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第8回東京-北京フォーラムの日中両国の準備会合が19日、北京市の長安倶楽部で開かれ、日本側からは言論NPO代表の工藤のほか、明石康実行委員長と副委員長の宮本雄二前中国大使の3氏、中国側は趙啓正(全国政治協商会議外事委員会主任)、陳昊蘇(全国政治協商会議常務委員・外事委員会副主任)、李小林(中国人民対外友好協会会長)、楊毅(前国防大学戦略研究所所長、海軍少将)ら9氏が参加し、フォーラムの開催概要に関して、日中両国の実行委員会が初めて直接話し合った。
第8回東京-北京フォーラムは、今年の7月1日から3日間、東京で開催すること、昨年同様、政治、安全保障、経済、地方、メディアの5つの分科会で議論が行われる、ことがすでに決まっている。この日の事前協議は、ホスト国である日本側が基本方針を説明し、中国側参加者がそれに対して意見を述べる形で行われた。
日本側はメインテーマとして「世界とアジアの未来に向けた新しい日中提携」を提案したほか、日中の国交正常化40年である今年を契機に対話自体の目的を、対話の力で懸案の解決を目指す方向に大きく変えたいと説明し、これらに関して中国側の出席者と突っ込んだ話し合いが行われた。
この中で明石実行委員長は、「日中両国は小さな国益にこだわるのではなく、より大きな国益を考えるべきで、フォーラムでは単に互いの立場を主張し合うレベルの対話ではなく、より大局的且つ長期的な視野で両国関係を見つめ、具体的な提案につながる共通の意見を持ちたい」とその趣旨を説明し、宮本雄二前中国大使も「世界的な構造転換の中に両国はおり、グローバルな視野で今後の両国関係をどうするかを考えるべき。この構造的な変化でどのよう日中関係を平和と発展に導くことができるかどうかを議論したい」と、世界の変化の中での新しい日中連携を強調した。
また、今回のフォーラムの運営の責任者を務める工藤は、5つの分科会の進め方に関して説明し、特に「メディア分科会について、本年は単に世論調査結果を議論するのではなく、なぜ相互理解が進まないのかについて掘り下げて意見交換する」と伝え、続けて地方対話については「経済交流に関する対話に加え、災害復興面での相互の経験を共有したり、原発問題に関する対話を始めたい」と日本側の考えを伝えた。
これに対して中国側からは、新しく対外友好協会の会長に就任した李小林氏は、「地方都市同士の交流は歴史が長く、様々な対話が今年は実施されるが、「東京-北京フォーラム」の地方対話には強い期待がある。双方に互いにメリットのある分野で交流をすることは非常に有意義」と語り、中国側理事会の中心的な役割を果たす趙啓正氏もこれに加え、「両国の共通利益について焦点を当てるべき。同じ課題を抱えている国同士は必ず共通の認識を得られるはずだ」と強調しました。
また、安全保障の議論の進め方に関して、前国防大学戦略研究所所長の楊毅氏が「新しい地政学に基づいた安保の観点が必要。アメリカのアジア・シフトなど日中を取り巻く安全保障面での環境は変化している。政治や経済とは違い、両国が違いを認め、向き合うという視点が必要になる。民間主導の対話として深く突っ込んだ議論すべき」と、今年の対話での安全保障の議論の重要性を語り、陳昊蘇氏、黄星原氏、魏建国氏からも意見がありました。
事前協議での議論は5時間にわたって行われ、中国側が日本側の提案にほぼ同意したほか、国交正常化40周年を記念して「東京コンセンサス」という共同声明を出すことで合意し、その作成のための基本的な構成や起草にむけた取り組みに関しても協議が行われました。
「第8回 東京-北京フォーラム」は、この日の事前協議での合意を踏まえて、3カ月後のフォーラムに向けて準備は本格化することになります。4月中に両国内での共同の世論調査の実施し、6月には日本で共同の記者会見を行うことも決まりました。
言論NPOではWEBサイトにてフォーラムの進捗状況をお伝えしますので、是非ご覧ください。
西村友穂(言論NPOスタッフ)
言論NPOは2001年に設立、2005年6月1日から34番目の認定NPO法人として認定を受けています。(継続中) また言論NPOの活動が「非政治性・非宗教性」を満たすものであることを示すため、米国IRS(内国歳入庁)作成のガイドラインに基づいて作成した「ネガティブチェックリスト」による客観的評価を行なっています。評価結果の詳細はこちらから。