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コーディネーター:
工藤泰志 言論NPO代表
学生:
鈴木麻衣子 東京大学公共政策大学院
小堤音彦 慶應義塾大学総合政策学部
是枝宏幸 東京大学文学部英語英米文学科
渡辺佑樹 慶應義塾大学総合政策学部
山下泰静 東京大学公共政策大学院
工藤
最後に、一つの扉が開いた場面に、運営側として携わって感じたことは何ですか?
小堤
そうですね。僕は世論調査にはじめの方から関わっていて、大変でした。まだフォーラムの形も何も見えない状態で、がむしゃらにグラフやら資料やらを つくっていましたが、周りの方々の協力もあって、形ができていくプロセスを見ることができたことは、今までにない経験でした。自分がやっていたパワーポイ ントの資料作りというのは、そこまですごいことではないと思っていましたが、最後、会議の場で使われているのをみて、感動というか達成感みたいなものがあ りましたね。
工藤
最後できたものは手が抜かれてなかったけど、それへのこだわりはあったんですか?
小堤
一度やったからには、しっかりしたものをつくりたいという思いもありましたし、ここで何かができるという感じがしました。安倍官房長官や有識者が集 まっている中で学生がこういうものをつくって、どういう風なインパクトを与えることができるのかなという興味もありました。有識者の前で、「実はこれを学 生がつくったんです」ということがわかったりして、意外に感じられたら面白いなと思いました。実際に全体会議で工藤さんが使って、皆が見たとき、学生でも ちっぽけだけど意外と結構できるものだなと実感しました。
工藤
いやー、僕は今回すごいなと思いましたよ。結構できますね、学生は。世代交代できるかもしれないね(笑)
小堤
いや、まだそれは(笑)
工藤
世論調査はこだわった結果、長くなってしまったんだけど、会場の人たちに聞いたら、日本側の報告はすごくよかったと言っていましたよ。しっかり分析 され、きちんと論理が設計されていたからこそ、世論調査してどうだったというわけではなく、答えを作り出そうという姿勢が見えたと好評でした。手を抜か ず、助かりました。と、学生だからといって言い訳をつくりたくなかったという話でした(笑)
山下
僕は先ほど言ったように、NPOの独立性に問題意識があり、疑問に思っていたことがあったんですけど、今日工藤さんや皆さんとお話してみて、やはり 注目されればされるほど、存在意義が問われるというジレンマがある中で、独立性の可能性をあきらめない工藤さんの姿勢がわかったので、僕もその内部にい て、自分のできることをやっていきたいと思いました。パソコンはできないですけど(笑)。
工藤
何かこれをやれば、本当にできるという感じが掴めればできると感じたんだね。
渡辺
さきほど東京北京フォーラムの意義というのは何かを作ろうとするという意識を皆が持っていたという話があったと思うのですが、僕が感じたことは、当 日になったときの言論NPOの中の雰囲気も変わっていたことです。これまではパソコン作業などの地道な作業だったが、当日になるとこのフォーラムを成功さ せようという思いで皆が一心なっていました。
小堤
確かに、気合はいってましたね。
工藤
もっと前からその気合でやってくださいよ(笑)。だからそれを共有できない人と、気合が入っているチームと差が出ちゃった気がしますね。
渡辺
でもそういう人たちも当日の雰囲気の中では引っ張られている感じがしました。それもよかったですね。小さいところから成功してないと大きいことはできないですから。
是枝
僕はアンケートから関わっていました。最初は正直アンケートというと、授業評価アンケートのようなイメージがあったので、そこから本当に考えている ことが分かるのかなと疑問に思いました。しかし、ものすごいデータ量があり、しかもアンケートの内容は一言でまとめられるものではなく、工藤さんはアン ケートを元に詳細に分析されていましたし、フォーラム当日も二時間の中でそれをベースに、いろんな人があーでもない、こーでもないと議論して、言いたいこ とが尽きない感じでした。普段日中問題について友達と話すことはあっても、冷静に膨大な量の情報があって、それを元に話すということはありませんでした。 今回の作業は大変だと感じましたが、それを実行することで少しずつ理解が深まっていく、お互いが考えていることも近いということがわかっていく気がしまし た。
工藤
メディア分科会で、アンケート内容にそもそもの問題を提起していたことがありました。入り口を問題にすることはよくあるんですね。僕はそこで、その 内容の中身について質問したのです。中国側はきちんと答えてくれたね。こういう風に本音で議論しないと前に進まないですよ。「すべての議論に逃げるな」と いうことが言えます。認識のギャップのあることが問題なんだから、これを他の人の問題じゃなくて自分の問題として議論するってことが今回のテーマでした。
渡辺
確かに、議論がそれているなって思うときがありました。
工藤
だから何かをつくったっていう達成感があるんじゃない。自分が本当に開かないと相手との議論はできない。「世論調査を進めていくことは自分へ問いかけるという作業だった」と範士明さんが言ってました。確かにそう。だから重いんです。
鈴木
私は運営に関わっていましたが、最後の最後でエンジンがついて、本当にこれは自分がやっていることなんだと実感することができました。フォーラム中 は本当に楽しかったです。記者への対応も自分がまさに言ったことや出した情報が記事になったということを実感できました。あと、オンゴーイングで議論を発 信することがこのフォーラムの成功につながると思ったので、少しでも早く多くウェブに情報をアップしたい強い思いがありました。ホテルの待機室で朝の6時 ごろまでスタッフの方とカタカタとパソコンを打ってました。体はすごく疲れていたんですけど、頭は朝まで冴えて、自分がまさに今やっていることを感じてい ました。
工藤
若い人たちに向けてメッセージは?
小堤
同年代の人で興味がある人には是非参加してほしいですね。
工藤
鈴木さんが記者会見に出てたけど、ここでは偉いって感じはないんだよ。みんなが参加して今の時代に向かい合うことができる、それを面白いと思うかど うかだよね。僕は若いうちからこんなことを経験したことがないよ。学生運動はあったけど、みんな縦割りなんだよね。これは年取ってるとか若いとか全然関係 ないよ。
鈴木
フラットに議論ができていたことが、すごく良かったですね。
工藤
当事者はわかんないけど、何かであることは間違いないよ。
渡辺
フラットっていうのは大事なんですね。シャープだとお互い傷つけ合っちゃう・・・。#+♭=♮。つまり、シャープ(#)な棘棘した世の中にフラット(♭)な場が提供される。そしてその先にはナチュラル(♮)、すなわち自然体があるのですね。
工藤
ホテルの人たちもみんな若い人たちがすごいって言ってたよ。本当だったらホテルで寝ていいのかね(笑)
是枝
同情してくれてたんじゃないですか(笑)
工藤
本当にいいホテルだったってことだね。学園祭みたいな感じだったからね。今の時代に向き合いたいひとは言論NPOに来てほしいですね。何かできるかもしれない。
<了>
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2006年09月21日 17:23
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