. 言論NPO主催「東京-北京フォーラム」公式サイト - 第5回 北京-東京フォーラム 分科会 政治対話11月2日速報記事(後半)

政治対話(後半)④

男子学生:

 今年は建国60年ですが、いろいろな議論があります。アメリカに兵器を売るためのショーではないかという極論もありますが、本日のテーマのように、中国の軍事力の透明度のあらわれがあの閲兵式だったのではないか。問題は、この閲兵式を見て喜んでいるのはアメリカのメーカーではないかという話ですね。こういった問題が東アジア共同体にどう影響を与えるのかということです。

女子学生:

 渡部先生に伺いたいのですが、これから経済発展をどうやって図っていくのでしょうか。

男子学生:

 中谷さんにお聞きします。日本の軍事力も拡大していて、防衛の域を超えています。中国の目から見ると日本の軍事力は過剰なのではないでしょうか。

中谷氏:

 日本の防衛政策は専守防衛で、他国を侵略することは認められません。予算から言うと、この10年ずっとマイナスで、皆さんが思っているようなものではありません。一方中国は、10%以上の成長率で非常に心配しています。日本の軍事に関する予算は飛行機のネジ一本まで組み込まれており、厳正、厳格、透明であり、兵器の数などもしっかり報告しております。中国に関しては、そのような細部まで公開されていません。宇宙での新たな技術開発も同じようなことが言えます。そのような中、両国の発展の為に、腹を割って、話し合わなければならないと思います。

渡部氏:

 円高について、日本が戦後経済で国際経済に復帰した際は、1ドル360円でした。現在は1ドル100円以下で、円高というよりは、ドル安が続いているようですね。かつて私が通産大臣としてお話した内容ですが、中国は言うまでもなく社会主義の国でありますが、中国人の賢さは社会主義の中で市場経済・主義を上手に取り入れて、世界を巻き込み発展しているということです。非常に賢い方法だと思います。日本の経済成長の中で国民が平等に生きていくということが鳩山内閣の目標でありますが、日中間でそのような対立が起きることはないと思います。
 アジアの経済の中枢として、これから中国が一番になるでしょう。そのことによって、アジア全体が発展することを願っておりますので、日本側が対立したりするようなことはありません。具体的な問題では、各国間で問題はありますが、その解決の唯一の方法は「心」です。日本の残留孤児を大切に育ててくれた中国人のことを日本人は忘れませんし、中国側も忘れません。そういう意味から、私は永遠に中国と日本の発展を願っております。

呉氏:

 アメリカが日本にプレッシャーをかけ円高になったといっておりましたが、私が新聞で読んだ上では、1985年のニューヨーク・プラザ合意はアメリカのプレッシャーではなく、合意です。当時の宮沢喜一大蔵大臣は、「円高についてはどう思いますか?」という質問に対して「大丈夫」とい言っておられましたので、これは合意です。日本は円高によってコストダウンをし、競争力を高めていきました。
 その後、バブルが崩壊しますが、私の見方ではアメリカ人は日本の円高を要求していますが、長い目で見た場合にはその通貨が必ず高くなります。中国人は自分の必要にあわせて、市場のメカニズムを考慮しながら、対策を練らなければなりません。
第二点目ですが、多くの国が多くのお金を軍事費に費やしています。中国人が一番最初に「核がない世界をつくろう」と提唱しました。国防競争はすべきでしょうが、軍事力競争は絶対にやりません。

松本氏:

 日中の経済問題はたいしたことはないと思います。経済発展については心配しておりませんが、そこでの経済格差、沿岸と内陸の国民所得の差は大きな問題ではないでしょうか。中国の歴代王朝が倒れるときには必ず農村暴動がおこり、新宗教が起こる。ないと言われるかもしれなませんが、中国政府公認のキリスト教徒は3000万人、台湾の学者が言うのには8000万人いると言われています。地下教会ですね。昼ではなく夜に行って、食糧や薬をわけている。信じられないかもしれませんが、経済成長の結果としての貧困層がキリスト教に帰依すると、農民暴動に帰着するということを話しておきたいと思います。

陳氏:

 軍備競争がソ連を崩壊させました。中日双方の軍事力強化の際、不信感をよばないように協力することが大事です。長いシーレーンをともに確保できれば、双方の猜疑心を相殺し相互信頼につなげることができれば、互恵関係が生まれます。

趙氏:

 ネットの情報はまず、あまり信用してはなりません。中国の軍事の透明度が足りないと言われますが、中国には29の隣国があり、アメリカは2つです。しかし国境の問題はそこまでに脅威ではありません。なぜなら日本と中国は永遠に戦わないということになっていますので。

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