11月3日 全体会議① 印刷 Eメール

【11:16更新】

周明偉氏(中国外文局局長)

金融危機が起きて以来の課題は、日中がどのように協力を深めていくかということでした。ある人に「課題は何か」と聞くと、日本国民の中国に対する不安の除去が大事だと言われました。中国は、多くの国民の生活を急速に向上させてきました。日本もかつてはそうでしたが、明かに異なっているのは、中国の人口規模がとてつもなく大きいということです。中国は発展の中で、多様性、複雑性を呈しています。異なる立場からは、異なる見方が生まれます。例を挙げると、中国のGDPはトップクラスですが、一人あたりではまだまだです。また、社会保障などにおいても大きな困難があります。環境保全、公共の安全という面で問題が発生することも考えられます。13億という人口が急速に成長する中、矛盾が現れてきました。

世界には、共通の発展モデルがありません。また、それはいつまでも変わらないものでもないのです。理論で束縛して判断してはいけません。胡錦濤主席はそうおっしゃいました。中国は急速に発展しています。盲目的に、自己中心的に、ナショナリスティックな反応も存在するでしょう。たとえば中国は世界の脅威、不安要素になるのでしょうか。中国の発展が他国と違うのは、グローバリゼーションとともに発展を実現したということです。当初から相互協力、互恵に取り組んできたのです。中国経済と世界の経済は緊密に連結しており、世界は中国経済の国際化の程度、他者との関係やWin-Winの関係を非常に意識しています。
  中国は「自国だけが豊かであればいい」とは考えていません。他国にも利益を得て欲しいと思っています。外部と相互依存関係にある、平和で調和的な環境を望んでいるのです。それは、伝統的価値観の表れであるというだけではなく、持続的発展のために必要なことです。世界の調和、安定に貢献する力を高めていきたいと思っています。

次に、発展モデルという観点から見ても、中国はまだ初期の段階です。中国人は、資源の制約を認識しています。発展モデルの転換、協調的で持続的な発展の道をさぐり、国際社会で責任を負っていこうと思っています。政治、文化体制を改革していくことも重要です。また中国は自国の経済発展の中で、農村部の生活向上に努めています。「生活の質を高めるためには、何世代もの努力が必要だ」。陶正平氏はそう言いました。

中国の発展は初歩的な段階にあるため、当然不均衡も生まれます。一時的な問題や、個別的な利益追求の問題があります。民主的で、法律が整った社会への道は長いと言えます。しかし、これは世界全体が直面しているものでもあるのです。中国の発展は、世界抜きには考えられません。理性的、寛容な姿勢が必要だと思います。

そして日本との関係は、一衣帯水であります。互恵的な関係を築き、そして学び合わねばなりません。それが必然なのです。互いの見方、文化を、受け入れることが重要です。関心を持っている部分について、互いに尊重するべきだと思います。

 


増田寛也氏(株式会社野村総研顧問、元総務大臣):

今回のフォーラムのテーマは「世界経済危機下での日中協力」でした。鳩山総理の構想が具体化していくことを考えても、日中の存在はコアになるでしょう。日中協力について詰めていくことは重要です。
  中央政府だけでなく、地方政府の位置づけについて話したいと思います。地方政府の交流は国交正常化以降に始まりました。平和友好条約がベースとなり、文化交流、友好親善という枠組みでした。それはもちろん現在も続いており、多くの都市が友好姉妹提携を結んでいます。神戸と天津との間でスタートし、今は333件。日本にとってアメリカに次ぐ数字です。次に、都市間の技術協力も出てきました。たとえば天津と四日市で、天津の大気汚染について、四日市が環境行政担当者を派遣したことがありました。大連でも、北九州市との間で同様の協力があるそうです。
  それに加えてもうひとつ、その後の改革開放と経済発展を踏まえて、本格的なビジネス支援が増えてきました。ビザの解禁や、羽田の国際路線開放などもあり、観光誘致も活発化することでしょう。その重要性はますます大きいと言えます。

それから未来志向で、青少年の交流を後押しすることも重要です。中央政府で打ち出していることでもありますが、地方政府でも行っています。たとえば、毎年100名ほどの中国人が、日本の地方都市で働くことで交流しています。かつては国際交流員というかたちが多かったわけですが、最近は中国語の指導助手なども見られるようになりました。
 こういった交流は外交政策と、車の両輪の関係なのです。地方交流が、外交上のプレーヤーの一員になりつつあります。草の根レベルの相互理解を通して、国同士の関係が厚く、強固になっていくのです。

住民の意識改革にも大変大きな意義があります。近年、都道府県のレベルでは、国際交流を経済の部局が担ったりしているところもあります。これも、経済面での交流の深まりの表れでしょう。昨日も意味のある議論が交わされ、大変良かったと思っています。これから重要なのは、域内の中小企業同士の出会いのチャンスを広げることを、地方政府がサポートしていくことだと思います。
今日本が直面しているのは、高齢化時代における都市の設計です。高度成長期とは異なり、コンパクトにしていかなければなりません。大変なエネルギーを要することです。これは中国の諸都市がいずれ向き合う問題でもあります。

また、都市と農村の格差、これは中国のみならず日本も直面している問題です。経済ビジネスでの交流をグリーン経済の視点に置き換えて、汎用的な省エネなどの技術について、企業間の活動をサポートしていくのは意味のあることだと思います。

最後に、今後も本フォーラムの地方対話の枠組みの中でさらに議論を深め、成果を挙げていくことが必要でしょう。そして日中間の協力をさらに深めていけたらと思います。