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言論NPO代表の工藤は20日、明石康実行委員長(国際文化会館理事長)と宮本雄二副実行委員長(駐中国特命全権大使)とともに「東京‐北京フォーラム」の中国側共催団体であるCCIEE(中国国際交流センタ)理事長・曾培炎前副総理と王毅国務院台湾弁公室主任を表敬訪問し、「第8回東京‐北京フォーラム」への協力と参加を求めた。王毅主任は駐日大使時代に初回からこのフォーラムをサポートしてきた。
両氏ともに、今回のフォーラムが国交正常化40周年の重要な対話であり、両国の障害を乗り越えて未来への展望を作り出すうえで、とても重要な公共外交の舞台になると、フォーラムの意義を高く評価すると同時に、協力する意向を示した。
まず曾培炎氏との会談では、明石康実行委員長が3日間の事前協議の成果の報告と曾培炎氏への7月の第8回東京‐北京フォーラムへの参加を要請した。これに対して、曾培炎氏はこれまで「東京‐北京フォーラム」が両国関係の改善に貢献した功績について評価し、フォーラムへの参加を前向きに検討する意向を示しながら、40周年という節目の年でどのようにテーマを設定するかが重要になるとの考えを述べた。
また曾培炎氏が、フォーラムの日本側主催団体の言論NPOが、日本の多くの知識層に支えられており、NPOとして日中関係でも多くの議論を行っていることを指摘したことに対して、工藤は「NPOは非営利という側面だけではなく、志への共感が大事だ。私たちは日中関係が最も深刻な時に対話の力でこれを乗り越えようとした。今回のフォーラムでも未来に向けて障害を対話で乗り越えたい」と語った。
続けて宮本氏は「日中の経済関係にも新しい考えや方策が必要であり、世界のパラダイムシフトが起きる中で、日本と中国が基軸になり新しい流れを作るといった点をテーマに議論をしたい」と語り、7月の第8回フォーラムもそのような新しい視点で関係を再度見つめなおすべきであろうと述べた。
これに対して曾培炎氏は「7年間続けて来た日中共同世論調査が示しているように、両国は未だ解決が難しい問題を多く抱えているが、我々は日中の世論に現れた問題を善処しなければならない」と述べ、40周年の起点に新しい未来を展望し、関係の強化と相互理解の深化に努めなければならないとの認識を示し、その意味で政府同士の対話とは違い突っ込んだ議論ができるこの公共外交の舞台は非常に重要であると語った。
次に訪中団は、2005年の両国関係が一番厳しい時にこのフォーラムの立ち上げに参加し、日本側実行委員とも長い交流のある元駐日大使の王毅氏(台湾弁公室主任)と会談を行った。
冒頭で王毅氏は、今年の「東京‐北京フォーラム」の重要性を指摘し、40周年の機運を盛り上げ、今年はアジアを中心に日中関係が再出発する年にすることが大事で、「東京‐北京フォーラム」が今後も公共外交として発信力と影響力を強化するために全面的に協力すると語った。
その後、現在の日中関係が抱える様々な問題について率直な意見交換が行われ、特に領土問題の点では、今年4月に実施予定の共同世論調査で尖閣諸島問題を設問に加える意向であることを工藤が伝え、「この民間対話が日中間に横たわる障害について真正面から向かい合い、何かメッセージを発していかなければならない」と語った。
また、王毅氏は両国のマスコミ報道の問題についての問題点を指摘し、「中国のメディアは一部の日本メディアの反中的報道を過剰に取り上げる。同様のことを日本メディアも行なっており、両国民の相手国に対する感情において悪影響を与えている」と述べた。この他、会談では名古屋の河村市長の南京発言が、40周年の交流事業に様々な影響をもたらしていること、両国民の相互理解の問題に依然大きな改善が見られないことなどが話題になった。
明石氏からは、「高い次元から両国関係の今後について考え、また、単に議論するだけではなく、何か合意点を求め具体的かつ実のある対話をしていきたい」と伝え、会談を締めくくった。
今回の3日間の訪中で、日本と中国との両委員会で今年の民間対話の概略に関して合意がなされ、「第8回東京‐北京フォーラム」の開催に向けた準備が本格的に動くことになります。今後の進捗についてはウェブサイトにて公開して行きますので是非ご覧ください。
西村友穂(言論NPOスタッフ)
言論NPOは2001年に設立、2005年6月1日から34番目の認定NPO法人として認定を受けています。(継続中) また言論NPOの活動が「非政治性・非宗教性」を満たすものであることを示すため、米国IRS(内国歳入庁)作成のガイドラインに基づいて作成した「ネガティブチェックリスト」による客観的評価を行なっています。評価結果の詳細はこちらから。