. 言論NPO主催「東京-北京フォーラム」公式サイト - 「北東アジアの平和環境」づくりに民間レベルで動き出す ~10月、一つの大きな山場を迎える「言論外交」の取り組み~
動画をみる

「国家」という枠組みが問われる中、国際的な新しい秩序をどう作っていくか
~世界のシンクタンク会議を前に、ワシントンからの報告~

⇒ 動画をみる

 言論NPOは10月、「言論外交」の新しいチャレンジを始めます。  まず、10月19日(月)、アメリカのシンクタンクとのトップとの間で対話を行い、翌日20日には、日本、中国、韓国、アメリカの4ヵ国シンクタンクのトップと議論を行います。そして、その3日後、私たちは北京で、中国との間に「第11回東京-北京フォーラム」を開催します。

 

中国との「不戦の誓い」を、北東アジア全体に広げていく議論を開始する

 私たちはこの10月、3つの対話で何を目指しているのか。
2年前、私たちは中国との間で「不戦の誓い」を合意しました。北東アジアは、平和的なガバナンスが世界で最も欠如している地域です。中国の台頭により、この地域の地政学的なパワーバランスが大きく崩れる中で、「北東アジアを平和な環境にする」という新しい動きに取り組む必要性を、私たちは痛感しています。

 2年前に中国側と合意した「不戦の誓い」では、この合意を、単に日本と中国だけでなく最終的には北東アジアの全域に広げていくこと、そして、この合意をきっかけに、北東アジアの平和的な秩序をつくっていくことを宣言しています。私たちは中国との間で協議を続け、そして、今回で11回目を迎える「東京-北京フォーラム」で、日中両国の未来、北東アジアの未来を考えながら、「私たちに何ができるのか」という議論を開始しようと思っています。

 

北東アジアの将来に対してアメリカの関心が高まっていないからこそ、

 日本の市民レベルが率先してアクションを起こし、世論を動かしていくことが重要 一方、「東京-北京フォーラム」に向かう前の2つの対話、つまり、日本とアメリカとの対話、そして日本、アメリカ、中国、韓国の4ヵ国の対話は、日中の対話に比べてもさらに重要な対話だと、私たちは考えています。

 9月19日、私はこのスタジオで、アメリカの代表的な世論調査シンクタンクであるピューリサーチセンターのトップであるブルース・ストークスと議論しました。その中で私が指摘したのは、アメリカの民意が、日本やアジアの平和的な環境について二分されているということです。例えば、中国が台頭する中、日本とアメリカの軍事同盟、つまり日米安保条約が重要だとアメリカ政府は主張しています。しかし、アメリカの国民の半数以上が、アメリカにとって日本よりも中国の方が経済的には重要だと答えています。そして、安全保障上の日本の役割をさらに強めることに50%近い人が賛成する一方、それと同じくらいの人が、日本の軍事的な貢献を縮小すべきだと答えています。

 つまり、北東アジアの未来や日米関係について、アメリカの民意は分断されています。これをどう考えればいいのか、そして、お互いの政策や外交につなげるためにはどうすればいいのか。アメリカは、日米同盟を結んでいる日本との関係が非常に重要だと言いながら、アジアの未来を平和的につくり上げていくことにまだ腰が据わっているとは思えず、また、そこまでの関心がまだ高まっていないのです。

 だからこそ日本が、市民レベルで、北東アジアに平和的な環境をつくり出すというアクションを始める。そして、世論を動かしていく。そのようなアプローチが必要だと私は考えています。

 

地域の平和を志向する日米中韓の市民と、それに追いついていない政治

 今回、私たちは、アメリカでも世論調査を行い、同じ設問を、日本、中国、韓国の3ヵ国でも行っています。この4ヵ国の世論調査を、10月20日(火)に発表します。今回の調査で浮かび上がったのは、北東アジアの未来に関して、これから大きな変化があるということです。そうした中でも、多くの市民は、軍事的な展開よりも強く平和を志向しています。しかし、政治は、そうした市民の考えと同じようには動いていません。

 私たちは、この共同世論調査をベースに4ヵ国で対話をし、北東アジアの平和的な未来をつくるために何が重要なのか、日本と中国、韓国、そしてアメリカがどのような役割を果たし、どのような舞台をつくっていくのか、ということについて議論を行います。 そして、その議論をベースにして、私たちは中国に乗り込み、日中両国の間で北東アジアの平和と未来についての議論を行おうと考えています。中国との間では、「不戦の誓い」をベースにして平和的な秩序をどうつくり出していくのか、という議論を開始することで合意しています。

 私たちはいよいよ、民間レベルで北東アジアの平和的な環境づくりに乗り出すタイミングに来たのだと痛感していますし、その責任を果たしたいと思っています。

 

世論を尊重し、世論に基づいて地域の課題を解決する

 これら3つの対話、そして日米中韓と日中という2つの世論調査は、すべて皆さんに公表します。ぜひ、私たちの議論をご覧いただき、また、私たちが行っている世論調査の中身を分析していただき、北東アジアの平和のために何が重要なのか、自分たちに何ができるのか、ぜひ考えていただきたいと思っております。私たちは、そのきっかけと土俵をつくり出そうと思っています。

 私たちが考える「言論外交」は、世論を大事にしながら、世論に基づいてこの地域の課題を解決するというものです。いよいよ、私たちの「言論外交」が、一つの大きな山場を迎えることになります。ぜひ、私たちの議論に注目していただければと思っております。

親カテゴリ: 2015年 第11回
カテゴリ: 事前インタビュー