. 東京-北京フォーラム 公式サイト - 2010年 第6回

特別分科会

2016年9月27日 (火曜日) 13:30-17:45  ⇒ 報告はこちら

全体テーマ:日中の人的移動は両国関係の新風となれるか
~生活、就労、観光、留学―民間で進む日中台交流の課題と展望
前半テーマ:両国民間で進む人的移動と交流の実態と課題
後半テーマ:日中の人的移動を両国関係の追い風にするための何が必要か

 ※プログラム・パネリストは変更になる場合がございますので、予めご了承ください。
司会

小倉和夫(国際交流基金顧問、元駐フランス・韓国大使)
福本容子(毎日新聞社論説委員)
王惠(北京市政府新聞弁公室元主任、ニューススポークマン)

パネリスト

 
【日本側】

小倉和夫(国際交流基金顧問、元駐フランス・韓国大使)
福本容子(毎日新聞社論説委員)
江川雅子(一橋大学教授)
加藤鮎子(衆議院議員)
杉村美紀(上智大学総合人間科学部教育学科教授)
日野正夫(東日本旅客鉄道株式会社常務取締役、鉄道事業本部副本部長) ※前半のみ
山下晃正(京都府副知事) ※前半のみ

【中国側】

王惠(北京市政府新聞弁公室元主任、ニューススポークマン)
劉江永 (清華大学当代国際関係研究院教授)
羅玉泉 (国家旅遊局駐日首席代表)
李茜(雲南省政府新聞弁公室主任、ニューススポークスマン)
李文麗 (海信日本公司(ハイセンスジャパン)総経理)
段跃中 (日本僑報出版社総編集長)
 

第6回日中共同世論調査
   

英語版はこちら

   言論NPO(代表 工藤泰志)と中国日報社は、今回で6回目となる日中共同の世論調査を実施し、8月12日に、その調査結果の詳細内容を公表した。
この共同世論調査は、日中両国の相互理解や相互認識の状況やその変化を継続的に把握することを目的として、2005年から日中共同で毎年行われているものであり、今回も日中の両国民を対象として今年6月から7月にかけて実施したものである。この調査は2005年から2014年まで10年間継続して実施すること、そして調査結果を「東京-北京フォーラム」の議論の題材として取り上げることで、両国民の間に存在するコミュニケーションや認識のギャップの解消や相互理解の促進のための対話に貢献することを、言論NPOと中国日報社は合意している。  調査では、まず、中国人の対日イメージは改善傾向が顕著であり、今後の日中関係についても楽観的な見方が強まっている一方で、日本人の中国に対するマイナスイメージはなかなか改善が進んでおらず、日本人の半数が日中関係の改善に確信を持てない状況にあることが明らかになっている。認識の前提となる交流の度合い、情報源については、両国民の直接交流は依然として極めて少なく、相手国に関する認識はほとんどを自国のニュースメディアからの情報に依存している。この点は、過去5年間と比較して大きな変化はない。
 また、日中両国民ともに日中関係が「重要」との認識は大多数を占め、日中関係と米国との関係については、両国民の多くが「どちらも大事」と見ている傾向は変わっていないが、中国人の中に米国重視の見方がこの一年で増加している。両国関係の懸念材料としては、「領土問題」との回答が最も多いが、「日中両国民に信頼関係がないこと」を選ぶ人も日中それぞれに多く、相互理解や信頼醸成の重要性を浮かび上がらせている。
   さらに今回は、世界と日中の将来に関する両国民の認識を問うている。日本人は日本の将来を考える上で米国と中国の2国に強い関心を持っているが、中国人の関心は米国(7割)に集中しており、日本への関心は4割と差がついている。これからの世界政治をリードしていく国や地域を問う設問では、日本人の半数が今後も米国だと考えているのに対し、中国人は自国に自信を深め、今後の世界のリーダーは半数が中国と考えており、首位の米国に迫っている。中国経済の2050年については、中国人の8割が米国に並ぶか世界最大の経済大国になると予測しており、そうした見方をしている日本人も半数を超えている。ただ、日本の2050年に対しては、日本人では「中程度だが何の影響もない国」との回答が最も多く、中国人の方が「中程度だが影響力が非常に強い国」と日本の2050年をより積極的に予測している。

【第6回 日中共同世論調査概要】

   日本側の世論調査は、日本全国の18歳以上の男女(高校生を除く)を対象に6月16日から7月2日、訪問留置回収法により実施された。有効回収標本数は1000である。
   なお、この調査と別に、言論NPOは有識者へのアンケート調査を世論調査と同じ時期に日本国内で実施した。これまで言論NPOが行った議論活動や調査に参加していただいた国内の企業経営者、学者、メディア関係者、公務員など約2000人に質問状を送付し、うち500人から回答をいただいた。回答者の最終学歴は、大学卒が72.6%、大学院卒が19.2%で合わせて約92%となる。これらは日本社会の平均的なインテリ層の姿を現していると考え、これらの意見と世論調査の結果を比較することで、一般的な日本人のイメージを補完しようと考えた。なお、世論調査では、回答者の最終学歴は高校卒が47.7%、短大・高専卒が15.0%、大学卒が18.4%、大学院卒が1.6%だった。
   これに対して 中国側の世論調査は、北京、上海、成都、瀋陽、西安の5都市で18歳以上の男女を対象に、6月25日から7月9日の間で実施され、有効回収標本は1617、調査員による面接聴取法によって行われた。標本の抽出は、上記の5都市から多層式無作為抽出方法により行われている。
 また、日本側の有識者調査に対応するものとして、中国では北京大学が実施主体となり、学生を対象としたアンケートを6月25日から7月9日の間に、北京大学、清華大学、中国人民大学、国際関係学院、外交学院の学生を対象に行い、1007人から回答を得た。
 


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両国民の直接交流はこの6年間で改善が見られず
   これまでの過去5回の世論調査は、日本と中国の両国民間の直接交流が極めて少なく、相手国に関する認識は、ほとんどを自国のニュースメディアからの情報に依存している状況を明らかにしている。6回目となる2010年の世論調査でも、この傾向は基本的に変化していない。

