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【発言録】 地方対話 前半

 

発言録 地方対話 前半1基調報告
森 民夫氏 (全国市長会会長、長岡市長)

 私が市長を勤めているのは、新潟県長岡市であり、中越地震が舞台になった場所である。本日は中越地震を参考に都市災害という観点に話を進めていく。当時は(合併前の)山古志村の人が全員長岡市に避難する事態になり、中間山地の典型的な地震に見舞われ、自然発生的に山間地にダムが出来たりするなど、多大な被害が発生した。

 災害が起きた時には、住まい、仕事、インフラの3点について計画し、改善するこが大事であると考える。インフラの整備は行政の役割である。住まいの確保は、行政の役割というよりも市民自身の意欲を持たないと改善されないものである。インフラの整備や住宅再建だけでなく、災害後の市民のやる気、意識を引き出すことが重要である。やる気を引き出す具体的な方法としては、例えば、住民自身が運営するバスや錦鯉の育成など市民が働く場を提供した。住民のやる気をいかに引き出すかの政策が重要であり、コミュニティを重視した都市の発展が必要であると考える。ぜひ参考にして欲しい。

 

発言録 地方対話 前半2基調報告
陳 昊蘇氏 (中国人民対外友好協会会長)

 本日は上海を参考に今日は話をしていきたい。中国と日本の地方の役割は重要であると考えている。上海万博を重要な舞台としてとらえ、都市の生活や作成に役立てたい。地方の今後の方向性として重要な点が3点ある。

1.友好都市や友好県をさらに進めていきたい。
今は250ほどの関係と大変少ないが、交流協力という質の向上も図りたい。特に青年が参加できる交流にして行きたい。また国民感情を育成し、その基礎を作りたい。
2.日中だけでなく国際交流を進めていくこと。地方の協力を世界レベルで行う都市連合 のようなものを作る。
3.共同で、都市の外交関係を築くという新しい時代になっている。

 ますます、都市の役割は大事になっている。イベントの役割も大きい(五輪、万博、アジア大会など)都市は、独自でも世界の舞台で力を見せつけ、経済文化を発展させることができる。
大事な役割をこれから都市は担っている。

 

発言録 地方対話 前半3基調報告
北橋 健治氏(北九州市長)

 北九州は都市の環境問題に取り組んできた。以前は公害の町であったのだが、今では美しい海と空を取り戻すことができた。

 環境に対する市民の理解が向上したことにより、エコロジーが進んだ。実際にビジュアル的に見てもらうことで、積極的にエコを取り組む姿勢を作ることができた。

 北九州市では2050年までにCO2を50パーセント削減し、さらに、アジアへの技術移転の分も含めて合計150パーセントのCO2を削減することを目標として考えている。

 環境対策を押し進めるには理由がある。世界銀行のデータによれば、環境面での向上と合わせて、経済面での業績も向上してきたことが報告されている。環境に力を入れることは、経済の発展を阻害しない、むしろ成長を促すというポリシーでやっている。

 北九州市は、100万人規模の環境モデル都市として一歩を踏み出していきたい。

 さらに環境と共に問題となっている少子高齢化への対応も必要である。北九州市はすでに4人に1人が高齢者という状態である。環境に対応した都市構造は、少子高齢化への対応にもなる。

 今後も環境への取り組みをアジアに伝えていけるよう努力したい。

 

発言録 地方対話 前半4楊 樹平氏(河南省三門峡市人民政府市長)

 今世紀に入ってから地球温暖化によって異常気象が頻発しており、我々に警鐘を鳴らしている。今まさに災害に対する応急処置を考える時期である。中国で二回続いて水害が起き、その結果72人の死者を出した。今年も大きな集中豪雨が起きた。この災害は前回よりも大きな規模にもかかわらず死者は3名にとどまった。これは、警報措置の整備や避難訓練など、対策を実施してきたことによる。災害発生時も、組織力を発揮して政府・公務員等で災害に対応する措置を取るなど、各界の力を動員してインフラ設備の復旧に取り組んだ。この結果1週間でインフラの復旧に成功し、市民に食糧、医療を届けることにも成功した。このような経験を通して、第一に国民のために何を考えるかが重要であることを学んだ。

