. 言論NPO主催「東京-北京フォーラム」公式サイト - 【記事】地方対話後半

 110822 e top4「地方対話」の後半テーマは「観光・文化交流と地域間経済協力をどう推進するか」で、日本側パネリストとして山田啓二氏(全国知事会会長、京都府知事)、森民夫氏(全国市長会会長、長岡市長)、溝畑宏氏(観光庁長官)が、中国側パネリストとして戴玉林氏(中国共産党丹東市委員会書記)、蔡建国氏(全国政治協商会議委員、全国政治協商会議外事委員会委員、上海市人民政府華僑事務弁公室副主任)、滕新華氏(北京市西城区対外文化交流協会秘書長)、胡飛躍氏(中国医学科学院情報研究所研究員・教授)が出席し、積極的な発言を行いました。司会は、前半に引き続き日本側が増田寛也氏、中国側を袁岳氏が務めました。

110822 f yamadaまず京都府知事の山田啓二氏は、観光の目的は国と国との間で双方向的が望ましく、お互いの良い側面を見せ合い理解することであると指摘し、とくに中国の足跡は長安を模して作られた京都に存在すると地元の京都を紹介しました。そして、この間、留学生や観光客など多くの交流が日本と中国との間で増えていたのに、3.11の東日本大震災を境に来日中国人観光客が激減したことは非常に残念だとして、日本側もいろいろな面で正確な情報を広く公開するよう努力しているので、日本をもっと見て安心してほしい、ぜひ日本に来てくださいと呼びかけました。

 

110821 f 05次に上海市の蔡建国氏は、文化交流の重要性などに触れ、近隣にありながら両国民の心が離れてしまっているのは問題だとして、①観光を通じて交流を進め理解を深めること、②在日の華僑にも協力してもらうこと、③相手国の言語を学ぶ学生をもっと支援すること、④日中文化交流に寄与する若者を育てるため青年交流を促進させること、⑤大学だけでなく、中高でも教育協力をすること、⑥民間交流、文化交流を深めて関係改善を目指すこと、の6点を提案しました。

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続いて長岡市長の森民夫氏は、前半で発言した内容を踏まえながら、中越地震の復興をしながら、魅力的な町作りを行ってきた今までの努力を紹介し、花火大会、錦鯉、日本酒、闘牛、雪など、観光地としての長岡市の魅力を熱く語って、ぜひ長岡市に足を運んでいただきたいと呼びかけました。

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丹東市の戴玉林氏は、日中世論調査における日本と中国の歴史認識のギャップに対して懸念を表明し、アジア、そして世界の未来のために両国が互いに尊重しあうことが重要だと述べました。そのうえで、丹東の魅力を紹介しながら、観光交流を通じて日中両国の互いの誤解を解消することができる、政治的な信頼も回復できると強調しました。

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観光庁長官の溝畑宏氏は、観光は日本を世界に開くための起爆剤になると主張し、ビジネス面だけでないメリット、とくに国際交流や地域活性化などの可能性を指摘しました。震災復興にもそういった自信と元気が必要だとし、そのために日本も努力しているのでぜひ中国の方々に日本に来ていただきたい、中国の方々の支援によって元気になった日本をぜひ見ていただきたい、と要請しました。

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北京市西城区の滕新華氏は、西城区が東京の渋谷区や中野区とも交流するなど、子ども達の訪日活動を推進してきた経験から、日本に行くことに不安を覚える親達は現在ほとんどいないこと、相互の信頼関係が具体的に成果になってきていることを紹介し、さらに今後も民間交流を進めることで両国関係を深めることができるので、日本にもぜひ協力してほしいと呼びかけました。

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胡飛躍氏は、中国人が日本に行くのに必要となるビザなどの諸条件を緩和するなど、日本は観光交流しやすい環境作りに力を入れる必要があると指摘、国交回復40周年までに達成できれば素晴らしいと述べました。また、自身がこれまで高齢化社会の研究をしてきたことを紹介し、その面から日本の過去の状況は現在の中国の状況に似ているとして、互いに協力して未来を切り開いていく必要があると述べ、最後に日本の自治体と中国東北地方の地方政府が協力して共同開発区を作ることはできないかと提案しました。

 

これを受けて、会場からは日本側のビザ緩和や日本政府の受け入れ態勢などに要望が出され、袁岳氏が「日本はもっと観光資源をアピールしたら」と提案して、後半の「地方対話」を終えました。

 

 

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親カテゴリ: 2011年 第7回
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