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日本人の中国情報は日本のテレビニュースに依存
   日本人のうち、「中国への訪問経験がある」と回答した人は昨年と同じく14.5%にすぎない。また「親しい」あるいは「多少話をしたりする」中国人の友人がいる日本人は合わせて18.1%(昨年は16.4%)である。つまり日本人で中国との渡航経験や知人との会話経験がある人は2割足らずで、こうした交流の度合いは、この6回の調査を通じてほとんど変化はない。
   日本人の中国に関する情報源は94.5%が「日本のニュースメディア」であり、その79.8%が「テレビ」から最も多くの情報を得ている。つまり、日本人の中国や中国に対する印象や認識は、中国への訪問や中国人との会話といった直接情報ではなく、日本のメディア、とりわけ「テレビ」に依存して形成されている可能性は高く、この構造もこれまでと同様である。

中国人はニュースの他、ドラマ、映画、出版物で認識形成
   これに対して中国人の日本との直接交流の度合いはさらに乏しい。日本を訪問した経験があると回答した人はわずか0.6%(昨年は0.9%)である。この傾向は2005年の調査(1.3%)からほとんど変わっておらず、6回の調査ともに1%程度の状態である。
   「親しい」あるいは「多少話をしたりする」日本人の友人がいる、と回答する中国人も合わせて3.6%(昨年は5.1%)に過ぎず、この6年間に変化が見られない。日本に関する情報源は、84.4%の中国人が「中国のニュースメディア」と回答しているが、この他にも「中国のテレビドラマや映画」などが55.2%、「中国の書籍(教科書を含む)」も32.2%と多く、「日本のニュースメディア」に依存する日本とは傾向が若干異なっている。
 

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日本人の中国に対するマイナスイメージはなかなか改善進まず
   日本人の中国に対する印象は、マイナスのイメージを持っている人は依然多く、「良くない印象を持っている」が11.0%(昨年は10.5%)、「どちらかといえば良くない印象を持っている」が61.0%(昨年は62.7%)で合わせて72%となり、7割を越える日本人が中国にマイナスの印象を抱いている。この傾向は昨年からほとんど改善していない。
   こうした中国へのマイナスイメージを、選択肢が統一された07年からの4年間で比較すると、中国に対するマイナスイメージは07年の66.3%から08年の75.6%と拡大し、その後改善は進んでいるが、まだ07年時にまで回復していない。

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餃子事件の影響は回復しつつある
   中国に対するマイナスイメージの理由を問う設問では、最も多いのは「食品問題等の中国政府の対応に疑問があるから」(71.1%)だが、昨年よりは減少している。一方、「資源やエネルギー、食料の確保などの行動が自己中心的に見えるから」が昨年(35.9%)から増加して40.4%に、「中国が軍事力を増加させている」も21.7%(昨年は17.6%)と増加している。

中国人の対日イメージは改善傾向が顕著
   これに対して中国人の日本に対する印象は、マイナスのイメージが依然6割程度あるものの、その改善傾向が顕著である。日本人に「良くない印象を持っている」は18.9%(昨年は29.6%)、「どちらかといえば良くない印象を持っている」が37.0%(昨年は35.6%)で、合わせて55.9%となり依然六割程度の水準ではあるが、昨年の65.2%から比較すると10ポイント程度も改善している。 
   中国人が日本に対してマイナスのイメージを持っている理由に関しては、やはり歴史認識が大きい。最も多いのは、「過去に戦争をしたことがあるから」の69.9%で、次いで「侵略した歴史を正しく認識していないから」が53.4%と戦争に関連した理由が上位に並んでいる。

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日本人の中国理解は昨年同様「中華料理」と「万里の長城」程度
   日本人の中国に関する基本的な理解については、今回調査も昨年同様、大きな変化は見られない。「中国と聞いて何を連想するか」という問に対して、もっとも多かった回答は「中華料理」の47.8%(昨年は52.0%)であり、以下、「万里の長城」が32.6%(昨年は37.9%)「安価な日用品」が25.0%(昨年同様)が続き、昨年と順位も同じである。
「知っている中国の歴史上の出来事や事件」では17の選択肢を例示してそれを選んでもらう形をとっているが、「北京五輪」が85.8%(昨年は91.7%)で最多であり、次に多かったのは「天安門事件」の69.1%(昨年は72.2%)であり、この順序も昨年同様である。

日本人は中国を「社会主義・共産主義」、有識者は「全体主義」と見る
   日本人の七割近く(69.6%)が中国を「社会主義・共産主義」と見ており、過去の調査でもこうした見方が定着している(昨年は73.8%)。少し離れて「軍国主義」が32.3%、「全体主義(一党独裁)」が28.8%と続いており、それらの見方にもこの間変化は見られない。少し変化があるとすれば、覇権主義が15.1%(昨年は13.6%)と資本主義が12.2%(昨年は9.1%)と、昨年比で増加していることである。
   逆に「平和主義」や「国際協調主義」はこの調査を始めて以来、3%程度で推移しており、日本人は中国を「平和」や「国際協調」という視点では見ていない。
   日本の有識者はこれに対して、最も多いのは「全体主義(一党独裁)」の67.6%であり、「社会主義・共産主義」が54.4%、「大国主義」が44.6%、「覇権主義」が38.6%と続いている。「資本主義」は30.2%と昨年(23.6%)を大幅に上回った。

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中国人の日本の戦後の出来事に対する理解は一割程度
   「知っている日本の歴史上の出来事や事件」では、今回15の選択肢を提示しそれを選んでもらったが、「満州事変や日本の侵略戦争」を選んだのは79.8%(昨年は86.2%)と最多であり、次に多かったのは「米国の広島・長崎への原爆投下」の52.6%(昨年は39.8%)で、「日露戦争」が34.8%(昨年は22.0%)と続いている。日本の戦後以後の歴史的な事実に関する理解はいずれも1割程度かそれ以下である。

