. 言論NPO主催「東京-北京フォーラム」公式サイト - 11月3日 分科会報告<政治対話>

中国側報告

楊伯江氏(中国現代国際関係研究院日本研究所所長):

 それでは簡単に申し上げます。議論には2つの特徴があったと思います。広く掘り下げて理性的、実務的に議論を行うことができました。ポイントは6つあります。

1.平和和解の歴史的必然性
2.若い世代の交流
3.東アジア共同体とアメリカ
4.金融なども含めた経済発展
5.双方の利益に配慮すること
6.実務的・リアルな立場から戦略的信頼を醸成すること

 すべての点でコンセンサスが得られたわけではありませんが、お互いの考えを理解することができたと思います。フロアとの協同、心と頭の協同、高齢者と若年者との協同がありました。
 フロアとの協同についてですが、大連理工大学の行き届いた準備、熱心さにより、学生側が日本側に多くの意見を求め、大変な成功を生んだと思います。

日本側報告

松本健一氏(評論家、麗澤大学教授):

 全体的な話については中国側から出していただいたので、私は重要な点だけを申し上げます。このフォーラムが「東アジア共同体」ということを言い始めたのは第2回フォーラムのときだったと思いますが、それが今回大きなテーマになっています。民主党政権がこの構想を打ち出したことは大きなインパクトを与えました。全体会議で「中曽根康弘氏が『はじめに言葉ありき』だとおっしゃった」と言いましたが、今回も同じです。
 次に、日本は明治以来脱亜入欧という道をとってきましたが、民主党は日米同盟重視かつアジア重視として、それをひるがえすものだと考えられていました。また「21世紀はアジアの世紀になる」と言っていましたが私は「まだ来ない」と主張してきました。共同の場がまず必要であり、それがアジア共同体だろうということです。その中で、「アジアの世紀」というのではなく全人類の世紀ということを考えて、東アジア共同体を考えるべきだと。ひとつの理念を示すということで「共生」をいうことを言いたいと思います。
 アジアの普遍的な理念は、ヨーロッパにおける民主と同じです。「アジアには宗教戦争がなかった」と呉健民さんがおっしゃいましたが、そのことを再確認したいと思います。笹木さんは「中国は若い国を目指す」という胡錦濤氏の言葉について、「聖徳太子もそう言っている」と語ったため、これについて多くの質問・問題提起がなされました。活気のある政治対話だったと思います。

カテゴリ: 2009年 第5回