. 特別分科会「日中の人的交流は両国関係の新風となれるか」後半 - ページ 2

特別分科会

2016年9月27日 (火曜日) 13:30-17:45  ⇒ 報告はこちら

全体テーマ:日中の人的移動は両国関係の新風となれるか
~生活、就労、観光、留学―民間で進む日中台交流の課題と展望
前半テーマ:両国民間で進む人的移動と交流の実態と課題
後半テーマ:日中の人的移動を両国関係の追い風にするための何が必要か

 ※プログラム・パネリストは変更になる場合がございますので、予めご了承ください。
司会

小倉和夫(国際交流基金顧問、元駐フランス・韓国大使)
福本容子(毎日新聞社論説委員)
王惠(北京市政府新聞弁公室元主任、ニューススポークマン)

パネリスト

 
【日本側】

小倉和夫(国際交流基金顧問、元駐フランス・韓国大使)
福本容子(毎日新聞社論説委員)
江川雅子(一橋大学教授)
加藤鮎子(衆議院議員)
杉村美紀(上智大学総合人間科学部教育学科教授)
日野正夫(東日本旅客鉄道株式会社常務取締役、鉄道事業本部副本部長) ※前半のみ
山下晃正(京都府副知事) ※前半のみ

【中国側】

王惠(北京市政府新聞弁公室元主任、ニューススポークマン)
劉江永 (清華大学当代国際関係研究院教授)
羅玉泉 (国家旅遊局駐日首席代表)
李茜(雲南省政府新聞弁公室主任、ニューススポークスマン)
李文麗 (海信日本公司(ハイセンスジャパン)総経理)
段跃中 (日本僑報出版社総編集長)
 

 

特別分科会「日中の人的交流は両国関係の新風となれるか」後半

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 前半では、主に、今回の世論調査結果で相手国への印象が悪化している中で、相互理解を進めていくために、日中の人的移動は両国関係の新風となれるか、観光や人的交流の面から議論が行われました。こうした議論をさらに深めるため、後半では「日中の人的移動を両国関係の追い風にするための何が必要か」をテーマに、観光分野での議論をさらに深堀し、日中間の旅行者数の増加、旅行内容などの質をどう向上させるのか、さらに、留学生など若者同士の交流などを中心に議論が行われました。


蛻・ァ台シ・MHI_2933.jpg まず、後半から議論に参加した観光庁審議官の瓦林康人氏は、訪日旅行者数が年内に2000万人を超え、過去最多となるだろうとした上で、中国からの旅行者数は前年の2倍以上となったことを指摘。その要因として、航空路線などの交通網の発達によって、中国の北京、上海、広東省の三大都市圏以外の内陸部からの旅行者数が増えていること、クルーズ船での入国者の増加、個人旅行が団体旅行を超え、リピーターが増えていることなどを挙げ、訪日客の増加は予想以上に推移していることを紹介しました。

 一方で、日本の観光資源の質を高めるために、地方での旅行者増、現在の3割のリピーター率を他国平均の6割に高めること、スポーツなどへと多角化(「モノからコトへ」)を推進していくなど、「明日の日本を支える観光ビジョン」に基づいて、日本での観光の質を高めていく計画を進めていることを紹介しました。


 続く国家両遊局駐日主席代表の羅玉泉氏は、中国人観光客の中には買い物だけではなく、日本での体験もしたいというようなニーズの多角化も現れてきていること、さらに日本のサービスの細やかさ、トイレの衛生水準の高さについて、中国のホテルや観光施設は日本から学ぼうという姿勢も出てきていることを指摘した上で、「日本側から学ぶべきことは学びながら、協力していくことができるのではないか」と語りました。


蛻・ァ台シ・MHI_2900.jpg 衆議院議員の加藤鮎子氏は、羅玉泉氏の意見に同意した上で、体験型の観光の1つとして相手国の生活を体験するために、ホームステイなどで、実際の生活を体験するような仕組みが必要ではないかと指摘。そのために、日中両国で存在している300の姉妹都市を活用し、地域間の交流を行っていく必要性を示しました。

 さらに加藤氏は、日中関係が冷え込む以前は、修学旅行ということで、日本の学生が中国を訪問することが多かったが、そうした交流が現在は行われていないとし、「東京-北京フォーラム」のような民間対話の場に、旅行代理店などの人たちにも参加してもらうべきではないかと語りました。


 国際交流基金顧問の小倉和夫氏は、修学旅行の問題は、日韓間でも大きな問題となっていること、さらに、「高校生のメンタリティーがこれまでに比べて大きく変わり、バスを用立てて集団行動する修学旅行は時代遅れで、修学旅行自体のやり方が変わっている。集落旅行の問題については、折に触れて議論することが必要だ」と指摘しました。



蛻・ァ台シ・MHI_2752.jpg 清華大学当代国際関係研究院副院長の劉江永氏は、観光を通して、歴史的な場所や、領土問題が生じている場所など、意義のあるスポットを船で巡り、相互理解を深めるということに意義があるのではないかと指摘。この劉氏の意見に、多くのパネリストが賛意を示し、「大学生や高校生などの若者が参加することが重要」(福本氏)、「実現に向けての企業による支援をどう得ていくかが課題」(江川氏)などの見解を示しました。


 さらに杉村美紀氏(上智大学学術交流担当副学長)は、内閣府が行っている青年交流事業である「東南アジア青年の船」なども参考にしつつ、リサイクル事業やエコツーリズム、環境問題など、日中双方がともにシェアしなければならい課題を考え、さらに、今後、は多様性や多文化共生を尊重できるようなツーリズムを企画していくことが求められる、と語りました。



蛻・ァ台シ・MHI_2405.jpg 北京市新聞弁公室元主任の王恵氏は、2022年までに、韓国・平昌(2018年冬季)、日本・東京(2020年夏季)、中国・北京(2022年冬季)の3カ国でオリンピックが開催されることを指摘した上で、中日両国はスポーツの分野での協力もできるのではないかと語りました。

 日本財団パラリンピックサポートセンター理事長を務める小倉和夫氏(国際交流基金顧問)は、王恵氏の意見に賛同した上で、スポーツで、トップアスリートが頂点を競い合うものと一般の人が楽しむということを分けて議論するシンポジウムを開いたり、バリアフリーの促進、女性の参加の向上など、オリンピックやパラリンピックを活用しながら、社会改革も同時に行っていくべきだと語りました。


蛻・ァ台シ・MHI_3041.jpg その後、会場から「漁業は紛争の種になっているが、両国の漁業の仕方の違いを学べる旅行、生活文化(ゴミの捨て方、大衆浴場の入り方)を学べる旅行などを企画してはどうか」、「メディアの報道の仕方が重要」、「特にメディアにおいて、相手国の印象を過度に悪くするような言葉遣いには気をつけるべき」、「大学同士も継続的な交流が大事である。また、教育の分科会も実施してほしい」など、会場からの質問に対してパネリストが応じるなど、活発な意見交換が行われました。


 今回の議論を受けて、王氏は「世論調査の結果を悲観することなく、低迷しているときだからこそ、『これから発展していくだろう』と前向きに考えられる」と指摘。その上で、2013年11月、習近平国家主席が周辺国との外交において決定した4つのキーワードである「親・誠・恵・容」という4文字を引用し、中日関係もこの4つのキーワードを重視して、中日関係に改善に向けて進んでいきたいと述べ、特別分科会を締めくくりました。

親カテゴリ: 2016年 第12回
カテゴリ: 記事