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特別分科会

2016年9月27日 (火曜日) 13:30-17:45  ⇒ 報告はこちら

全体テーマ:日中の人的移動は両国関係の新風となれるか
~生活、就労、観光、留学―民間で進む日中台交流の課題と展望
前半テーマ:両国民間で進む人的移動と交流の実態と課題
後半テーマ:日中の人的移動を両国関係の追い風にするための何が必要か

 ※プログラム・パネリストは変更になる場合がございますので、予めご了承ください。
司会

小倉和夫(国際交流基金顧問、元駐フランス・韓国大使)
福本容子(毎日新聞社論説委員)
王惠(北京市政府新聞弁公室元主任、ニューススポークマン)

パネリスト

 
【日本側】

小倉和夫(国際交流基金顧問、元駐フランス・韓国大使)
福本容子(毎日新聞社論説委員)
江川雅子(一橋大学教授)
加藤鮎子(衆議院議員)
杉村美紀(上智大学総合人間科学部教育学科教授)
日野正夫(東日本旅客鉄道株式会社常務取締役、鉄道事業本部副本部長) ※前半のみ
山下晃正(京都府副知事) ※前半のみ

【中国側】

王惠(北京市政府新聞弁公室元主任、ニューススポークマン)
劉江永 (清華大学当代国際関係研究院教授)
羅玉泉 (国家旅遊局駐日首席代表)
李茜(雲南省政府新聞弁公室主任、ニューススポークスマン)
李文麗 (海信日本公司(ハイセンスジャパン)総経理)
段跃中 (日本僑報出版社総編集長)
 


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 10月22日、中国・北京市内の釣魚台大酒店にて、言論NPOが中国国際出版集団と共同で実施した「第11回日中共同世論調査」の結果発表に関する記者会見が行われました。

 会見は日本側からは言論NPO代表の工藤泰志が、中国側からは中国国際出版集団副総裁の王剛毅氏と中国零点研究コンサルテーショングループ董事長の袁岳氏が出席し、人民中国編集長の王衆一氏の司会の下、進行しました。会場には10台のテレビカメラが設置され、日中両国のメディア関係者およそ80人が参加するなど、国内外から昨年を上回る高い関心が寄せられました。

 今回で11回目となるこの共同世論調査は、日中両国の相互理解や相互認識の状況やその変化を今後継続的に把握することを目的に、2005年から言論NPOとチャイナデーリー紙が共同で開始したもので、今回から中国国際出版集団が中国側の調査を担当しています。調査は8月から9月にかけて行われ、サンプル数は日本が1000人、中国は1570人です。また、世論調査を補完する形で、同時期に有識者調査も実施され、こちらのサンプル数は日本が627人、中国が400人となっています。今年は10月24日から「第11回東京-北京フォーラム」が北京市内で行われますが、その対話の中でもこの調査結果が使われることになっています。

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 会見ではまず、王剛毅氏より今回の調査結果のポイントについて15分間にわたり報告がなされました。その中で同氏は「特に重要なポイント」を以下のように紹介しました。


両国で「相手国に対する印象」が改善

 日本人の中国に対する印象は「良くない」(「どちらかといえば良くない印象」を含む、以後同様)は依然として高水準ですが、最も悪かった昨年(93.0%)よりはやや改善し、88.8%となりました。一方、中国人の日本に対する印象は、「良くない印象」が昨年の86.8%から78.3%へと改善し、特に最も悪かった2013年(92.8%)から見ると14ポイントも改善しています。さらに、「良い印象」(「どちらかといえば良い印象」を含む)を持っている中国人は、昨年の11.3%から今年は21.4%と約10ポイント増加しています。


「日中関係は重要」だと考える人は両国でともに昨年より増加

 日中関係を「重要である」(「どちらかといえば重要」を含む、以下同様)と考える人は、日本では昨年の70.6%から74.4%へ、中国では昨年の65.0%から70.1%へとそれぞれ増加しました。特に、中国ではこの5年間減少傾向にありましたが増加に転じています。


「今後の日中関係」について、両国で「悪くなっていく」という見通しが減少

 今後の日中関係の見通しについて、日本人では、「変わらない」という見方が42.5%(昨年34.7%)で昨年同様最多ですが、今後も「悪くなっていく」(「どちらかといえば悪くなっていく」を含む、以後同様)と考えている人は、昨年の36.8%から24.7%へと大幅に減少しました。さらに、「良くなっていく」との見方も、昨年の8.0%から12.7%に増加しているなど、楽観的な見方が出始めています。中国人でも、「悪くなっていく」が昨年の49.8%から41.1%へと減少しています。ただ、「良くなっていく」との見方は増えておらず、中国人は日本人ほど日中関係の改善についてまだ確信を持つことができていません。


両国で民間交流に対する意欲が増大

 「相手国への訪問」について、日本人で中国に「行きたい」という人は32.9%と昨年の29.6%からやや増加した一方で、「行きたくない」は67.0%となり、昨年の70.4%からは減少しました。中国人ではこの傾向がより顕著で、日本に「行きたい」という人は35.7%となり、昨年の22.5%から大幅に増加し、「行きたくない」は63.2%で、昨年の72.6%より10ポイント近く減少しています。

 そして、民間交流が日中関係の改善や発展にとって、「重要である」(「どちらかといえば重要である」を含む、以後同様)と考えている人は、日本人では67.1%(昨年64.4%)と7割近く、中国人でも「重要である」と考える人は昨年の63.4%から13ポイント増加して76.9%と8割に迫っています。

