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【発言録】 1日目 全体会議 page 4

 

国分氏(司会)  続きまして、王晨氏、宜しくお願い致します。

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基調講演
王 晨氏(国務院新聞弁公室主任) 

 

 ご来賓のみなさま、ご在席の皆様、今日第6回東京‐北京フォーラムに出席ができ大変嬉しく思っております。

 このフォーラムは民間交流の窓口として有識者が集まり、両国の政治信頼、経済貿易、環境安全などについて多くの提案が出され独特な役割を果たしています。

 今回第6回のフォーラムのテーマは「アジアの未来と日中の貢献」でありまして、これは両国が手を携えながら、アジアのために貢献することを目指しているという意味もあると思います。中国と日本は一衣帯水の近隣国で、お互い学びあい、それぞれの発展と進歩を促しています。周恩来首相は「中日関係は2000年の友好、50年の不幸」と仰いました。各界の有識者の努力により2008年に大きな成果が見られました。ややマイナスなこともありますが、全般的によくなってきたと考えております。

 ここに日中関係について、重要な点を4つ挙げたいと思います。

 1つ目は、互恵関係と相互信頼関係です。2006年に政治関係が改善され、胡錦濤さんは2008年5月に訪日し、それは中日関係に大きな歴史を開きました。その時に、お互い協力パートナーになり、お互い平和発展の指示を下すことに合意ができました。これは大きな成果であり、中日関係の大きな原動力でもあります。

 2つ目は、経済貿易協力です。日本は中国の最大の貿易パートナーであり、2008年ぐらいには2663億ドル、2009年に世界不況の中、マイナス成長でありながら2288億ドルも貿易額がありました。そして、これからは、金融、情報、環境、防災など健全な都市建設など新たな協力分野を開拓していくべきだと考えております。

 3つ目は人的交流です。日本と中国両国の間に、文化交流やスポーツ交流、青少年交流は盛んに行われています。例えば、日本文化センターや中国文化センターなどがあります。又、中国では日本語能力試験の受験人数も多いです。そして、両国間の地方友好都市の間の交流はすでに200を超えています。

 4つ目は世界平和に大きな責任があるということです。インフラ整備や国際金融危機、気候変動などでも両国の国民、ひいてはアジア太平洋と世界のためにも、中日友好関係は重要であります。

 現在、中国は独特の発展への道を開き、2009年の国際金融危機に全面的に対応したのもありGDPは34兆570億元です。

 しかし、中国はいまだに世界最大の発展途上国であり、不均等問題や、沿海地区ギャップや、農村地域問題など様々な社会問題に直面しています。また一人当たりの所得はさらに厳しく、十数億の人に全て利益をもたらすためにまだまだ努力をする必要があります。

 現在中国では科学的発展モデルを求め、内需外需、とくに国内需要の拡大を目指しています。そして、第1、2、3次産業をともに発展させ経営のイノベーションなどを進めています。

 中国では発展を優先する方針で、その中で平和的発展は中国人の信念でもあり、平和的な社会作りは近代化建設の道にも欠かせません。その中で、中国は世界貿易成長のための貢献をしました。中国は世界最大の新興市場として、世界貿易に多くの利潤を与えています。この責任のある発展国として、世界のために貢献して、建設的な役割を果たすことを目指しています。

 また、中国と日本両国の国民感情の繋がりに関して、中日のメディアは使命感と責任感を持たなければなりません。良い世論をつくるという社会的責任を持つことが欠かせないと思います。故に、メディア交流を全面的に推進することも大事だと考えております。メディアによる積極的な交流は両国の友好関係にも良い影響を与えられるので、中国政府はその重要な影響を重視しています。温家宝さんは去年訪日した時に、日本メディアと意見交換をしました。中国に対し、客観的かつ全面的に日本のメディアは多く取り上げているが、社会や軍事面などに注目しています。一方、中国のメディアは人的協力など世界会議などに注目している傾向があります。これからは両国のメディアの交流を進めるために、CCTV(中国中央電視台)で日本語のチャネルが放送する、人民中国という新聞の日本語版も出版するといったことを実施していく方針です。