中国人が見る現在の日本社会は「資本主義」と依然「軍国主義」
   中国人に、日本の社会・政治のあり方をどう見ているかを問う設問では、「資本主義」(39.0%)と並んで「軍国主義」が38.9%と依然として多い。ただ、「軍国主義」との回答は昨年の49.0%から比べると10ポイント程度低下している。
   日本が戦後、世界に標榜している「平和主義」は11.2%、「国際協調主義」は8.3%と1割程度の理解である。
中国の学生は72.9%が日本を「資本主義」と見ており、「民族主義」が64.5%、「軍国主義」が33.9%と続いている。「平和主義」は12.8%、「民主主義」14.7%、「国際協調主義」は5.8%とそれぞれ1割以下である。

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日本人の中国人観は、「勤勉だが、利己主義的で信用できない」。中国人の日本人観は、「勤勉で創造的で柔軟性はあるが、利己的で思いやりがなく好戦的」
   ここでは、相手国の国民性を10テーマから判断してもらった。
   まず、「勤勉か、怠慢か」では、両国民共にお互いを「勤勉」と見ている人が多いが、特に中国人は7割近くが、日本人を「勤勉」と感じている。
「柔軟か、頑固か」では、日本人は中国人を「頑固」と感じている人と「どちらとも言えない」がそれぞれ4割で並んだが、中国人は日本人を「柔軟」と見ている人が44.7%で最も多い。ただし、昨年は6割もの中国人が日本人を「頑固」と感じており、「頑固」と「柔軟」がこの一年で逆転した格好となった。
   「信用できるか、信用できないか」では両国民とも相手を「信用できない」と見る人が最も多いが、日本人は毎年5割の人が中国人を「信用できない」と見ている反面、中国人が日本人を「信用できない」と見る人は今年36.7%で昨年(45.5%)より大幅に改善している。
   「創造的か、模倣的か」では、両国民の見方は対照的であり、日本人は中国人を「模倣的」「どちらとも言えない」と見る人が4割で並んでいるのに対して、中国人の6割は日本人を「創造的」と感じている。
   「利他主義か、利己主義か」では両国民とも相手を「利己主義」と感じている人は4割を越し最も多い。ただ、中国人で日本人を「利他主義」と感じている人は昨年比で10ポイント程度増加しており、26.1%となった。
   これらをまとめると、多くの日本人は中国人を「勤勉だが、利己主義的で信用できない」、と見ているのに対して、多くの中国人は日本人を、「勤勉で創造的で柔軟性もあるが、利己的で思いやりがなく、好戦的」だと感じている。

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この日本人の半数は日中関係の改善に確信を持てない
   現在の日中関係の状態について、「良い」と見る日本人は22.0%と、昨年の15.0%を上回った。「悪い」と見る人も、28.7%で、昨年の36.9%から減少するなど好転は続いている。
   だが、「どちらとも言えない」が48.8%と最も多く、昨年(48.1%)と同じく半数の日本人が現在の日中関係が良いのか、悪いのか判断できないでいる。

中国人は7割が中日関係を「良い」と判断、今後も楽観的
   中国人は、現状の日中関係を「良い」と判断している人が74.5%に達し、昨年の71%と比べても増加している。「悪い」という回答は18.6%に過ぎない。
   中国側の設問にはこの2年間、「どちらともいえない」という選択肢がないため、日本との単純な比較はできない。ただ、日中関係をプラスに見る中国人は年々増加しており、05年の調査の「良い」の10.5%、「悪い」の54.9%と比較すると、この5年間で「良い」は64.0ポイント、「悪い」は36.3ポイントも改善している。
   この1年間の日中関係に関しては「特に変化していない」が49.3%で、「良くなった」の43.1%と並んだが、今後の中日関係については、「良くなっていく」「どちらかといえば良くなっていく」と回答した人が合わせて60.2%と6割を越えており、楽観的な見方が広がっている。
 

title10 

 
日中両国民ともに日中関係が「重要」は圧倒的
   日中関係の重要性に関しては、「重要」と「どちらかと言えば重要」を合わせると、日本人は81.5%、中国人も92.5%が、「重要」と判断している。また、日本の有識者は97.8%、中国の学生も90.4%となっており、両国民ともの日中関係を「重要」と見ている人は圧倒的であり、この傾向はこの数年変わっていない。

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両国民ともに日中関係と米国との関係は「同程度に重要」
   日中関係と米国との関係のどちらが大事か、では日本人、中国人ともに「どちらも大事」が多く、次には両国民共に「米国を重要」と見ている傾向は変わっていない。ただし、中国人の中に米国重視の見方がこの一年で増加している。具体的に見ていくと、日本人は「日米、日中が同程度に重要」が58.7%(昨年は59.9%)で、「日米関係が大事」が24.7%(24.5%)と続いている。
   中国人も「中日、中米どちらもが大事」が55.3%と半数を越え、「中米関係が大事」が27.3%で続いている。「中日が大事」は15.6%に過ぎなかった。 
両国関係の懸念材料は「領土問題」と「両国民間に信頼がないこと」
   「日中関係の発展を阻害するもの」については、日本で昨年は46.2%と最も多かった「中国産品の安全性」は、28.7%に低下し、この問題は落ち着き始めている。最も多いのは「領土問題(尖閣諸島(魚釣島))」の34.6%(昨年は39.1%)で、海洋資源を巡る紛争も24.6%ある。中国人も昨年同様「領土問題(尖閣諸島(魚釣島))」が36.5%で最多となっている。
   今回の設問で注目されるのは、今回新しく選択肢に加えた「日中両国民に信頼関係がないこと」を選ぶ人が日中それぞれに多いことである。日本人は32.8%で2番目に多く、中国人も29.9%と領土問題の次に続いている。

両国民ともに日中首脳会談の評価は高くない
   日本と中国間で行われている首脳会談に関しては、日本人、中国人ともに評価は高くない。日本人の評価は昨年とそう変わらず、43.2%(昨年は42.4%)が「評価できない」と回答し、「評価できる」の11.0%(昨年は11.5%)を大きく上回った。
   中国人で「評価できない」と回答したのは50.3%(昨年は44.9%)と半数を越え、「評価できる」は39.5%(昨年は42.4%)であり、昨年よりもいずれも後退している。
首脳会談で議論してほしい課題に関しては、日本人は「北朝鮮問題」が45.9%と最も多く、昨年(48.2%)からこの傾向は顕著である。
   中国人は「貿易や投資など経済協力関係の強化」(19.1%)、「省エネや環境での協力」(14.8%)、「東シナ海での資源問題」(12.1%)など、経済分野での議論をより多く求めている。「北朝鮮問題」を選らんだ中国人は10.3%である。

