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工藤:今回の対話は「次の10年」における最初の対話です。その記念すべき第1回目の対話をこのように盛大なフォーラムとして実現していただいた中国側主催者である中国国際出版集団、そして中国を代表する各界のパネリストの皆さんに御礼申し上げたいと思います。
日本側においても数多くの方々に私たちの対話を支えていただきました。私たち言論NPOは非営利組織ですから、多くの支援をいただかなければ、この壮大なチャレンジはできません。その支援をしてくださった方々に御礼申し上げます。そして、日本から参加してくださったパネリストの皆さん、多くの関係者の皆さん、さらに両国のボランティアの皆さんにも御礼申し上げます。皆さんのお力がなければ私たちのチャレンジは絶対に成功することができなかったと思います。
私たちはこの10年間、この対話を「公共外交」、そして「民間外交」というかたちで拡大してきました。私たちがしたかったことは、「世論」というものを、多くの課題解決に向かい合う力に変えていくということです。それまでは世論が両国関係をマイナスにしてしまっていました。そうではなくて、この世論こそ両国関係の改善、そして未来に向かうための大きな原動力にすることができないだろうか。私たちはそう考え、10年間にわたって大きな挑戦に取り組んできたわけです。
先程の分科会報告を聞いて本当にと安心しました。多くのパネリストの皆さんがまさに課題にぶつかりながらも、様々な提案をして合意を形成していたからです。この10年間、政府間外交は何度も中断して交渉ができないような状況になっていましたが、そういう中ですら、私たちのこの対話は1回も休まずに課題に向かい合い、課題を解決するために議論を続けてきた。これこそが私たちが目指している民間外交の姿なのですが、こうした民間外交が今回もきちんと成功しているということを私は非常に嬉しく思います。
この成功を確実に来年の東京につなげたいというのが私の今の気持ちです。先程の小倉さんの「過去を直視することは大事だが、過去を直視するのは未来のためだ」という挨拶に非常に共感しました。また、初日の全体会議で福田元総理がおっしゃったように、私たちは視野をより未来や地域、そして世界に広げる必要があると思います。そうして課題に対して日中が協力し合って、色々な作業を行っていく。もしそういうことが実現できれば、間違いなく日中関係はもっと強固なものになり、そして世界の中でより大きな責任を果たすことができるようになると思います。
皆さんのお話を聞いていて、ひとつ気づいたことがありました。私たち主催者の役割はあくまでも舞台をつくることなのだということです。この舞台に参加する皆さんこそが主役であり、そして皆さんが当事者の一人として多くの人々が課題に向かい合って答えを出していく。そうした自由な言論の舞台を、どうしても私たちは守り抜いていきたい。それにとどまらずどんどん発展させていくということを、私は皆さんにお約束いたします。そういった覚悟で、言論NPOは中国国際出版集団と力を合わせ、来年東京で12回目の対話開催を間違いなく実現します。この決意表明をもって私の最後の挨拶としたいと思います。皆さんありがとうございました。
言論NPOは2001年に設立、2005年6月1日から34番目の認定NPO法人として認定を受けています。(継続中) また言論NPOの活動が「非政治性・非宗教性」を満たすものであることを示すため、米国IRS(内国歳入庁)作成のガイドラインに基づいて作成した「ネガティブチェックリスト」による客観的評価を行なっています。評価結果の詳細はこちらから。