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政治・外交対話後半の議論では、冒頭、中央アジアに向かうために、途中退席する中山氏が発言に立ちしました。
その中で中山氏は、「子どもに対する教育でも、日本では昔からいつもお日様が見ているのだから悪いことをしてはいけない、と教えられた。ほかにも、例えば嘘をつくな、卑怯をするな、弱いものをいじめるな、そして人を決してだますな、といったことは日本の子ども達に教えられる基本的な事柄であるが、こうした伝統的な事柄が失われているのではないか。そうしたことを子供たちに伝えていくことで、その子ども達が大人になった時に、中国の人たちと分け隔てなく友人関係を結んでいくのではないか。私達は時間のかかることかもしれないが、日本文化に影響を与えてくれた中国に対し、中国に敬意を示しながら、子ども達に教えていきたい」と語り、フォーラムを後にしました。
その後、会場では前半での議論も踏まえながら、自分の国、この地域、更に相手の国との関係についてどのようなビジョンを持っているのか、どのように描いていこうとしているのか、と言った点を主な論点として議論が行われました。
まず、明石氏は、前半で日中関係の問題、歴史の問題について熱心な議論がなされたことは、「未来を語るうえで必要な前提」だったとし、歴史教訓を忘れることはあってはいけないと指摘する一方、国連時代、様々な紛争解決に携わってきた経験を踏まえると、「歴史に学びすぎるということもダメだ」ということを紹介しました。明石氏は国連のPKOに長く関係しており、「国連の必要性、価値そのものを強く感じると同時に、国連を神格化してもいけないということも感じますし、国連以外の手で、地域的な多国籍軍的な力でことを処理することも時には必要なことがある」とし、「中国、日本、韓国、東南アジア諸国も含めて我々は国連をどうすればいいか、国連にはどういう利点があり、どういう弱点があるか、そういう問題にも一緒に考え、力を合わせるという視点がとても大事だと思う」と語りました。
続いて、楊伯江氏は、前提として、現在、人質外交のような「極端な手段で国際問題を解決することはできない時代であり、平和、協力の中で発展を求めていくしかない。それが、私たちが今おかれている時代に対する認識である。そのような認識から出発して、中国外交のいろいろな性質が決まった。つまり、いかなる紛争に対しても、平和的な手段を用いることは絶対だ」と語り、中国の外交姿勢について説明がなされました。
山本有二氏は、これまで東洋文明が西洋文明に主導権を握られていた時代が終わろうとしているのではないか。そこで、日中が対立を続けていると西洋に変わることはできないのではないか。やはり、日中両国は協力関係を築き、様々な面で相互理解ができるのであれば、東洋の文明が再び始まるのではないか、との見解を示しました。
山本氏の発言を受けて呉建民氏は山本氏に同調した上で、「このようなチャンスが訪れるためには、中国と日本の協力が必要不可欠である」と指摘しました。一方で、東アジアでは経済的な協力は大いに前進しているが、安全保障の問題は日中関係に横たわっており、この地域の安全保障のメカニズムは存在しておらずし、日米同盟をもってアジアを支配することは賛同を得られないだろうと語りました。そうした中、中国では、アジアの安全保障について中国から国防大臣、制服組のトップが、アメリカも参加しながら協議をしており、「ぜひ、日本からもハイレベルな人に参加してほしい」と要望を示しました。
続いて陳建氏は、南海問題、南支那海問題について触れ、中国と日本との問題ではないとしつつ、「中国と日本の新しい問題に発展する危険性がある」と懸念を示しました。その上で、陳建氏は「南支那海の政策は、平和と安定を擁護し、航行の自由を確保すること。南支那海における中国の島嶼、そして、を確保し、紛争を平和的に解決していくことをようにある」としました。そして、「中国の管轄下にある一部の島嶼で、建造物を作ったが、これは中国の主権を守るだけではなく、南シナ海における安定、航行の自由に視するものであるし、国際法に照らして問題はない。しかし、現在アメリカでは、中国の課題、やり方に関して、避難をしており、日本もそれに同調する声がある。もしこのような話が日本政府の政策になってしまうと、日本の中日関係へのもっとも厳しい挑発になる」と語り、南シナ海での日本のアメリカへの同調が、日中間の新たな火種になる可能性について言及しました。
その後、会場から質問を回収しての質疑応答に移りました。
会場からは、中日関係におけるアメリカのファクターをどうとらえればいいのか。アジアにリバランス戦略ということは中日の相互信頼に影響あるのか、世界における中国の影響力が高まっているとみているのか、その時、日本政府はどのような態度でそれに望むべきか。また、安保法制が採択されたことについて、国民の大きな反対にあったが、何を物語っているのか。こうした動きは来年の参議院選挙にどういう影響を及ぼすのか、などの質問が寄せられ、日中両国から発言がなされるなど、活発な意見交換が行われました。
最後に、楊伯江氏は、「今回の議論でも多岐にわたって議論を行うことができた。プラスにしろ、マイナスにしろ、今後も、未来にわたって中身の濃い議論ができると思う」として、政治・外交分科会を締めくくりました。
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