日本の安保理常任理事国入り、中国人の7割が「なる必要がない」
   また、日本の安保理常任理事国入りに関しては、中国人は「なる必要はない」が69.3%で、「なるべき」は17.9%に過ぎない。
   もっとも日本の安保理常任理事国入りは、日本人にとっても理解されているとは言い難く、「なるべき」の42.2%(昨年は54.5%)に対し、「分からない」が46.4%(昨年は36.5%)と上回っており、この傾向は昨年よりも強まっている。

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 進めるべき民間交流は「文化交流」「民間企業の人材交流」「メディア交流」。協力分野は「経済と貿易」が最も多い
   日中間の民間交流に関しては、日本人は74.5%(昨年は74.8%)が昨年同様に「重要」(「どちらかと言えば重要」を含む)と考えている。中国人も同様で、中国人は90.5%(昨年は86.2%)が「重要」(同)と判断している。
   民間交流を進めるべき分野では、日本人が「文化面での交流」(32.7%)や「民間企業間での人材交流」(29.1%)と最上位に並んだが、中国人は「文化面での交流」(49.1%)が最も多く、「メディア間の交流」(44.2%)が続いた。
日中間が今後様々な分野で協力すべきという考えに「同意」すると答えた日本人は47.8%、中国人は58.8%と、それぞれ最も多いが、中国人の中には「反対」が14.8%いる。
   この「同意」すると回答した人に絞って協力を強化する分野を尋ねると、日本人は「経済と貿易」が50.4%と最も多く、「エネルギーと環境」が21.8%で続いた。
   これに対して中国人は「経済と貿易」が43.3%で最も多く、続いて「エネルギーと環境」が17.9%、「投資」が15.5%で並んだ。

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日中両国民共に相手国に半数が「行きたくない」
   民間分野の交流や協力に関しては両国民共に重要性を感じているが、一方で相手国に訪問したいか、に関しては両国民共に意見が割れている。
   日本人で中国を訪問したいか、という設問で「行きたい」は52.7%(昨年は54.9%)、「行きたくない」は46.9%(昨年は44.8%)で、中国人は日本に「行きたくない」が55.2%(昨年は52.2%)で最も多く、「行きたい」は39.1%(昨年は44.1%)に過ぎず、両国民共に昨年よりも「行きたくない」が若干ながら増加している。
   相手の国に「行きたくない」と回答した日本人と中国人にその理由を尋ねると、日本人は「安全、衛生上の問題で安心できない」が65.2%で昨年同様に最も多く、「言葉が通じない」が38.2%、「魅力を感じないから」が33.9%で続いている。中国人は「言葉が通じないから」が70.4%で最も多く、「お金がかかる」が54.9%で続いている。
 

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【日中関係と歴史問題】

中国人は「中日関係が発展するにつれ、歴史問題は徐々に解決する」が半数で、日本より楽観的
   中国国民は、「中国と日本の関係が発展するにつれ、歴史問題は徐々に解決する」が51%と半数は日中関係の発展と共に歴史問題も解決するという期待を持っているが、これは05年(51.3%)と同じ水準である。
   それ以外の半数は、「歴史問題が解決しないと中日関係は発展しない」(17.8%)と、「中日関係が発展しても歴史問題の解決は困難」(28.4%)がほぼ分け合っているが、05年からの6回の調査で比較するとその内訳には変化が見られ、前者は05年時(25.7%)から減少し、後者は05年の11.1%から大幅に増加し(昨年は19.9%)ている。日中関係の発展と歴史問題を切り離し、その困難を認識する見方が強まっている。
   日本国民の歴史問題の解決に対する認識は中国人よりも悲観的で、「中国と日本の関係が発展するにつれ、歴史問題は徐々に解決する」という期待は05年の調査(25.6%)からは増加したが、今回も34.8%と3割台で、「両国関係が発展しても歴史問題の解決は困難」の34.1%とほぼ並んでいる。
 
 
解決すべき歴史問題は 中国は「侵略戦争に対する日本側の認識」、日本側は「中国の反日教育や教科書の内容」が最も多い
   解決すべき歴史問題としては、日本人は46.0 %が「中国の反日教育や教科書の内容」と答え最も多いが、「侵略戦争に対する日本側の認識」が33.1%と続いている。
   中国人が歴史問題の解決すべき課題と感じているのは「侵略戦争に対する日本の認識」、が57.6%で最も多く、54.3%が「南京虐殺に対する認識」で続いている。「中国の反日教育や教科書の内容」を選んだ中国人は28.0%(昨年は19.0%)となり、昨年よりも増加している。

首相の靖国参拝では日本側で容認派が増加している
   日本の首相の靖国神社参拝については、日中の国民が対照的な回答となった。
   日本人は「参拝しても構わない」と容認する人が毎年増加し、今回は41.6%と昨年(38.3%)より増加し4割になっており、「私人としての立場なら構わない」の30.5%と合わせると72.1 %に達している。「公私ともに参拝すべきでない」は12.1%に過ぎない。
   これに対して中国人は、「公私ともに参拝すべきではない」が53.7%(昨年は61.7%)と半数を超えている。ただ、中国でもわずかではあるが容認派が増加しており、「参拝しても構わない」とする中国人は11.6%と、昨年の4.1%を上回り、1割を越えている。
 

