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2日の午後後半のセッションではにはメディア対話として、日中両国相互信頼とメディアの役割について議論が行われました。
まず日本側からは、共同通信社編集委員室長の会田弘継氏より、昨今の日本報道で取り上げた出来事やアジェンダの傾向について説明した上で、「今年は日中国交正常化40年とのこともあり、今後、日中問題に関する記事が増えてゆくだろう」と述べました。
次に中国側より、中国側の劉沢彭氏(全国政治協商会議常務委員)は近年の日中の印象が悪化していることに関して、短期的には楽観視できないが、長期的にはさほど悲観すべきことではないと述べました。そして、「メディアは責任を持つべきである。またアニメやTVなど文化交流をもっと増やしてゆく必要がある。さらに、メディアが世論に影響していることに鑑みれば、両国のメディア関係者の日中関係に関する考えについて調査するべきである。」との提案を行いました。
また山田孝男氏(毎日新聞社政治部専門編集委員)は、震災直後に原発に会社の反対にも関わらず取材をした中国の記者「報道の自由とはどれだけ奮闘して政府やスポンサーに意向に左右されずフェアな報道ができるかである。」と指摘しました。
続いて、章念生氏(人民日報国際部副主任)は、「今後、青少年の交流効果や両国の文化交流が大切である」と述べました。これにより、孔子、儒教、仏教など様々な思想や歴史的背景を理解したうえでの報道が必要であるとまとめました。
また、中村史郎氏(朝日新聞社編成局長補佐)は近代のメディアの変化に対して述べ、「ネットの世論がマスメディアにとって不確定な要因となっている。個人が発信するSNSなどの媒体により大規模なデモが起こるなど、社会的に大きいな動きにつながることを受け、、ソーシャルメディアの影響が無視できなくなっている。」と指摘しました。
冮冶氏(新華社国際部記事発行センター編集委員)は、両国の高感度を左右する頭打ちの問題には歴史的問題が背景にあると述べました。また、日本の政府やメディアなどは歴史的責任に対する認識が不足しており、また、、報道が国民の感情に流されやすくなっている点に問題があるとしたうえで、「お互いに、交流を経験した人は互いの国について良い印象を持つ。今後は民間を含めて両者の交流をもっと進めていくべきである」と述べました。
さらに、伊藤俊行氏(読売新聞東京本社編集委員)は、メディアの発信だけでなく、読む側のリテラシーに依存するため、それを上げていく重要性を述べました。また、「読売新聞は発行部数1000万部と言われているものの、実際には、、記事は読まれなかったり、選択的に読まれるようになっている。それを肝に銘じたうえで記事を書く必要がある。」とまとめました。
また会場から次のような質問が出されました。すなわち、「日本から中国へのメディアの報道について問題視されることは多いが、一方で日本側のメディアにも問題があると思う。中国大使館の一等書記官がスパイであるという記事が日本で報道されたが、どう思うのか。」に対して、加藤氏は「中国側は、この問題についてスポークスマンを付けていて、誤報道だとならないよう注意して報じている。今回は、スパイ報道に対して、中国側が否定していることについて、当局は報じている。。メディアとしても様々な対応を嵩じて透明性を確保することに心がけている。」と答えました。
最後に本フォーラムを通じて程曼麗氏は(北京大学ジャーナリズム・コミュニケーション学院副院長)は、日中関係におけるメディアの責任やその役割の重要性を説明しました。またメディアの報道だけではなく、日中双方の市民同士の理解を深めることが重要であると呼びかけました。
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