 両国民は日中の平和的な共存・共栄関係を期待しながらもその実現に確信を持てないでいる。しかし、協力を進めることを望む人は多い

 「将来、日中両国はアジアの中で共存・共栄ができるか」について、日本人の58.0%(昨年54.6%)、中国人の46.7%(昨年50.3%)と半 数近くが「平和的な共存・共栄関係を期待するが実現するかはわからない」と回答するなど、両国民ともに確信を持つに至っていません。

 しかし、日中間やアジア地域に存在する課題の解決に向けて、日中両国が協力を進めることについては、日本人の64.4%(昨年66.1%)、中国人の54.3%(昨年52.2%)が「賛成」(「どちらかといえば賛成」を含む)と答えているなど、多くの両国民が協力の深化を望んでいます。


東アジアが目指すべき価値観では、「平和」と「協力発展」で両国民の認識が一致

 東アジアの将来のために目指すべき価値観として、日中両国民が最も重要だと考えているのは「平和」で、日本人では72.0%、中国人では59.6%とそれぞれ高い水準にあります。続いて、日本人の41.6%、中国人の39.6%が「協力発展」が重要だと考えており、日中両国民の認識は一致しています。

 その後、同氏は「その他の注目ポイント」として、「相手国に対する良くない印象の理由」に関して中国人では「中国を侵略した歴史についてきちんと謝罪し反省していないから」が昨年の59.6%から70.5%へと10ポイントも増加したことや、「安倍談話」について中国人では「評価していない」が7割を超えたこと、首相の靖国神社参拝について中国人では「公私ともに参拝すべきでない」が60.2%(昨年59.5%)となっていることなど「歴史認識」に関する点を指摘し、報告を締めくくりました。

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 続いて登壇した工藤は、王剛毅氏の報告と同様の見方を示した上で、独自の分析結果について報告しました。

 中国人では日本との直接交流経験の有無によって対日印象が大きく変わる

 まず、「相手国に対する印象」が中国では昨年から、日本では今年から好転した背景として、「この間2度の日中首脳会談が行われたこと」や「印象を悪化させるような大きな事件がなかったこと」を挙げました。その上で注目すべきこととして、中国人では「日本への訪問経験がある」という人は、昨年の6.4%から7.9%に増加し、さらに、「親しい」、「多少話をしたりする」日本人の友人がいるという人も昨年の3.1%から7.3%へと急増していることを指摘しました。工藤は「直接交流の経験がある人は、それがない人と比較すると対日印象が大幅に良い。今後さらに直接交流が進めばさらに改善する余地はある」と語りました。


中国人の中に併存する2つの異なる認識

 その一方で「心配なこと」として、「現在の日中関係」を「悪い」(「どちらかといえば悪い」を含む、以後同様)と判断している中国人が昨年と同様に67.2%となり、改善が止まっていることを挙げました。これに関連して工藤は「通常、相手国への印象が改善していれば、両国関係の現状評価も改善するはずだが、そうなっていない」と述べ、「中国人の中に2つの異なる認識が併存していることが今回の調査結果の特徴だ」と指摘しました。その背景としては、日本で8月14日に安倍談話が出され、さらに中国では9月3日に軍事パレードなど「戦後70年」に関連するイベントや議論が行われた時期と今回の調査時期が重なっていたことを挙げました。

 また、これに関連して、「その結果、中国国内で歴史認識に関する厳しい見方が増え、通常であれば国民感情が改善すれば『日中関係が発展するにつれ、歴史問題は徐々に発展する』という楽観的な見方が増えるはずが、今年は27.6%と昨年の34.1%から減少した一方で、『歴史問題が解決しなければ日中関係は発展しない』という歴史問題の解決を重視する見方が昨年の31.4%から大きく増加して47.0%と半数近くになっている」と解説しました。しかし工藤は同時に、「歴史関係のイベントは一通り終了したので、これから改善していく可能性はある」と前向きな見通しも示しました。

 「平和」に向けた課題は鮮明になっているが、両国民の認識は一致しているため懸念すべき状況ではない

151022_01.jpg 続いて工藤は、軍事・安全保障関連については、「日中両国の領土をめぐる対立の解決方法」に関して、日本人では、「両国間ですみやかに交渉して平和的解決を目指す」が46.2%(昨年48.4%)で昨年同様最も多く、中国人では、「領土を守るため、中国側の実質的なコントロールを強化すべき」との回答が58.2%で最も多いものの、昨年の63.7%からは減少し、「平和的解決を目指す」が、昨年の32.6%から43.6%へと10ポイント以上増加しているという結果を紹介し、「領土に関する認識は両国で落ち着き始めている」と述べました。

 一方で、日本と中国はそれぞれ相手国に対して最も強い軍事的な脅威を感じており、特に、中国にとっては「日本」が「米国」を抜いて最多となったことを紹介し、「この北東アジア地域における課題が鮮明になった」と語りました。

 もっとも、工藤はこの状況について「全く心配していない。なぜなら、東アジアの将来に関しては、『平和』と『協力発展』が目指すべき価値観として、日中両国民の認識は一致しているからだ」と述べ、さらに「これは現在の課題であると同時に未来への願いだ。これを実現するために24日から始まる『第11回東京-北京フォーラム』に臨む」と決意表明をしながら報告を締めくくりました。

 その後、出席したメディアから様々な質問が寄せられ、活発な質疑応答が交わされました。予定時間終了後も、多くの報道関係者から質問が相次ぐなど、日中関係、さらにこの共同世論調査への関心の高さをうかがわせる会見となりました。

 言論NPOでは、今回の調査結果をふまえながら、10月24日、25日に開催する「第11回 東京-北京フォーラム」での議論を行っていきます。議論の内容は、言論NPOのホームページ、または「第11回 東京-北京フォーラム」公式サイトで随時公開していきますので、ご覧ください。

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