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【発言録】 政治対話 後半(質疑応答)


【質問1】
以前はあまり政治のことを話さなかったけれども、最近やっと興味が出てきました。生活と政治はあまり関係が無いように感じていますが、どう思いますか?

発言録 政治対話 後半1


趙 啓正氏(全国政治協商会議外事委員会 主任)

まだ若いから考えたことは無いと思うけど、関係は深いです。日本がこんなに発展したのは密接な関係があると思います。アフガニスタンは、非常に貧しい国ですけど愛国主義の人が非常に多い国です。アフガンはイギリスに負けてしまい、植民地主義の標的にされてしまった。中国ではアヘン戦争がありました。そのため、日本は、もし自国が発展しなければヨーロッパに侵略されるに違いないと考え、鎖国をやめた。だから、政治は生活と密接な関係があります。日本の運命を変えることになる。中国も改革開放によって、歴史の発展というのは政治の方向性と切っても切れない縁があります。日本に来てからいいことを勉強しました。謙虚に物事を学習する民族です。偉大な作家を生みました。紫式部です。何度も中国の詩を引用しています。日本の方々は中国から学んできました。中国は虚心坦懐に学ぶことを考えなければならない。中国人とアメリカ人は自動車の関係で、燃費を改善する上で日本に学んでいます。私たちもお互いに学ぶことがあるとすれば、素直に受け入れることが大事です。


【質問2】
どういった措置を講じてどうすれば、過去100年間の中国の立ち遅れたイメージを変えていけるのでしょうか?

趙 啓正氏
焦ってはならない。中国に行ったことのない人は、古い中国のイメージしか無い。この遅れたイメージから発展している。追いつき追い越すには時間がかかります。ゆっくり改善されてくるでしょう。


【質問3】
隣国と仲良くしたくないナショナリズムがあるとおっしゃっていますが、中国の方がナショナリズムに寛容なのでしょうか?日本ではグロバリゼーションの中でも科学技術を誇るべき、にもかかわらず、事業仕分けでそれが削減されているのはどう思いますか?

発言録 政治対話 後半2
加藤 紘一氏(衆議院議員)

万博に行ったが、日本の所に訪れている方は、95%が中国人です。これは非常に嬉しい。相手を認めないという点では、日本人の方が最近かたくななのではないかと思います。自信を失っているので排外的になっている。だから、自信を持てるところを探すべし。それは科学技術であると考えています。


【質問4】
中国は世界の工場とされていますが、今後その前段階である設計もやっていくことになると思いますが、今後それは脅威になっていくのでしょうか?

発言録 政治対話 後半3
林 芳正氏(参議院議員)


中国が市場であると、中国にモノを売るというほうに主軸を置く必要がある。そういう意味で申し上げると、人件費が安いので中国でモノを作るというのはなくなってくる。最初の設計・デザインを誰がやるのか?というのが競争になってくる。フェアなルールで、切磋琢磨とコラボレーションをしていくことが望ましい。中国は人口が10倍いるので、可能性としては日本の10倍頭がいい人がいると思います。もちろん、今までの科学技術の蓄積とそのシェアが重要になってくるので単純ではないが。コラボレーションで組み合わせるのは企業である。


【質問5】
このフォーラムが始まって6年経過し、日中関係も安定してきました。過去5年の日中関係はどう思われますか?転換点は何か?何を学べるのか?

発言録 政治対話 後半4
李 肇星氏(全国人民代表大会外事委員会 主任委員)


両国は72年の国交正常化条約に則ることが大切。温家宝が日本に来日し、トキを二羽送るなど、平和発展を実現するために隣国との関係を良好なものにしていかなければならない。隣人が最も大切で、良好な関係を構築することは両国にとても良いことです。

日本の友人に会うたびに万博が大成功だったと言われています。ただ、主催するにはあまりに遅かったと思っています。万博が開催されてから100年以上たちました。まだ追い越すべきことがあります。日本は何回も開催しています。学ぶことはたくさんあります。2008年の北京オリンピックの主催もまた遅かった。40年間かかりました。先程、松本先生がおっしゃったように、平和共存、平等、相手の長所を学ばなければならないと。わたしもおっしゃる通りだと思います。


【質問6】
質問が三つあります。
①日本が成熟した国だとして成熟とは何か?
②侵略した国という前提でそれをしなければ未来を語るなべおこがましいとは?
③具体的に歴史の反省をした上で日中友好のためにどういう行動をとればよい?