【軍事的脅威に関する認識】

日中両国民は依然、お互いの国に「軍事的な脅威」を感じている
   日本人が軍事的脅威を感じる国・地域としてもっとも多く挙げたのは「北朝鮮」で81.7%(昨年は79.4%)で、次が「中国」が47.0%(昨年は46.4%)である。軍事的な脅威を問う設問は06年から始めたが、06年時点では中国が42.8%、北朝鮮は72.4%であり、2カ国共に増加している。
   日本人が中国に軍事的な脅威を感じる理由は、「軍事力増強を続けているから」が60.9%でもっとも多く、「しばしば日本の領海を侵犯しているから」が47.7%、「核兵器を保有しているから」、「領土や資源で紛争が起こりえるから」がそれぞれ47.0%で並んでいる。
   これに対して、中国人が軍事的脅威を感じる国・地域としてもっとも多く挙げたのは昨年同様「米国」の65.2%(昨年は68.1%)であり、次が「日本」の52.7%(昨年は59.4%)で2国が突出している。
中国人が日本に軍事的な脅威を感じる理由は、「日本には侵略戦争を起こした歴史があり、今もなお軍国主義の復活を望む人がいるから」(58.9%)が昨年同様最多となり、「すでに軍事力が強力だから」が51.5%、「日本は米国の戦略に追随するから」が44.4%で続いている。

【日中経済の発展・アジア経済に関する認識】

日中経済の発展は「お互いにメリットで必要」と両国民は感じている。だが、アジアが将来一つの経済圏として統合するか、では日本人に懐疑的な見方が強い
   日中間の経済関係について、日本人の49.5%(昨年は47.5%)は「日本にとって中国の経済発展はメリットであり、必要である」という見方をしており、「中国の経済発展は脅威である」の33.8%(昨年は33.4%)を上回っている。中国経済の発展が日本にとってメリットという見方は昨年の調査から脅威論を逆転して優位に立っている。
   一方の中国人も、65.8%(70.7%)が日本の経済発展はメリットで必要だと見ており、日本の経済成長は脅威という見方は30.3%(昨年は25.7%)を大きく上回った。
   一方、将来アジアはEUのように一つの経済圏として統合していくと思うか、に関しては、日本人と中国人の間の認識差が明らかになっている。
   中国人は「そう思う」が44.7%で、「思わない」の45.4%と完全に意見が分かれたが、日本人は「そう思う」はわずか7.8%にとどまり、42.0%が「思わない」と回答している。
 

【資源・エネルギーの確保と地球環境問題についての認識】

中国の資源・エネルギ-確保を巡る問題は「対話で問題解決するべき」が両国民に増加している
   資源、エネルギーの問題を日中が協力し、対話で問題解決を図るべきか、対立は避けられないのかについては、日本人は60.8%(昨年は54.3%)「両国の対話によって問題を解決するべき」と考えており、「日中間の対立は避けられない」との回答は22.2%(昨年は27.1%)で、昨年よりも対話型の見方をする人が増えている。
中国人も67.3%(昨年は64.4%)の中国人が「両国の対話によって問題を解決するべき」と考えており、「日中間の対立は避けられないものだ」の29.9%(昨年は33.7%)を上回っている。
 
 
地球温暖化対策では日本は昨年同様「中国も応分の負担」が多いが、中国では「先進国が積極的に取り組むべき」が増加。両国で対策は「経済成長を阻害しない範囲で」が増えている。
   地球温暖化問題への対応については、日本人の72.2%(昨年は71.5%)が「二酸化炭素の主要排出国になった中国も応分の責任を負い、排出削減に努めるべき」と考えている。一方で、中国人は「過去に大量の二酸化炭素を排出してきた日本などの先進国が積極的に取り組むべきだ」が、64.2%(昨年は58.4%)と、「中国も応分の責任」の33.1%(昨年は39.6%)を大きく上回っている。
   また、環境対策と経済成長の関係については、日本人は「経済成長を阻害しない範囲で環境対策を行うべき」が48.8%と最も多い。「経済成長を抑制しても環境を保全すべき」は39.4%だが、昨年(42.6%)と比べると減少している。
   中国人も62.4%の中国人が「経済成長を阻害しない範囲で環境対策を行うべき」と考えており、この比率は毎年増加している。

【中国製食品の安全性に対する意識】

中国製食品の「安全性への不安」は日本だけでなく、中国でも根強い
   中国製の食品の安全性に対する不安は、日本、中国共に若干改善したが、それでも日本人は93.0%と今回も9割を越える人(昨年は94.8%)が「不安を感じ」ている(非常にとやや不安を合わせた数字)。中国人も「不安を感じ」ているのは昨年(69.9%)からやや改善したが、それでも、今回も61.1%と6割の水準である。

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6割の中国人が「日本では報道や言論は規制されている」と見ている
   日本人の76.1%が「中国には報道や言論の自由がない」「報道は実質的に規制されている」と答えており、この水準は昨年と同じである。中国に「報道や言論の自由がある」と思っている日本人は3.8%にすぎない。
   これに対して、中国人で、日本に「報道や言論の自由がある」と思っている人は25.4%(昨年は30.3%)で、「実質的に規制されている、あるいは自由がない」と考えている中国人は63.1%(昨年は53.5%)におよび、昨年よりも増加している。
 
自国のメディアが「客観的な報道をしている」と思うのは中国人6割だが、日本人は3割、日本の有識者、中国の学生は2割を切っている
   また、日本人で自国のメディアが「客観的な報道をしている」と思っているのは31.2%(昨年は31.0%)と昨年同様3割に過ぎず、28.0%(昨年は24.6%)が、「客観的な報道をしているとは思わない」と感じている。
   これに対して、中国人は昨年よりは大きく減少したが、61.8%(昨年は72.5%)と6割を越える人が中国のメディアは「客観的な報道をしている」と感じている。ただ、「客観的な報道をしているとは思わない」と思っている中国人も29.3%と昨年の17.6%を上回り、日本と同じ水準にまで増加している。

