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引き続いて行われた分科会「経済対話」の後半では福川伸次氏(一般財団法人高度技術社会推進協会顧問)が日本側司会を、遅福林氏(中国海南発展改革研究院院長)が前半に引き続き中国側司会を務めました。日本側パネリストとして、田波耕治氏(株式会社三菱東京UFJ銀行顧問)、林芳正氏(自由民主党政務調査会長代理、参議院議員)、深川由紀子氏(早稲田大学政治経済学部教授)、古川元久氏(衆議院議員、国家戦略担当大臣、内閣府特命担当大臣(経済財政政策、科学技術政策))、宮内義彦氏(オリックス株式会社取締役兼代表執行役会長・グループCEOが参加し、中国側パネリストとして、魏建国氏(中国国際経済交流センター副理事長兼秘書長)、李剣閣氏(中国国際金融有限公司取締役会長、中央滙金公司取締役副会長)、張燕生氏(国家発展改革委員会学術委員会秘書長)が出席しました。
まず、魏建国氏(中国国際経済交流センター副理事長兼秘書長)は、日中関係について、中国が労働力の低コストと人口の多さを活かして加工貿易の主導的な地位を得たが、今後も中国の人口が変わらなければ、中国が引き続き加工貿易の主要な基地となると指摘しました。また、知的財産権の保護については、海外からのプレッシャーが大きいが、中国はこのプレッシャーの有無に関わらず保護体制の整備を自ら行わなければならず、「法をもって罰する仕組みをつくるべきである」との見解を表明しました。
李剣閣氏(中国国際金融有限公司取締役会長、中央滙金公司取締役副会長)は、中国の資本市場の歴史と現状について、「中国の資本市場の立ち上げにあたり、日本で学んだ中国の学生が中心になって参画した。中国にとっては日本との資本市場との関係が欧米よりも長いのに、欧米の企業のほうが現在大きなシェアを持っている。日本の証券会社はもっと努力すべき」と指摘し、これからはETFなどの新しい金融商品や通貨の取引などの業務における日中の企業の協力体制構築が肝要であると強調しました。
また、張燕生氏(国家発展改革委員会学術委員会秘書長)は、「日中両国はタブーを無くし、東アジアで大国として責任を負った行動をとり、経済の牽引車としての役割を果たすべきである」と主張しました。加えて、農民工が農村から都市へ移動することで中産階級が厚くなる。中小企業が増加し、また農民工の中から熟練工が生まれることで製造業がより発展すると発言しました。そしてこの発展の過程において、「日中は互いに協力し、いかに東アジアでリーダーシップがとれるかが重要である」と強調しました。
次に日本側が発言。古川元久氏(衆議院議員、国家戦略担当大臣、内閣府特命担当大臣(経済財政政策、科学技術政策))はアジアの経済発展と中間層の増加に言及した後、「日本と同様に、中国も継続的な発展のために社会制度改革が必要不可欠だ」と強調しました。また、世界で新たな貿易投資のルール策定が求められているなかで、日本はそこへの積極的な参加の意思があることを示し、「TPPやFTAをはじめとした幅広い国々との多角的な経済連携活動を行っている」と述べました。
林芳正氏(自由民主党政務調査会長代理、参議院議員)は、人民元の改革について「今後はドルを介さない円と元のやりとりの拡大が期待できる」と述べました。また、GDPが増えないので、新たな経済指標として配当・利子を含むGNIを導入し、それを最大化する政策をめざすべきだと唱えました。
宮内義彦氏(オリックス株式会社取締役兼代表執行役会長・グループCEO)は「日本の企業から見れば、かつて中国は製造基地・新規市場として重要であったが、近年では他のアジア地域も製造基地としての重要性が高まってきている」と述べつつも、「依然として中国は成長市場だ」として、中国の市場としての重要性を強調しました。
また、田波耕治氏(株式会社三菱東京UFJ銀行顧問)は今後求められる日中協力として①経済協力・開発援助、②企業間提携、③金融協力を挙げました。①については国境を越えた広域的なインフラなどの整備、②に関しては中国企業を脅威として捉えるのではなく、エネルギー分野などの技術・価格面などにおけるwin-winの関係構築の可能性、③においては人民元の流動性確保や金融規制緩和による資金調達市場の成長可能性について述べました。
最後に、深川由紀子氏(早稲田大学政治経済学部教授)は手段としてのFTAが目的化している傾向に懸念を示しました。そして、日中の国内市場が大きいことに着目して、どうやって内需を拡大するかをFTAにからませたらいいとアドバイス。具体的には、「日中間のFTAでは関税以外の分野にも着目し、例えば国内雇用の創出に結びつきやすいサ-ビス分野を育成するなどの視点からパッケージ化した仕組みをFTAに組み込むべきである」と述べました。
パネリストの発言が一巡したあとは、さまざまな論点から、日中の経済関係強化に関する発言が出ました。魏家福氏は大きな方向性、枠組みを考えるべきであるとして「今回、日本との協力をどういう方向で進めるか考える必要があると思った」とフォーラム参加の意義を評価しました。
また、張燕生氏は中国が過去30年とってきた経済政策と対比して今後30年間に目指すべき新しい経済モデルの模索に言及。その中身として、内需拡大、産業の国際化、バランスのとれた発展、社会サービスへのシフト、法制度に基づく社会への移行などを挙げました。
このほか、日本側のパネリストが、財政による経済刺激など過去にとってきた経済政策がサステナブルでないという問題点を紹介し、中国が日本の轍を踏まないようにとアドバイスしたりする発言もありました。中国側は、現在、農民工の都市集中による所得格差の拡大などの深刻な内政問題を抱えているため、日本の経験から学ぼうという姿勢もうかがえました。
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