 そして、両国間の実務レベルでの対話も重視されるようになり、フォーラム、シンポジウムなど多く開催されています。その中、第一回メディアサミットも開催されました。

 中日関係を推進するために、真剣に、積極的にこういったことをやるべきだと思っております。両国国民の間の友好や理解、そして心の距離を縮めるため、両国メディア関係者の間にも理解とお互い信頼しあう環境を作ることが大事です。温家宝さんは日本の社会科学の研究者を中国に招き、アニメフェアを開催するなど提言をしました。そして福田さんは700人の中国メディアを日本に招くというお話もありました。

 日本と中国は近隣の国で、両国友好は根本利益に関与し、様々な協力を深まることが大事だと考えています。あと2ヶ月ぐらいで万博が終わりますが、主催側の中国としては1200人の日本青少年を中国に招きましたが、日本のメディアの方々も非常に歓迎します。

 

国分氏(司会)  ありがとうございました。それでは、経済界の代表として三村明夫様(新日本製鐵株式会社代表取締役会長)宜しくお願い致します。

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基調講演
三村明夫氏(新日本製鐵会長)

 

 お招き頂き、どうもありがとうございます。私は鉄鋼業界の人間として様々な経験があります。この経験から本日は、アジア経済と自国の成長の視点を下に「国力」と「国益」をキーワードにして講演を行いたいと思います。

 まず、国力の視点でありますが、国力を考える場合二つの指標に着目すべきであると思います。一つ目が、「一人あたりGDP」というものです。これは、国民一人あたりの豊かさを示すものです。現在の中国の「一人あたりGDP」は1960年代の日本と実は同じ数字です。これは日本やヨーロッパの関係者には信じられない数字です。この背景には農村に富が行き渡っていないことがあるのではないかと思います。これからの中国の内政課題の一つは、経済成長の果実を国民全体がいかに享受してゆくことかであると考えられます。

 もう一つの注目すべき指標は、「GDP全体の大きさ」であります。マーケットの規模や防衛力などはこの「GDP全体の大きさ」に依存します。今年、中国は日本を抜き、世界第二位の立場に躍り出ることが確実視されています。さらに、たとえ現在の成長速度が鈍化したとしても、2030年前後には米国に追いつき、さらには追い越す可能性があります。中国は世界金融危機にもかかわらず、高い経済成長を維持し、世界経済に貢献をしてきました。このように、今や中国は世界有数の経済大国になっているのであります。

 次に、国益の観点から話を進めていきます。

 自らの国益を踏まえないで発言することは当然考えられません。自国民に配慮しないのはありえないことです。むしろ、自国の国益を踏まえない発言は周辺諸国からは異常に見えます。日本は自らの国益を考えない風土があります。ただ、その国益は一国のみでなく大方の国の国益であるべきだと思います。そして、国益は、交わります。程大使の言葉を引用すると、時間概念を入れれば、国益というのは共通・協力できる可能性を秘めています。これが戦略的互恵関係のベースになります。国益は相対的に変化し、対立点が生じます。政治は対立点を鎮めるべきです。民間も交流を進め、対立点の解消に進めるべきです。近時は、国益の考え方が複雑になっています。その中で、「開かれた国益」が重要となっています。中国は世界最大の鉄鋼産業国です。このような現状では、中国の行動自体が世界に影響を与えます。そのため、中国は何をなすべきか考えるべきです。自国の国益を考えるのは当然として、これからの中国は自国の立場をわきまえたリーダーシップをとることが必要です。このようなことを行わなければならない「開かれた国益」が必要だと思います。

 

親カテゴリ: 2010年 第6回
カテゴリ: 発言録