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日本人は日本の将来を考える上で、米国と中国に強い関心を持っているが、世界のリーダーは今後も半数が米国だと思っている。中国人の関心は7割が米国で日本への関心は4割と差がついている。ただ、自国に自信を深め、今後の世界のリーダーは半数が中国と考えており、首位の米国に迫っている。
   今回の調査では、世界と日中の将来に関する、両国民の意識をまとめて尋ねている。
まず自国の将来を考える場合に、世界のどの地域に関心があるかでは、日本人は米国が65.3%、中国が57.2%でこの2国への関心が他の国や地域を大きく引き離した。
   これに対して中国人の米国への関心は76.7%と最も多く、日本の45.0%を昨年同様大きく引き離している。
これからの世界政治をリードしていく国や地域はどこか、に関しては米国を挙げる日本人は54.1%と最も多く、G8諸国が36.4%、中国が24.6%と続いている。
   これに対して、中国人は自国に対する自信を強めており、米国が55.3%で最も多いが、中国だと思っているのは49.7%と米国に迫っている。
 
中国経済の2050年について、中国人の8割が、米国に並ぶか世界最大の経済大国になると予測しており、そうした見方をしている日本人も半数を超えている。ただ、日本の2050年に対しては、日本人では「中程度だが何の影響もない国」との回答が最も多く、中国人の方が「中程度だが影響力が非常に強い国」と日本の2050年をより積極的に予測している。
   最後に、経済的な躍進を続ける中国の2050年の姿と、日本の2050年の姿を両国民に予測してもらった。
まず中国国民は、中国経済の2050年を「米国と並ぶ大国となり影響力を競い合う」と半数を越える57.1%も見ており、さらに25.9%が「世界最大の経済大国になる」と回答するなど、中国経済の将来をかなり強めに予測している。「中国経済が米国に並ぶのは難しい」と感じているのは14.6%に過ぎない。
  日本国民も中国経済の2050年をかなり強めに予測をしているが、相対的には慎重で予測しかねている人もいる。「米国と並ぶ大国となり影響力を競い合う」は45.0%(昨年は40.3%)、「世界最大の経済大国になる」は11.8%(同10.8%)で、米国と競い合うかそれ以上と見ている人は56.8%(同51.1%)と半数を越え増加している。ただ、「中国経済が米国に並ぶのは難しい」と見る人は昨年(25.2%)よりは減少したが、それでも20.3%いるほか、「分からない」と現時点で予測ができないとする人も21.2%(昨年は22.5%)である。

  日本の2050年の国際的な影響力に関して、日本国民の中にはかなり消極的な見方が広がっている。最も多いのは「中程度だが何の影響力もない国」の24.6%で、「中程度だが影響力が非常に強い国」が16.4%で続いている。「世界第三位の経済大国のまま」と見る日本人は9.3%と1割を切っている。
中国人は日本人よりは、日本の2050年をより積極的に見ている。最も多いのは「中程度だが影響力が非常に強い国」の21.5%で、「軍国主義の大国」の21.3%と並んでいる。「世界第3位の経済大国のまま」が19.0%、「小国だが影響力の強い国」が16.9%で続いている。
 
 

 
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記者会見をし公表した、2010年日中共同世論調査から何が明らかになったのか。記者会見から一夜明け、改めて代表工藤が語ります。

  

  先進的な日本の課題を乗り越えるために、日本自身が問われている

聞き手:田中弥生氏 (言論NPO 理事)
 

2010年現在、日中両国民がお互いの国をどのようにみているのか。世論調査の分析結果を受け、現代中国政治が専門の、東京大学大学院法学政治学研究科教授の高原明生氏が解説します。

 

  2010年日中共同世論調査のワンポイント解説

高原明生氏
(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
 

未分類

会議終了後の日本側参加者による座談会

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参加者:

明石康氏(財団法人国際文化会館理事長、元国連事務次長)
秋山昌廣氏(海洋政策研究財団会長、元防衛事務次官)
高原明生氏(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
松本健一氏(麗澤大学経済学部教授、内閣府参与)
宮本雄二氏(前駐中国特命全権大使)

司会: 工藤泰志(言論NPO代表)

⇒ 動画をみる

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 工藤: 皆さん、お疲れさまでした。「第7回 北京-東京フォーラム」に向けて、今回かなりいい打ち合わせができたと思いますが、まず、団長の明石さん、どうでしたか。

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 明石: 我々が目指した初期の目的は達成されたと感じています。昨年の第6回フォーラムでは、その直後に尖閣の思わざる事件が起きて、日中関係がかなり暗礁に乗り上げた感があって、第7回のフォーラムが開かれるとしても非常に険悪な雰囲気の中で行われるであろうと心配をしていたが、東日本大震災が起こったので、中国側に、大震災に際しての日本に対する同情、連帯感、何かしてあげたい、しなければならないという意識が支配的になったと思うんですね。そういう意味で我々は日中関係について改めて、こういう大災害のときに、アジアの有力な国として、日本と中国が、どういう風に協力すべきかという大きな課題、チャレンジに直面させられたわけですね。中国側もそれをきちんと受け止めて、単なる情緒的な同情ではなくて、改めて日中のあるべき姿を考えさせられたのではないかと思う。そういう事で、日中関係の課題はありすぎるほどあるわけですが、それに対して前向きに、両国の長期的な、基本的な利害に基づいて一緒に対話を続けたい、その手段として、北京-東京フォーラムは絶好の機会ではないかという気持ちが中国側の参加者から感じ取れた。そういう意味では大きな収穫であったと思います。

工藤: お疲れさまでした。次に、松本さん、中国メディアの人気の的でしたが菅総理のメッセージも伝えられたということでしたが。

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松本: 中国の方から見ると、鳩山さんの時には日中関係、アジア共同体、アジアの未来ということを考えているように見えたけれども、菅首相になってから、どうも米国の方を向いているのではないかという疑念、懸念があった。それが今回の震災があったことによって、実際に菅総理と会ったら、今年は辛亥革命100年の年であり、来年は日中国交回復40周年という年であり、菅総理とすればアジア関係ということを考えていないわけではないどころか、辛亥革命100年を糸口にしてアジアの問題について考えている。だから、今年訪中して、実際に日中の関係を修復したいというふうに思っている。その流れの中で、実は中国の側からも東日本大震災に対して非常な関心を持ち、共感あるいは支援をしてくれることがあったわけで、菅総理も中国の人々にお礼を言っておられました。もちろん、胡錦涛国家主席は日本大使館に来てくれたわけですし、中国政府もそういうメッセージを出してくれています。それに対してほとんど毎日のように原発の問題があるので、いちいち応えられなかったけれども、丁度、松本さんが行くなら、いい機会だ、フォーラムは長い歴史を持っているので、自分の意見を伝えることができて嬉しいと、そしてお礼を言っておきたいという形で、メッセージを預かってきた。そういうわけで、役割を果たせたと思います。
 私は第2回からのフォーラムの常連ですが、同時に日本政府、首相からのメッセージを今回は伝えることができて、その上に第7回の北京-東京フォーラムがうまくいくようにと思える、そういう時間だったと思います。

