. 言論NPO主催「東京-北京フォーラム」公式サイト - 11月3日 分科会報告<安全保障対話>

中国側報告

李秀石氏(上海国際問題研究所日本研究室主任):

 大変率直でときに鋭い、実り多い対話になったと思います。3点申し上げます。

1.マクロ的、戦略的な立場で、いい議論ができたと思います。日米中のトライアングルの発展については特に成果がありました。
2.核問題については、中国と民主党政権の間で意見が一致しました。核不拡散についても目標が合致しました。日本には内向き傾向が見られるという問題も指摘されました。反米ナショナリズム、さらに「中国の言いなりにはならない」というような傾向も見られるところがありますが、中国は日本の自信増強の手助けをしていきたいと考えております。核不拡散、核廃絶について議論を行いました。民主党政権が自民党時代の安保の問題をどう処理していくかにも関心があります。これについては藤田議員から説明がありました。
3.新型インフルエンザへの対策については、成果をあげており、これからも取り組んでいくということです。国際社会の平和維持のための努力について、日本側により大きな役割を果たしてくれるよう申し上げました。

 それから、鋭い意見が飛びかったものとして、東シナ海の問題があります。なぜまだ解決されないのか。メディアがふたつの問題をひとつの問題として誤って報道していることに原因があります。ミスリードしているということです。
 東アジア共同体については、ASESAN+3にもASESAN+6にも反対はしません。
 あと、ミクロ的なことですが、軍事の透明性については建設的な意見が日本から出されたと思います。富国強兵は日本にマイナスなイメージを与えるので、文化交流が必要だとの指摘がありました。相互理解のためにも、中台関係を両岸関係としてほしいと思います。
 いずれにせよ、相互理解を深めるために建設的意見が出されたように思います。

日本側報告

若宮啓文氏(朝日新聞社コラムニスト):

 私は3年連続3回目の参加となります。なぜか毎回司会を務めていますので、今回の特徴について、私の印象と補足をしたいと思います。
 3回目にもなると相手の出方がよくわかってきます。だから先に防衛しておこうということで。歴史問題についてですが、歴史の直視や田母神論文についての話も出ました。歴史教育の重要性については明石さんからもご意見がありました。
 東アジア共同体については日本が想定する規模も主体も漠然としているので、中国も戸惑っているという印象を受けました。いろんな協力をやろうということでは一致しましたが、中でも日本から麻薬やマネーロンダリングについての協力の話が出ました。日米同盟についてはきちんと位置づける必要があります。尖閣諸島やガス田の問題に話が移るとにわかに議論がエキサイティングになり食い違いもありましたが、全体的には前向きにやっていこうということだったと思います。

カテゴリ: 2009年 第5回