  では、災害防災システムを確立するのに何をすればよいのか。避難訓練を行うことが望ましい。災害に対する認識を持ち緊急時の対応能力を普段から鍛えなければならない。また、政府間の情報交換も非常に大事である。日本の防災ノウハウをぜひ参考にしたい。中国のみならず世界的に見ても緊急時の対応力をいかに身につけるかは大きな課題である。国同士で連携を取るべきである。

発言録 地方対話 前半5坂本 森男氏(千葉県副知事)

 千葉県の人口は620万人である。東京に近いところは人口の上昇が続いているが沿岸部に近づくにつれ過疎化が進んでいく。高齢化はいずれやってくる問題であり、人口に占める高齢者の割合は増加している。かつては5人に1人が85歳まで生きることができたが、いまや2人に1人が85歳まで生きる。地域の中で自助と互助と共助の3つを進めていくことが重要である

発言録 地方対話 前半6 鄭 家栄氏(四川省都江堰市人民政府 常務副市長)

 5月に起こった地震は、震源地が三門峡市から近く、被災の状況が非常にひどかった。そこでしっかりとした安全装置を整備する必要性を痛感した。そのために①科学的な計画を立て防災措置を充実させる②応急処置を改善する③都市の再建システムを考える④再建活動は人々が主体的にかかわることができるようにする、という4つのことを行った。

発言録 地方対話 前半7 香山 充弘氏(学校法人自治医科大学理事長、元財団法人自治体国際化協会理事長、元総務省事務次官)

 都市の環境問題は4つのステージがあった。

1、工場排水、大気汚染などの公害問題への対応。
2、都市の人口増大に対する対応。車や住宅の確保、上水道、ごみの処理、交通渋滞などへの対応
3、量を超えて質への対応。日照権、NOX、電波障害、騒音、ごみ焼却などの有毒物質
などへの対応。
4、省エネ、リサイクルといった、エコロジカルシステムへの対応。

 おそらく近い将来、中国は4つのステージが同時に来ると考えられる。良い例や悪い例を参考に積極的に利用していただきたい。日本側は、色々な情報を提供でき、技術的な協力も行える。従来は地方の諸外国の関わりとしては、昔は農業、今は環境問題、上水道の協力などが存在する。ハード、ソフト面を含めて、参考にされている。

 具体的な対策としていろいろなことをやっているため、参考にしていただきたいと思う。各都市が交流することで環境問題は改善されていくと考える。

発言録 地方対話 前半8高 静楽氏(甘粛省慶陽市人民政府副市長)

 慶陽市は、面積が大きく、質が良い土壌(黄土)に恵まれ、鉱物が豊かな都市である。油田に関しては中国第二である。石炭は、1300億トンと大きな石炭資源にも恵まれている。このような背景を持つ都市に対し、地方政府として、どのように発展していくのかを、政府として考え、管理していく必要があり、具体的に4点ある。

 1.発展において、自然のリズムを考慮して科学的考え方を保つということ。先見性を持ち、持続可能で実行可能な発展を遂げていくことが重要である。
国家クラスの都市の建設をまとめ、非常に良い方向である。我々としては、生態環境の管理について、畑を森林に変え、流域の管理などに力をいれてきた。
2点目、グリーン、環境の発展に力を入れる。グリーンは命の源であり、生態環境の保護はとても重要である。環境の改善や、エネルギーの変換、グリーンであることを中心に考えている。工場も安全な管理のもと行っている。
3点目、発展、管理においては人を本位とすること。経済社会の発展の特色を地域的に融合し、人文的な発展を遂げていくことが重要である。今後農業において、総合的な開発を行っていくこと、自らの特徴を生かした農業の発展を図っている。
4点目、調和のある発展をすること。政府、民間のアクションが同じ方向を向いた発展を目指す。
生活に目を向け、社会保障環境を改善する。これによって、調和のとれた生活環境を作っていきたい。

発言録 地方対話 前半9高 建国氏(中国地震局地質研究所研究員)