工藤: 本当にお疲れさまでした。中国メディアの人たちからどういう質問が一番多かったですか。

松本: それは色々ありました。時には悪口を言い合っていますが、近い関係になっているということがよく分かりましたし、毎日TVでは情報が出ているけれども、今日は北京で雨が降っているときには、日本では雨が降っているときに放射能が降ってくる、それに対して日本はどういうなふうな怖れを持っているか。どういう対処の仕方を持っているのか、そういう質問もありました。そんな大した放射能の量が出ているわけではないし、中国までたどり着くのは少ないわけですが、実際に聞いてみたいという感じですね。そして、今は放射能の問題でメディアが動いているけれど、日本がこれからどう復興していくのかという、長期的な展望を教えてくれということでした。具体的に、東アジアと言いながら、日本と中国の風土は違っていて、日本の場合には海に面していて津波が起こってくるという風土であると。これは地震が起こる量も中国の方が10分の1以下ですし、津波もほとんど経験したことがなくて、映像で見て非常にびっくりしたと。それが中国にも襲ってくるのではないか、という風な怖れも感じていました。ですが、それは違うと。日本の場合は、海溝が1万メートルもあるところから津波が起こってくるので、これは日本の特性、風土的な特徴だという説明をしました。

工藤: はい、日本のスポークスマンになったかのような松本さんでした。宮本さんどうですか。

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宮本: これまでは来賓で3回参加させていただきました。今回はメンバーのひとりとして、第1回目の事前の準備委員会的なものに参加させてもらい、非常にいい仕事をしていらしているなと感じました。我々もそうですが、中国側の参加者も、日本と中国の関係は大国同士、引っ越しできない隣国同士ですから、したがって、いい関係を築いていくしかないと、そのためにどうしたらいいかと。ですから、問題をあげつらうのではなくて 問題に直面して、いかにして解決の糸口を見出すか、これが私たちの仕事だという風に、中国側の発言も聞いて大変心強く思いました。それからやはり、昨年9月の尖閣絡みの問題に関しても、中国側もこういう問題が起こるのを、二度と見たくないと思っていることが、ひしひしと伝わってきました。したがって今回の東日本大震災を契機に、中国側としても日本との関係をいかに強化していくか、どれだけ震災を通じて、どういう日中の協力の仕方があり得るのか、ということを真剣に探ろうという気持ちが伝わってきたということに、私は元気づけられました。率直な意見を交わしていらして、なかなかいい仕事をしていらっしゃるなということで、非常に勉強になりました。

工藤: 本当にどうもお疲れさまでした。では秋山さんどうですが。今回初めて参加していただいて、面白かったですか。

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秋山: 大変面白かったですね。6回までは参加していなかったし、特に第6回のフォーラムの後にああいう事件があってご苦労されたということについては、私はシェアできないのですが、非常に有力なオピニオンリーダー、ポリティカルリーダーが参加して、あるいは、経済界の重鎮が参加するという形で、率直に意見交換をし、相互理解を深めて、かつ、対外発信をするフォーラムだなという事を感じました。今回はある特別な環境のもとで、ある意味での外交活動も必要だったから、それもされた。非常にマスコミの関心も高く、多少外交的配慮のための発信でもあったが、それなりに成果があったと思います。

 少し懸念を持ったのは、さっき言った3つの要素です。つまり、非常にハイレベルなリーダーが参加するということは、いいと思います。対外発信もいいだろうと思います。しかし、率直な意見交換をして相互理解を深めるという要素をもう一度重視して、次の第7回を成功させるようにするべきかなと思いました。というのも、安全保障の関係では、はっきり言って、今日は率直な意見交換はできませんでした。確かに、そういう必要がなかったということもあります。それにしても、例えば参加者の楊さんが、ちょっとブレイクがあると、非常に率直に聞いてきます。「秋山さん、今度の大地震は、日中の安全保障関係にプラスと出ますか、マイナスと出ますか、今どういう感じですか」ということを、非常に聞きたいわけです。それに答えることは難しかったけれど、あのみんなの席の前で言わないですよね。非常に公式なことだけを言って、がんがん言って終わりでしょ。しょうがないから、私もがんがんと言うけれど。これまでもやってきたと思いますけど、今回初参加の中で、そういう率直な意見交換と相互理解がこのフォーラムの中でできるような仕組みを、どうつくっていくか、ということは結構難しいなと思いました。だから、工夫する必要があると思います。

明石: 私たちの今回の訪中は序曲をお互いに演じたに過ぎないので、本番の時には何とかもっと時間をかけ、より多くの人が参加して、問題をより深くより広く語り合うことができそうだな、という感じをお互いに持てたということだと思います。私は、相手方がそういう印象を持てたと思いますが、実際にそうなるかは分からない。その方向で努力すべきであると思います。第6回のフォーラムに鑑みて、できそうだなと思いますが、今の段階では中国からどんな人が参加するかわかりません。ご懸念はよく分かりますし、我々としてはそういう風になるように、また、どれだけオープンに、ないしはどれだけクローズに、ないしは中間的な形になるか、北京でやるということもあって、東京ほど率直な意見交換ができないかもしれないけれど、昨年の東京よりも、方向性において一歩前に進んだというところまで持っていければすばらしいな、と思っています。

工藤: とりあえず、僕たちは本音で話し合いました。確かに、すぐには変わらなかったのですが、この6年の間に、段々進歩してきているという感じです。でも、それが目的ですから、それに向けて近づくような努力はしなければいけないな、ということを非常に強く感じたということですね。高原さんどうですが。昼から来られたのですが、これまでずっと一緒にやっていますから。