発言録 政治対話 後半5
藤井 裕久氏(衆議院議員、元財務大臣)

①日本がドイツを追い越したのが1965年あたりで、その頃から日本人の意識が変わってきて、「くたばれGNP」というようになった。ただ金儲けだけを追求しようとしなくなるのが「成熟した社会」です。その前は追いつけ追い越せだった。

②悪いことをやったのに「すまなかったね。」というのでは筋が通らない。後ろ向きに考えているのではなく、人間社会の当然の常識として、日本が過去に侵略した事実を考慮しなければならないと考えています。

③日本と中国には共通したものがたくさんある。先輩には渡来人、中国人がたくさんいる。そういう前提に立って、文化として共通しているところを大事にしよう。第1に大切なのは民間交流。そこから政府間交流につながる。日中の共同声明ができる前にピンポン外交というものがあった。経済、文化、スポーツから入るのがやりやすい。政治というのはナショナルインタレストに関係する。ナショナルインタレストを考えると、偏屈なナショナリズムが出てくる。平和なくして友好などありえない。経済成長も社会保障も。全ての基礎は平和なんだと認識することが大切です。


【質問7】
平和のもとは文化の共通性を認識することとありましたが、実は相互理解を深めるような問題は、文化の共通性ではなく、同一のルールとも言われています。そこから相互信頼が生まれるのではないか。

発言録 政治対話 後半6
呉 建民氏(博覧会国際事務局名誉議長)


中日の両国からすると基本的な考え方が必要。両国の経験から学んだこと。成功した事例を学ぶと。色々な共通性や矛盾もある。基本的な考え方とは、双方の共通点を探す。そうすることによって、協力をより拡大できる。最も友好的な方法。世界のいいものがあれば、どんどん吸収するアジア人は柔軟な考え方を持っている。ヨーロッパは50年ごとに大戦争が行われてきた。友好条約等はみんな失敗に終わった。そしてEUが成功した。共同の利益が拡大してきた。

国交の正常化には共通の利益、安全保障にも共通の利益がある。航路が安全でなければならない。海賊を退治しなければならない。文化においてもしかりです。藤井さんも言われるように、文化的に様々な共通性がある。この発見をして、拡大していく方向が必要。アジア人には文化を認識しないといけない。これだけ目覚ましい発展をしながらも認識できていない。全ては文化が牽引する。他の地域に関心をもつなら、自分の文化を知らないといけない。


【質問8】
中国のネットで見受けられる、日本やアメリカに対する情緒的な発言はどう考えればよいですか?

趙 啓正氏
中国インターネットのユーザーは4億人いて、20歳~30歳の仕事が見つかっていない人が噂やデマを書く傾向にあって、一部の若者がこういう批判的な言論を繰り返すのです。歴史は忘れてはいけないけれども恨み続けてもいけない。しかしながら、同様に、日本人も中国を罵る言論を見つけることができます。我々メディアは事実を報道しているだけと日本のメディアは言うが、あるテーマを選んで配信するだけで見た人に考えるきっかけを与えるわけで、影響があります。ネットやメディアでは広まらなかったことがある。昔日本が嫌いだった人が日本を好きになる情報もあります。逆に、四川省の大地震に対して、日本の救済チームが被災者を救い、犠牲者に追悼したことに中国人は感動した。

発言録 政治対話 後半7
白 岩松氏(中央テレビ局高級編集者)


この配布された水はアメリカのものだが、販売しているのは台湾の会社。この水を一つの媒介に、各国の企業が協力して、この同じテーブルに乗るわけです。安全保障などの議論は大変だろうが、この水のように協力関係が出来ればよいと考えています。

親カテゴリ: 2010年 第6回
カテゴリ: 発言録