で、省エネなどの必要な投資を行っていくことだ」と述べました。この点については小島氏も70年代の日本の経験を引き、賛同しました。

 李明星氏は、内需拡大については、「非効率な投資を避けたり、エネルギー効率を高める必要がある。そこでの日中の協力の余地は大きい」としました。内需とコインの裏表である貯蓄率の問題については、「社会保障体制の不備が問題だ」とし、共に少子高齢化を迎える中での、社会保障体制整備の上での協力についても言及しました。

 井口武雄氏の発言は気候変動に関係するもので、他のパネリストとは異なる角度から協力の具体策を提案しました。井口氏は、気候変動の影響を最も受けるのは、自力での回復が難しい低所得層であるとしました。そして低所得者層の救済について、「人道的な見地からはもちろん、反社会的な活動を防ぐ意味からも重要だ」という見方を示しました。井口氏の提案は、民間金融機関や中央銀行、国際金融機構などが協力し、低所得者を自然災害の被害から救済する機構を設立してはどうか、というものです。そして最後に井口氏は、「日中の協力があればそれは必ず実現し、有効な手段として機能するだろう」と述べました。

  呉垠氏は、経済危機の影響について、「人の経済、という視点が深まったのではないか」という視点を示しました。日中両国の関係については、市場調査などによって様々な基準を作ること、文化・社会の交流を深めていくことが重要であると述べました。

 その後フロアから、王氏に対して、「GDP至上主義からの脱却」とは具体的にどのような形なのか、と問いが発せられました。王氏は、GDP至上主義は是正される「べき」だとの意見を表明しましたが、「地方政府の幹部がGDPという指標に囚われ、なかなか実行できないことも出てくる」として、実際上の困難を指摘しました。

 最後に日本側司会の小島氏は、「危機後の課題、それから市場経済を生かしていく方向性については、コンセンサスがある」とした上で、「あとは、今後どのようにそれを実行していくかだろう」と総括しました。
 中国側司会の項氏は、「金融危機後は、両国が同じスタンスで会話を共有できている」とまとめ、前半部が終了しました。

 ここで会場は20分間のコーヒーブレイクに入りました。

カテゴリ: 2009年 第5回