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高原: 前半をほとんど聞いていないので、その限りでの印象ということになりますが、少人数でやったわけですから、一般の会合に比べますと、かなり密度の濃い議論ができたのではないかと思います。それに、皆さんもおっしゃっている通り、こういう状況下での協議なので、いつもよりは打ち解けて、胸襟を開いて議論したという印象を持ちました。

 いま中国は、国内も色々と問題があるのですが、外交政策をどうするかという大きな曲がり角というか、分岐点に来ているわけであって、そういう状況の中で日本と長期的にどうやって付き合っていけばいいのか、ということを非常に真面目に考えているな、という印象を受けた日だったと思います。

宮本: 高原先生が提案された、討論する具体的項目をあらかじめ決めておいて、何を聞きたいかということを事前にぶつけ合っておく、という提案は、非常によかったと思います。そのことを、もう少し早めにしておくことによって、もう少し掘り下げた議論が可能になってくるのではないかという気はしています。

工藤: そうですね。今回、初めて事前協議をやったので、昔からみると段違いに準備をしているのですが、ただ、折角やっているわけですから、今度は議論の準備をしなければいけないなと思っています。ただ、今回は議論もそうだけど、まだまだ中国の人達の中で誤解とか、色々ありましたよね。原発問題で、記者が日本は核兵器を準備しているのではないかという質問が来たことに驚きました。まだまだ、もっともっと日本側の考え方を伝えるという作業が必要だなと思ったし、一方で本気の議論をしなければいけないと思いました。

明石: 日中関係がよくなったと言っても、我々はバラ色の幻想を抱かないで、中国の一部の人達には日本に対するかなり現実的とはいえない見方が存在する、ということを忘れてはいけないと思います。

秋山: 僕は、少し違和感を持つのは、宮本さんの話にもありましたが、日中関係が非常によくなったという雰囲気の中で、ということを盛んに言われるのは、僕は非常に違和感を持ちます。去年の尖閣の問題を、このフォーラムで体験していないからなのだけれど。そんな日中関係が、今回の地震の問題で急激によくなるとは、僕は全然思っていません。むしろ、楊毅氏が質問したように、大地震は自衛隊と人民解放軍の関係について、プラスに働くのかどう思う、ということを非常に気にしているわけです。だから、変な意味でのギスギスしているのはなくなったかもしれないが、日中関係が非常にいい環境で、今日の会議ができたという、みなさんの感想に、少し違和感を持ちます。

工藤: 多分、それは、状況に対してというよりも、このフォーラムが始まった2005年というのは、こんなレベルでは無くて、ほとんど儀礼的な会話しかできなかった。つまり、再スタートということで議論をして、本音を言い合えるようにつくっていかないといけない。誰かがやってくれるわけではありません。

宮本: 日中関係は、もともとそんなによかったことがありません。

工藤: だから、元々困難な中から始まっているので、その変化率で、そのプロセスがそうだったという形であって、絶対的な水準としては、秋山さんがおっしゃるとおりだと思います。つまり、下がっているエスカレーターを上がるようなもので、努力を止めたら下がっていくということだと思います。ただ、この対話を続けることは非常に大事だと思います。

明石: しかし、時間の制約で触れることができなかった問題が、特に安全保障関係では多かったわけで、日中間のパワーの問題とか、軍事的な意味での信頼醸成、そのために必要な透明性の確保などの問題について我々は聞いておくに留まったことはその通りです。例えば、石破さんや長島さんが出席していたら、もっと厳しくやったに違いないと思います。しかし、今回はその必要は無かったと思います。

工藤: 今日は、日本と中国の人達の、「我々のこのフォーラムは」という言い方をしていました。我々ということに関して、1つの何かをつくろうとしているところを共有しているなと思いました。

宮本: 今回は、準備委員会なので、現在の状況が、大まかにどういう風になっているかということについて、我々が共通意識を持つようにして、7回目の議題をどうするかということを話し合うことが主たる目的でした。ですから、このテーマを掘り下げて議論するということは、7回目のフォーラムにとってあるわけです。ですから、今回の仕事ということでは、私はこれでよかったと思います。

工藤: とにかくドラマがスタートしましたから、きちんと準備をしてやらないといけない、ということですね。

宮本: だから、7回目の時に、何と何を具体的に話すのかということを、事前にお互いに明確にしておく方がいいです。そうすることで、誰が参加するかということも決まってきます。そうすると、それに見合った人を中国側が出してくる。そうすれば、我々の議論は、益々意味を持って来ると思います。

工藤: ただ秋山さんがおっしゃることもわかって、今まではオープンにするということで議論してきたのが、今回はクローズドでもいいから、より本音ベースの対話にしたいという要求も日中間で出てきていましたよね。

明石: そういう希望に対して、中国側からは、ある程度の疑念、抵抗のようなものも感じ取れたと思います。その意味では、第7回のフォーラムが素晴らしい我々の期待するような結果に終わるかは、幕を開けてみないと分かりません。だから、無理矢理めでたし、めでだしで終わらせない様にすることも、我々の配慮すべき点だと思います。

工藤: これから、長い本気のドラマが始まるわけですよね。そういう意味では、1つの幕を開けるきっかけを作れたかなと思います。本当に、みなさんお疲れさまでした。これから日本に帰って、日本の復興、再生のために頑張りたいと思います。


(文章・動画は収録内容を一部編集したものです。)

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フォーラムのミッション
  ■日中両国間に本音で議論ができる民間の新しい議論チャンネルをつくります。
■相互理解やコミュニケーションのギャップの解消に取り組みます。
■日中やアジアの共通課題を解決するため政府間協議を補完する民間トラック2(公共外交)の役割を果たします。
■将来的にこのフォーラムの議論をアジアや世界に発信できる舞台に発展させます。
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「第7回北京-東京フォーラム」事前会議 報告 
 

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4月1日、中国・北京において、第7回 北京-東京フォーラムに向けた事前協議が行われました。

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カテゴリ: 日中世論調査