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110821 b top2引き続いて行われた分科会「経済対話」後半では、日本側パネリストとして福川伸次(財団法人機械産業記念事業財団会長、元通産省事務次官)、槍田松瑩(日本貿易会会長、三井物産株式会社取締役会長)、長谷川閑史(経済同友会代表幹事、武田薬品工業株式会社代表取締役社長)、田波耕治(株式会社三菱東京UFJ銀行顧問、前国際協力銀行総裁)、深川由起子(早稲田大学政治経済学部教授)、そして中国側パネリストとして魏建国(中国国際経済交流センター秘書長、元商務部副部長)、苗圩(中国工業情報化部長)、邱継宝(浙江飛躍グループ総裁)の各氏が議論に参加し、日中経済関係におけるミクロ経済について議論がなされました。

 まず、日中間の経済協力について、苗圩氏(中国工業・情報化部部長)は、「産業界(鉄鋼、情報産業等)の対話」、「技術協力の推進」、「中小企業間の協力」の3つが重要なポイントであると主張、とりわけ、情報産業やサービス部門での協力で経済発展を日中間で享受することに対して強く期待したいと語りました。

 

 

 110821 b tanami一方、田波耕治氏(株式会社三菱東京UFJ銀行顧問)は、「エネルギー環境分野」「水・インフラ(水再生や水道漏水防止技術)」「新しい都市づくり(スマートシティ、エコタウン)」の三分野における日中経済協力に強い期待感を表明、これらの共同事業に日本企業や地方公共団体が加わることが可能だとしました。同時に、これら協力の際の課題として、市場アクセス等中国の情報提供の充実化、早期の法制度の透明化、法制度の統一化を挙げました。

 

  深川由起子氏(早稲田大学政治経済学部教授)は、張氏とともにFTA研究に10年以上取り組んでいるが、日中韓FTAは遅々として進んでいない状況を報告。FTAのインプリケーションとして、「経済主権の一部(関税等)を放棄できるかどうか」「全ての品目で自由化され、弱い産業が淘汰されるという産業調整が進むこと」「経済大国同士のFTAこそ意義がある」という三点を挙げ、FTA締結前にwin-win関係の姿を描く必要性を明らかにしました。一方で、FTAがなくても日中貿易が伸びている状況に対しては、「上手く経済関係を構築できるところから関係強化を図るべきだろう」とも指摘しました。

 

 110821 b 14張暁強氏は、「中国の対日投資が増加しており、レナウン等様々な分野の買収が進み、日本からの技術力やブランド力を梃子に中日両国の利益向上を図りたい」と述べ、日本は中国企業によるM&Aを脅威としてとらえるべきではないと述べました。

 

 長谷川閑史氏(経済同友会代表幹事、武田薬品工業株式会社代表取締役社長)は、日本同様、中国も少子高齢化のスピードが増している状況に触れ、「両国とも生産年齢人口を増やす施策が必要。両国はこの同じ課題に協力して取り組むべき」と述べました。また、「第3次産業、個人消費関連で内需拡大を図りつつ、労働集約から資本集約産業へのシフトも図るべき」とも主張、21世紀のキーワードとして「グローバル化(M&Aの活発化)」、「イノベーション」、「多様化(外国人就労の自由化)」の3つを提言しました。

 

 110821 b 15最後に邱継宝氏(浙江飛躍グループ総裁)は、自らが経営するミシン製造会社の歴史に触れ「昔は小さな町工場のレベルだったが、日本企業とネットワークを構築しつつ、技術を導入することにより世界有数のミシン製造メーカーに成長した」と、日中経済協力の意義を語りました。 

 

カテゴリ: 経済対話

親カテゴリ: 2011年 第7回
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