 ここで地方の政府がどのような防災活動に携わっているか話したい。中国ではいろいろな自然災害に見舞われてきた。以前から災害に注目してきたが、77年から2004年は、人的損失は少ないが、経済損失が多い時期であった。

 損失をしないためには、防災の力をそろえるのが重要である。なぜなら予防や予測が、実際には災害対策の90%を占めるからである。胡錦濤主席は、四川大地震で、防災、減災ということが重要であると話をした。それから、救助についても考える必要がうたわれた。スポーツの試合のように、後半戦だけを重視してはいけない、前半中盤も大事である。つまり、災害が発生したのちに対策では足りない、予防が重要だということだ。災害には原因があり、その究明を学会の役割や行政システムの専門的な考えのもとで行っていく必要があると感じている。

 

発言録 地方対話 前半10日本側司会
増田 寛也氏(株式会社野村総合研究所顧問、元総務大臣)

 災害、環境、高齢化といった3つのことについて、都市の行政を担当する立場での考えを述べてきた。話の中で足りないところ、相手の問題意識のなかで話すべきことについて、示唆に富む話はないだろうか?

 

森氏
 水害にしても地震にしても行政の果たす役割は大変大きい。インフラの再建は行政の使命だが、それだけで被災者を元気にすることはできない。災害復興の中で被災者が元気になるための政策とは、被災者にコミュニティの中で役割を与えることである。市民が主体的に復旧作業に加わることで地域が活性化される。第二に、地域の連携である。上海と都江堰市のような復旧作業が終わった後も付き合いが続くシステムは非常に理想的である。このようなシステムを日本も積極的に取り入れていかなくてはならない。とにかく、復旧作業の時に何より大事なのは市民が元気になることである。日本でも今後とても参考になる。

陳氏
 中国は災害が頻発する国であり、2008年から2009年の間に数多くの地震、干ばつ、水害など本当にたくさんの災害が起こっている。世界的な気候の異常現象とも関係あるかもしれないが、中国がまだ発展途上であり、建築物の強度などが低いことも要因になっているのかもしれない。地方行政としては、地域の特徴に対応して施政を行うとともに、住民を動員して公と民、相互交流的に問題を解決することが重要である。行政として何ができるか、地域の特性に対応して有効な対策をとることが重要である。

 一つ質問がある。新潟の地震では、一つは、新幹線についての紹介があった。私たちも取り祖新幹線組んでおり、6000億元を投入している。それから原子力発電所もある。これらは、1兆円の資金と伺っている。これらについて、地震発生時の措置はどうされているのか?

森氏
 新幹線については、高架に被害はなかったが、高速走行時に大きな揺れがきて脱線をした。それは全く新しい問題だった。構造物自体は被害がなかったが、脱線は予想外だった。今は対策を取っているが、予測しないことが起きた。原子力発電所は、柏崎にあるが、中越沖地震が中越地震の二年後に来て、設計想定よりも大きな揺れであったが、余分な力をみて設計してあったため、今は再開している。

 つまり、耐震設計が非常に進んでいるということだ。今度の地震の被害を見ると、耐震設計を注意深く行っているものは壊れなかった。しかし、古くて不十分なものが壊れたということである。

 日本には既存の建物の耐震性をチェックする技術があるため、両政府で技術の普及プロジェクトをやっている。

 増田氏
 万一、原発が被災した場合には、自治体としての避難訓練などはやっているのか。原発以外でも避難訓練をしているのか。

森氏
 自治体としては、原発の問題は、一つの自治体では解決が難しい。放射能が漏れた場合の対策は、計画にはある。離れているので、その間に拡散をするということなので、大きな被害はないと想定している。ただ前提として、重要な建物や構造物の耐震のレベルが高く、放射能漏れが起きるような状態はほぼないと考えられる。

増田氏
 自治体としての緊急対応の準備はどのように行うのか?

森氏
 原子力は一つの自治体では解決が難しいが、あらゆることを想定して放射能が漏れた場合の対応策もある。長岡は離れているので放射能拡散の影響は少ないと考えられ、大きな被害はないと想定している。

親カテゴリ: 2010年 第6回
カテゴリ: 発言録